【書籍紹介】 同調圧力 (角川新書) 日本独特の村社会(タコツボ社会)からくる、激しい「同調圧力」

この書籍は、人間社会の「同調圧力 (角川新書) について、色々な場面で例を挙げて述べています。

日本は、島国独特の、村社会、蛸壺(たこつぼ)社会ですので、この「同調圧力」が一層高いのです。

地球の動物の中で、弱いヒトが、狩猟採集の時代を経て、集団を形成して、生き残ってこれたのも、いい意味、悪い意味も含めて、この「同調圧力」があったからこそ、集団で生活するようになり、ここまで生き残ってこれた要因の1つのように思います。

しかし、最大の弱点として、悪に支配されるたとき、世論という「同調圧力」を抜け目なく利用してくるのですが、個々人の弱さと「身の保身」と「無知」さ由縁に、弱い人間(凡人)は簡単に、思考を停止し、悪の罠にはまり、自ら抜け出すことができなくなります。

現代社会の中で、発生している「いじめ」や「引きこもり」の問題も、実は、この「同調圧力」が大きく関係していると思います。

■同調圧力

– 目 次 –
第一章 記者の同調圧力 望月衣塑子
1 質問を妨げられる記者会見
2 記者と同調圧力
3 同調圧力に屈しない人々

第二章 組織と教育現場の同調圧力 前川喜平
1 何もしないという同調圧力
2 道徳教育が生み出す同調圧力
3 真に自由な人間に同調圧力は無力だ

第三章 メディアの同調圧力 マーティン・ファクラー
1 アメリカの報道はスクープ報道から調査報道へ
2 日本メディアに危機感がない理由
3 信頼できるメディアが道しるべに

 

一番、この同調圧力に屈しない「脳」を持っているのは、ASD(自閉症スペクトラム症)傾向の強い人達ではないでしょうか。

日本で、GAFAの経営者のように、イノベーションが起きないのは、強烈な個性を持った人間を常に排除してきていますので、起こせないように思います。 常に、じじいが集まって合議で、リスクを取らずに、物事を決める会社では、イノベーションは起こせないのです。

 

1.いじめの問題

いじめの世界でも、このような「同調圧力」がはたらいています。
妬み(ねたみ)、嫉み(そねみ)、僻み(ひがみ)の感情
日本独特の村社会(タコツボ社会)からくる、激しい「同調圧力」の強さが大きい。

サルなどの動物の世界では、「いじめ」はなかなか起こらないようです。
なぜなら、その集団に「ヒエラルキー」がしっかりしているからだそうです。 サルの世界でも、親サルのヒエラルキーが子供にも影響するので、もし上位の猿の子供をいじめると、必ず「仕返し」されるのです。 上下関係の無い処の方が発生しやすいのです。

かたや、人間社会では、サルより知能が発達していても、「いじめ」をやってしまうのは、教育のせいでしょうか? 「みんな平等だよ」が合言葉ですので、サルより知能が高くても「いじめ」合戦が始まります。

「平等」の意味をはき違えると、「同調圧力」となる。

「平等」=「同調」と違うのですが、「平等」の意識が高いと、そぐわない人を「同調」させようと圧力をかける者が必ず現れるのです。

本当は、学校でも「みんな平等だよ」が建前だけれども、社会の中は「不平等が沢山あるんだよ」という事をちゃんと中学生のころから教えるべきです。

「ダイバーシティ」の問題もちゃんと、授業で教えるべきです。

大人でも、「LGBT」って何? と聞いても、分からない、理解できていない「バカ」は大勢います。

 

2.引きこもり

「引きこもり」の子どもがいる家庭にも色々あるが、多く見られるのはどのような家庭状況かと云えば、親にある程度の経済力がないと「引きこもる」ことはできませんから、一定以上の経済力のある世帯に多いのです。また、「引きこもり」の子どもがいる家庭では、夫婦関係が機能していないケースが目立つ様です。

社会との繋がりも薄くなり、個人主義というより、家庭主義というか、「母親」だけで子供を育てると、打たれ弱い、こんな状態の子供が増殖してしまうのかもしれません。

 

1)なぜ、日本でこれだけ引きこもりが増えたのか?

