【書籍紹介】 ヒトはなぜ「がん」になるのか; 進化が生んだ怪物 キャット・アーニー(著)

2021-09-07、
本日の書籍紹介は、ヒトはなぜ「がん」になるのか; 進化が生んだ怪物 キャット・アーニー(著)です。

ヒトはなぜ「癌」になるのか? 一番の原因は、長生きしすぎたからではないでしょうか。

もう5年以上前になるが、お客様の会社で働いていた、懇意にしていただいた私より5歳年上の方が、春の集団検診ではなんでもなかったが、10月になり、ちょっと具合が悪くなり、病院で診てもらうと、癌が発見され、3箇所以上に転移していて、手術もできず、余命、半年と言われて、病院を追い出されて、自宅療養になったが、年末に病院で検査入院していたタイミングで、最後、面会にゆきました。その時は、まだ、やつれいる様子も感じられませんでしたが、その後、年が明けて、春になる前に亡くなりました。

仕事はプロフェッショナルで、彼の仕事をシステム化して奪ったり、ドキュメント作成ではお互いに文句を言いながら、力を合わせて、みんなのできない仕事を2人で作り上げたり、プライベートでは、「宇宙」の話や「自然科学」の話で盛り上がり、他の社員たちは、2人の会話に入り込めない程でした。 傍から見ると、「変んな、じいいのコンビ」でした。

この時のことを良く覚えているのですが、面会の帰り、北大病院から札幌駅まで徒歩で戻ってきたのですが、途中、悲しさより、なぜか?「羨ましいなー」と思いました。 いつ死ぬか分からないより、余命あと半年と言われた方が、せいせいする。 どんなに「いやだ!」と云っても、ヒトはいずれ死ぬのです。 自分で死ねない奴は、これくらいの歳になると、ふと、こんなバカな事を考えることはないでしょうか。

この件で知ったことは、会社の年に一度の集団検診では、「癌」を発見できないでした。
50歳過ぎたら、毎年、ビクビクしながら、がん検診を受けた方がいいでしょう。 死にたくなければ、ですが。。。。

 

1.長く生きると「利己的な怪物」たちが、頭を出してくる

人生50年の時代には、癌で亡くなるヒトは少なかったでしょうが、現代は、80歳は当たり前で、100歳を超える高齢者は8万人にも及びます。 生き物の体の細胞も、遺伝子(DNA)をコピーを繰り返す間に、ミスコピーも多々は発生しますし、細胞の中の構成部品も、いくら再生機能があっても、古くなって正確に生産できなくなるのでしょう。

正常な細胞から「癌」細胞に、なるには、色々な仕組みが働くのでしょうが、最終的には、生物多様性の中で、変化してしまい、DNAを正確に複製できなくなるようにあらかじめ仕組まれているのでしょう。

ヒトは、生殖年齢になる前に癌になるようなら、自然選択で淘汰されて、ここまで繫栄できなかったとも言われています。

ヒトの癌の90%が、50歳以降に出現するのは完全に理にかなっている。

私たちは人生の最盛期を健康に過ごし、出産と子育て終わったら不健康になってもいいように進化してきた。

 

2.ヒトの生き方は変っても、生命の営みには逆らえない。

しかし、どういう訳か、「晩婚・晩産」が進み、出産は50歳になる前に終了していても、子育ては、まだ50歳過ぎても、まだまだ終わらず、子供にお金がかかる年代でしょう。不健康では困るのですが、直す方法などは記載されいませんので。

「癌」と云えば、色々ありますが、まず、タバコ。。。肺癌ですか。 私など、二十歳過ぎから吸っているタバコ(1日一箱弱です)ですが、もうこの歳になると、止めるつもりはありません。 止めようとする方がストレスになる。 それにこの歳になり、中学生の頃、「肺結核」で2年間病院に居たが、未だ「肺癌」にかからないのです。。。 年に1回ほど「痛風」の発作は起きますが。

ただ、肺の機能が落ちている。血液を回す「心臓」に負担がかかっている事だけは確かで、「スマートウオッチ」を使い始めて、分かったのですが、「心拍数」が、平均値よりも高いのです。 その内「心不全」で、ぽっくり、逝くかもしれませんね。

病院や家庭内で看護が続くより、ぽっくり死ねるのが一番ですので、現状維持です。

 

3.癌にもならない人。。。ロボットか?

