【重要記事】理化学研究所が、がん細胞のフェロトーシスを増強する化合物を発見 なんのこっちゃ?

参照:MSD

2024-03-27、
本日のお題は、理化学研究所が、がん細胞のフェロトーシスを増強する化合物を発見 なんのこっちゃ? です。

がん細胞のフェロトーシス」を理解する前に、生体細胞は、実にうまく出来ていて、その機能を果たさなくなると「自死」するようにできているのです。

骨は、3年から5年で全部入れ替わります。骨芽細胞と破骨細胞によって、ほぼ生まれ変わり、元の自分の骨ではなくなります。皮膚も例外ではなく、1年経てば別人になる。

分子生物学者の福岡先生によれば、生物と無生物の違いは「動的平衡」があるかどうかだそうです。

生体細胞の中で、入れ替わらないのは「心臓の細胞」と「脳細胞(海馬などは入れ替わる、故に1か月くらいしか記憶を保持できない、睡眠中に大事な記憶は、大脳皮質に転送される)」くらいなのです。

 

1.「動的平衡」とは

1)福岡伸一先生が提唱する「動的平衡」とは、生命現象を理解するための重要な概念です。

「動的平衡」は、生命体が常に分子レベルで変化し続けている状態を指します。具体的には、生命体は絶えず分子の合成と分解、酸化と還元、切断と結合などの相反する反応を繰り返し、その中で一定の秩序を維持し更新しています。

■福岡先生は、「生命とは動的平衡にある流れである」と定義しています。つまり、生命体は一時的に分子の密度が高まった「淀み」であり、その「淀み」は高速で入れ替わっているという考え方です。

この視点から見ると、生命の本質は個々の分子や細胞といった要素そのものではなく、それらの要素と要素の「あいだ」で起きる相互作用、つまり「流れ」にあると考えられます。

■この「動的平衡」という考え方は、生命現象だけでなく、人間社会や世界全体の成り立ちにも適用できると福岡先生は述べています。それは、物事の本質が要素そのものではなく、要素と要素の「あいだ」で起きる相互作用、つまり「コト」にあるという視点から来ています。

 

ヒトは死んだら、あの世に行くとか、行かないとか、「あほんだら」は、平気でほざきますが、死んだら、分子と原子に還り、地球上でそれが使い回されているだけです。

何時の時代でも、無知なバカやアホが存在するのですが、少し、生体の細胞の機能について勉強してみましょう。

 

2.細胞死とは

細胞死とは、生体細胞が、その機能を果たさなくなる現象を指します。
これは、古い細胞が死んで新しい細胞に置き換わるという自然なプロセスの結果の場合もあれば、病気や局所的な外傷、あるいは細胞を含んでいる生体の死などの要因によって生じる場合もあります。

1)細胞死は大きく分けて2つのカテゴリーに分類されます

(1)事故的細胞死:物理的損傷などにより一瞬のうちに細胞構造が破壊される細胞死を指します。

(2)制御された細胞死:細胞内の遺伝的にコードされた分子機構が発動する細胞死を指します。

このカテゴリーには、アポトーシス、制御されたネクローシス、フェロトーシス、オートファジー細胞死などが含まれます。

これらの細胞死のメカニズムは、それぞれ特異的なシグナル伝達経路と分子メカニズムを持ち、細胞の生存と死を制御する重要な役割を果たしています。

 

3.生体の「細胞死」の種類は、どれだけあるのか?

細胞死は、そのメカニズムや特性により、さまざまな種類に分類されます。

1)主な細胞死の種類には以下のものがあります。

(1)アポトーシス:成長や発生において、また有害な環境刺激に応答して起こる、プログラムされた細胞死です。

(2)ネクローシス:ネクロプトーシスやパイロプトーシスのような、受動的あるいは能動的な制御されたプロセスです。

(3)オートファジー:細胞内の大きな液胞を形成し、核が破壊される前に、特定の順序で細胞小器官を食べ尽くすことを特徴とします。

(4)ネクロプトーシス:アポトーシスのシグナルが阻害された場合に、アポトーシスに代わる細胞死のバックアップとして機能するプログラム壊死です。

(5)ピロプトーシス:炎症性の高いプログラム細胞死で、細胞内病原体の感染時に最も頻繁に起こります。

これらは主な細胞死の種類であり、他にも様々な細胞死のメカニズムが存在します。それぞれの細胞死のメカニズムは、細胞の状況やトリガーとなる刺激に応じて異なります。

 

2)制御系の細胞死

制御性細胞死には、アポトーシスやフェロトーシスの他にもいくつかの種類があります。
以下に主なものを挙げると。

(1)ネクロプトーシス
これはプログラムされた壊死の一形態で、RIP3とMLKLというタンパク質を必要とします。虚血性傷害やウイルス感染だけでなく、炎症促進性シグナル伝達によっても活性化されます。

(2)パイロトーシス
これはプログラムされた溶解性細胞死の一形態で、通常は微生物やウイルス感染に対する応答として免疫細胞で発生します。Caspase-1とGasdermin-Dというタンパク質を必要とします。

(3)ネトーシス(NETosis)
これは中性白血球が網状のDNAを放出することで細胞死を起こす現象です。このDNA網は、細菌などの病原体を捕捉し、免疫反応を助けます。

これらの制御性細胞死は、それぞれ特異的なシグナル伝達経路と分子メカニズムを持ち、細胞の生存と死を制御する重要な役割を果たしています。それぞれの細胞死のメカニズムは、細胞の状況やトリガーとなる刺激に応じて異なります。

 

4.「フェロトーシス」という、体内作用を使い、がん化して増殖していく細胞にフェロトーシスを起こして死滅させる

フェロトーシスは、2012年に新たに提唱された、アポトーシスとは異なる制御性の細胞死の型の一つで、脂質酸化細胞死とも呼ばれます。この細胞死は、細胞膜成分のリン脂質の過酸化によって引き起こされます。

■2022年度の1stRound支援先の一つである株式会社Ferropto Cure(フェロトキュア)は、2022年5月に設立し、「フェロトーシス創薬で病気を治す」をミッションとして、新しいタイプの抗がん剤の研究開発に取り組んでいる。

フェロトーシスという、体内作用を使った治療薬の研究開発を行っています。

酸化ストレスにより細胞死を引き起こすフェロトーシスのメカニズムは、解明されて10年ほどになりますが、当社では現在、がん化して増殖していく細胞にフェロトーシスを起こして死滅させるタイプの抗がん剤の研究開発に取り組んでいます。

この抗がん剤のメリットは、体に負担をかけず、がん種を問わずに治療ができる点にあります。フェロトーシスをブロックする能力はあらゆるがん種の細胞に備わっていて、いわば、がんの生存戦略の土台となっているため、それを標的とすることで、がん種に関わらず効くような薬を創ろうとしているのです。

対象となるがん患者は、まずは標準治療を終えた方や今までの薬が効かないような難治性がんの方を想定しています。将来的には、最初から治療に組み込まれることを目指します。

しかし、これらの研究は、まだ初期段階であり、臨床応用にはさらなる研究が必要だそうです。

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