個性を持ち、集団に馴染めない子どもたちは、生きづらさを感じるようになります。生きづらいと引きこもりやすくなります。

原因が、日本独特の「蛸壺」社会に蔓延する「同調圧力」の強さだとすれば、これは、私たちの時代には、無かったのか?

みんな戦後、復興期には、有って、今は無くなったもの。。。何だろう?

戦後、復興期の何でも有りの時代から、「1億総中流」の時代になり、現在は、格差社会に移行して、「豊かさ」を享受できる人とそうでない人が発生してきた。

しかし、昔から格差は歴然として存在していた。

昔と違うのは、食うことにはそんなに苦労しなくても、生きてゆくことだけで、豊かに生活をするだけの経済的な余裕が無い家庭が多いが、よっぽど貧乏ではないと、この「豊かさ」が無いという事が他人から見えない。

他人から、なかなか、はっきりと見えない、「豊かさ」と云う「格差」が広がっている。

みすぼらしい格好はしていないが、家計は、いつもカツカツで、すぐに火の車になってもおかしくない、経済的に余裕のない状態の家庭が増殖している。

「貧困家庭」に、引きこもりは、脳が病んでいる場合を除き、あまり居ないでしょう。引きこもっている暇は、生きることで精一杯ですので、無いはずです。

 

2)「引きこもる」事ができるのは、親にある程度の経済力があるからです。

親が、経済的に困っていないからこそ、子供は堂々と「引きこもり」ができる。

親が、子供に、自分たちがどのようにして社会の中で勝ち抜いてきて、家を持ち、物質的、金銭的に豊かな生活が送れているのかを説明する事はできないでしょう。

この様な親は、考えることは、皆同じで、何となく「いい学校」に入り、何となく「いい会社」に入りなさいと、子供に無言のプレッシャーをかけ続ける。

ある意味、こうして家族を形成した成功体験があるが、いざ、家庭で起きた子供の引きこもり問題は、本来、夫婦が協力して解決するべきですが、夫婦関係が正常に機能していませんので、どちらかに責任の比重が重くのしかかり、八方ふさがりの状態になってしまう。

「同調圧力」の中で、今まで、生きてきた親にしてみれば、「同調圧力」に屈しない生き方を知りませんので、子供に「好きにしなさい」などとは言えないのでしょう。

何かあると、家に引きこもってしまう、「社会性の無い子供」に育ててしまったのは、両親2人で子供を育てなかった親の責任でもあるのでしょうか。

 

最後に、

日本独特の村社会(タコツボ社会)からくる、激しい「同調圧力」の強さが大きく、それぞれの小集団の中で、上手く生きてゆくための「掟」を突きつけるのが当然と考えている。

多民族国家から発生した「ダイバーシティ」問題ですが、単一民族の中にも、多様性を認める社会が必要なのですが、大抵の親は、そんな状態、物の考え方で、社会の中で、自立して生きて行けるの? と云う思いから、親心から子供に同調圧力をかけるのです。

ですが、人間は、「幻想」を信じる心があるから、弱い生き物でも生き残って来れたのですが、夫婦関係を含めた家族の中で、この将来、良い暮らしができると云う「幻想」を信じることができない状態で育てば「同調圧力」をいくらかけようとしても、子供は「無理」となってしまうのでしょう。 将来、きっと幸福になれると云う幻想を抱けないのです。

物質的、金銭的には、豊かになっているが、本当の夫婦関係がうまく機能していない、母親だけに子育てさせている家庭などでは、きっと、子供は、親の背中をちゃんと見ているんでしょう。金には困っていないからこそ、余計に子供が「こんな家庭か?」と云う、疑問符が大きく目立ってしまう事に、親は気づかないのでしょう。

 

「子育てが終わらない」のではなく、「自分たちが成長していない」事に、親自身が気が付かないのです。

自分達(両親)では、決して気が付かない「不都合な真実」が子供には見えるので、将来、親の言う事を聞いていれば幸せになると云う「幻想」を信じることが不可能になるのでしょう。

 

動物でさえ、子供はある時期になると、自立してゆきますし、親も自立させますが、一番賢いはずの人間様が、子供を自立させることも出来ない。。。この情けなさ。

「人間失格」というより、「動物失格」、「生き物失格」でしょう。

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