不倫してないのに「知らない子供が生まれてしまった..!」 不思議すぎる「遺伝子」の謎

2016年6月21日、
本日のお題は、不倫してないのに「知らない子供が生まれてしまった..!」 不思議すぎる「遺伝子」の謎についてです。

不倫して子供ができてしまったなどと云う、「ゲス」な話では決してありませんので悪しからず。

テレゴニー(:telegony)とマイクロキメリズム (:Microchimerism)と云う言葉を知っているでしょうか? 私は全くの初耳で、初めてのキーワードなので、ちょっと調べてみました。

なぜ、こんな話に興味をもってしまったのかと云うと、「ダーウインの覗き穴」という書籍を読んでしまって、何か心に引っかかっていました。

 

1.ダーウインの覗き穴—性的器官はいかに進化したか

参考文献
この書籍は、本当に、強烈で、生物の「雄」と「雌」の生殖器に関する事が満載されていて、どのように交尾、生殖するのかにも、詳細に記載されているのです。

雄と雌の生殖の熾烈な、遺伝子レベルの主導権争いまで見えてきます。

ダーウィンの覗き穴――性的器官はいかに進化したか  メノ・スヒルトハウゼン(著)

目次
第1章 用語を定義せよ!
第2章 ダーウィンの覗き穴
第3章 体内求愛装置
第4章 恋人をじらす五〇の方法
第5章 気まぐれな造形家
第6章 ベイトマン・リターンズ
第7章 将来の求愛者
第8章 性のアンビバレンス
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まさに、DNAレベルでの「利己的な遺伝子」のメカニズムが、どんなことかが、垣間見ることができる一冊です。

■例えば、「カワトンボ科のハグロトンボの雄が、交尾する際、自分より前に交尾した雄の精液すべてを雌の生殖器からペニスでかき出し、それから同じペニスを使って精液を注入する」など。。なんだそれ?。。です。

■イエバエの場合、交尾開始10分後くらいに、「精液」に含まれる浸食性の化合物が「膣壁」に穴を開けて、細胞で構成されている薄い層が破れて、精液が雌の血中に吸収され性欲抑制のタンパク質が作用する。

■他の生物でも「ペニス」にトゲが付いていて、交尾中に雌の「膣」を破壊しながら、射精するなど、精液が雌の血中に侵入するなどの事態が、普通に発生している。。。。

これなど、まだいい方で、読んでいて本が手から離れるくらい、衝撃を受ける一冊です。

生殖・交配って、単に、卵子と精子が合体して起こるとは限らないんだ。。。と云う事を今更ながら思い知らせてくれた書籍でした。

参考文献
利己的な遺伝子  リチャード・ドーキンス (著)

 

2.テレゴニー(:telegony)

テレゴニー(:telegony)とは、ある「雌」が以前ある雄と交わり、その後その雌と別の雄との間に生んだ子に、前の雄の特徴が遺伝する、という説、理論。

▮ハエ(ショウジョウバエ科)を使った実験では、
交尾と子どもの形質の分析が行われ、研究では、交尾をして生まれたハエの子どもの身体の大きさが、本来の父親よりも以前に交尾をしたパートナーの影響を多く受けているという驚きの結論が導き出されたそうです。

▮これが人間にも当てはまるとしたら、
過去にセックスした男の「精液」は、何らかの形で女性の体内に残り、DNAレベル、タンパク質レベルで、分子生物学的に、吸収、COPYされていたとしたら、生まれてきた子供が、父親に似ていなかったと云う事も起こりうると云うことです。

現に、中世ヨーロッパの王家が、「離婚歴」のある女性を嫁に取らないと云う根拠にされてきたという経緯もあるようです。

参照:http://tocana.jp/i/2016/03/post_9129_entry.html

参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AC%E3%82%B4%E3%83%8B%E3%83%BC

 

3.マイクロキメリズム (:Microchimerism)

マイクロキメリズム (:Microchimerism) とは、遺伝的に由来の異なる少数の細胞が体内に定着し存続している現象を指す。

芸能界で云えば、喜多嶋舞さんとの子供が、大沢樹生さんが行ったDNA鑑定で「自分の子供ではない」との判定結果に、喜多嶋舞さんの主張が真実なら、「マイクロキメリズム現象」を考慮していないと云う事になります。

