【書籍紹介】 遺伝子のスイッチ: 何気ないその行動があなたの遺伝子の働きを変える 生田 哲 (著)

本日の書籍紹介は、遺伝子のスイッチ: 何気ないその行動があなたの遺伝子の働きを変える 生田 哲 (著)

遺伝子は、生まれたときから、一生変わらないと思っていたら、大きな間違いなのです。遺伝子は環境と深く関わることで、はじめて働くからである。 「何気ない行動」と言うより、劣悪な環境で育つと、遺伝子の働きが変化してしまうのです。

遺伝子には、「スイッチ」が付いているのです。

それが「エピジェネティクスepigenetics)」と言います。

「エピジェネティクス」とは、DNAの塩基配列の異常や変化させることなく、遺伝子の働きを変えることで、これを研究する学問分野を「エピジェネティクス」と呼んでいます。そして、主役は、スイッチがONになるか、OFFになるか、その仕組みの詳細が「ヒストン修飾とDNAメチル化」です。

遺伝子「組換え」から、現在は、「ゲノム編集」の時代に突入していますが、その前に、生物学、脳神経学、遺伝学など、脳の種々の精神疾患について、興味があり書籍をたくさん読んできました。 このよう疾患は遺伝する場合と、遺伝しない場合もあります。遺伝しない場合は、生後の養育環境が大きく関係している事までは、認識できていましたが、でも、なぜ、このような生活環境の違いで、脳がおかしくなるのか? どう仕組みでおかしくなるのか、生まれつきでない場合、どのような仕組みで発症するのが、以前から疑問に思っていました。

つまり、精神科医の先生たちの記載した、障害別の症状はわかっても、なぜ、その様な状態の脳の状態になってしまうのかが、不明でした。

生まれ付きでなくても、生活環境などの変化で、ヒストン修飾、とDNAメチル化が発生して、遺伝子のスイッチがONになったりOFFになったりすると、人間の行動、言動に、大きな影響が発生してくると言うことを初めて知りました。

その意味において、この書籍は、大きく疑問を解く為のカギになる1冊ではないでしょうか。

発達障害も、愛着障害も、遺伝子のスイッチに、十分に関係しているのです。

 

目次
第1章 人生はDNAの配列だけでは説明できない
第2章 ゲノム研究からわかったこと
第3章 エピジェネティクスとは何か?
第4章 薬物依存と食べ物依存から考えるエピジェネティクス
第5章 エピジェネティクスとうつ
第6章 母の子育てが子どもの脳に影響する
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生まれ付きの場合、最も大規模なDNAの変異は、染色体の「異数性」といって、染色体の数が通常と異なる現象ですが、DNAの変異ではない、この「ヒストン修飾とDNAメチル化」に伴う、「エピジェネティクス」について、詳細に書かれていますので、その内容は、自分で読んで理解してください。

 

人間は、ロボットではありませんので、生まれ付き正常でも、生活環境により、体の中の細胞、遺伝子レベルで、大きな変化が発生すると「脳」に影響してしまいますので、世の中で、貧困、引きこもり、虐待、いじめなどの問題など、社会問題が多く発生する原因になり、多くなると社会不安が広がってしまいますので、注意が必要なのです。

 

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