多分、「ウイルス感染」も、体の細胞が暴走する「癌」も、ならない人は、ならないのです。

単に「丈夫」と云う言葉では言い表せないが、ターミネーター(ロボット)の様な奴は、世の中に、自然淘汰されずに存在しているのです。

頭の配線のおかしい奴も、なぜか、自然淘汰されずに存在しているのです。

 

読めば「癌にならない」と云う様な「単細胞」的な思考回路では、読む意味がないでしょう。

話が脱線してしまいましたが、「癌」という病を通して、生物とは、ヒトとは、何なのかを学ぶには、ちょうど良い書籍ではないかと思います。

 

■ヒトはなぜ「がん」になるのか; 進化が生んだ怪物

目次

はじめに
第1章 地球に生命が生まれたところから話は始まる
第2章 がんは生きるための代償である
第3章 がんはどこからやってくる?
第4章 すべての遺伝子を探せ
第5章 いい細胞が悪い細胞になるとき
第6章 利己的な怪物たち
第7章 がんの生態系を探索する
第8章 世にもけったいながんの話
第9章 薬が効かない
第10章 進化を味方につけてゲームをする
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この書籍を読んで、改めて、癌(悪性腫瘍)って何なのか? が理解できた様に思います。

どんな風に理解できたかと云えば、コロナウイルスに感染して、重症化して、エクモで人を助ける様には、医者には治療できないという事です。

巧妙な仕組みで成り立っている生命活動の基本部品である自身の「細胞」が暴走して、自分自身の「細胞」が怪物になってしまうのです、しかも、自身ですので利己的で賢いのです。 「始末に負えない」のです。

 

4.「癌」治療の難しさ

転移してゆく癌細胞は、薬が一度効いても、耐性を付けるため、その人によっても違うため「モグラたたき」の様に、あちこち、効くか効かないか、わからない薬を試してゆくしかないようです。

なぜなら、細胞の遺伝子、染色体レベルの変異で、これは医者ではコントロールできないのは明白で、「癌」研究者が遺伝子レベルで研究しても、未だ、解決できないのです。がん細胞は、染色体に異常をきたし、自分の細胞が変異してしまい、暴走する。 しかも、同じパターンではないのです。

今まで、勉強してきた、遺伝子工学の知識の中で、DNAの塩基配列の異常、変化ではなく、遺伝子の転写機構の異常によって引き起こす、病気や体質の変化を研究する分野で、「エピジェネティック」と呼ばれ、現在、高い関心を集めています。

そして、主役は、スイッチがONになるか、OFFになるか、その仕組みの詳細が「ヒストン修飾とDNAメチル化」です。

このレベルの研究は、ゲノム編集が可能になっても、まだ、コントロールできないのです。ですので、自分の細胞の染色体が、変異して、暴れ回る前に、早期発見、早期治療しか、方法はまだないのでしょう。

 

ヒトだけではなく、犬、猫以外の他の動物も癌になるのですね。 ただ、癌にならない生き物も居るのです。

もう一つ、「癌」は、ウイルスと同じく、感染する場合もあるという事です。

最近の研究では、癌に「ワクチン」の投与もあるようで、遺伝子レベルで、この細胞の暴走を防ぐことができる薬を開発できるか?

国民の2人に1人が「癌」になる時代で、年間33万人が、亡くなる病を克服できれば、増々、長寿社会になるのでしょうか。 増々、結婚して、子供が生まれる時期も高齢にずれ込んできますので、ヒトの勝手で、生殖のタイミングまで変更する事ができる時代になると、どうなるのでしょうか。

 

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