マイクロキメリズムは血液または臓器移植、妊娠などで起こることが知られている。
特に妊娠中は母親と胎児の間で少量の細胞の相互移動が発生することが明らかになっているが、妊娠終了後も互いの免疫系に排除されないまま体内に定着し数十年経った後にもマイクロキメリズムの存続が確認されている。実子であっても免疫学的には他者と見なされるはずの受精卵が、免疫寛容によって排除されない現象に関係があると言われている。

参照:マイクロキメリズム

 

4.エピジェネティクス(:epigenetics)とは、

エピジェネティクスとは、
一般的には「DNA塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化を研究する学問領域」である。

遺伝の影響でもなく、DNAの突然変異でもない。分子レベルのごくわずかな化学的変化が、目をみはる不可思議な現象を引き起こすのです。

エピジェネティックな遺伝子発現制御にヒストン修飾 DNAメチル化が関係していますが、難解ですので、理解できる方は、自分で調べてください。

例えば、
サイコパス的人格は、元来の性格、気質などの先天的なものとして位置付けてられています。
つまり、遺伝すると云う事(遺伝が8割とも言われています)ですが、「サイコパス・インサイド ある神経科学者の脳の謎への旅」(ジェームス・ファロン著)に記載されている様に、遺伝的要素を持っていても、環境によっては、発病しない場合もある。

これなども、遺伝的要素を有していたが、環境により、スイッチが入らなかった「エピジェネティック」的な要素が有るのではと思います。

 

参考文献
もっとよくわかる! エピジェネティクス〜環境に応じて細胞の個性を生むプログラム

目次
第1部 導入編―エピジェネティクス入門
(エピジェネティクスとは?;エピジェネティクスはゲノムの高度活用戦略である)

第2部 基礎編―エピジェネティクスの分子基盤
(クロマチンとエピジェネティクス;DNAのメチル化 ほか)

第3部 展開編―エピジェネティクスのかかわる現象
(発生・分化とエピジェネティクス;ゲノムインプリンティング ほか)

第4部 応用編―ヒト疾患とのかかわり
(がん;エピジェネティクス機構の先天異常 ほか)

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エピジェネティクス――新しい生命像をえがく

目次
序章 ヘップバーンと球根
第1章 巨人の肩から遠眼鏡で
第2章 エピジェネティクスの分子基盤
第3章 さまざまな生命現象とエピジェネティクス
第4章 病気とエピジェネティクス
第5章 エピジェネティクスを考える
終章 新しい生命像をえがく
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関連記事
・【書籍紹介】 遺伝子のスイッチ: 何気ないその行動があなたの遺伝子の働きを変える 生田 哲 (著)
【書籍紹介】 「遺伝子は、変えられる。」  エピジェネティクスの真実

 

5.セックスやウイルス感染で、遺伝子情報が書き換わる可能性は、十分に考えられることです。

「生命の大躍進」で云えば、猿から、二足歩行の類人猿、ホモサピエンス(現在の人間)に進化した過程で、何が影響したのか、遺伝子か、環境か、ハッキリ分かっていませんが、確実にDNAレベルで変化が起こっている事は確かです。

「ウイルス」が、人間の細胞に侵入する仕方をちょっと勉強すれば分かります。

例えば、
猿よりもっと前の人間の祖先、ネズミが、「卵」から、胎盤を持った「哺乳類」に進化したのも、ネズミさんの時代(恐竜の時代)に、「レトロウイルス」が、蔓延して、そのレトロウイルスの遺伝子がネズミさんに取り込まれて、哺乳類が、お腹の中で子供を育てる機能(胎盤)が宿ったそうです。これは日本の研究者がレトロウイルスのゲノムを解析していて、人間の胎盤を作るゲノムが同じな事を突き止めたそうです。人間の母親の「胎盤」の機能は分かりますよね。 お母さんの中に、もう 一人の人間が居るのですから、胎盤が有るから、赤ちゃんが、異物としてではなく独立した存在として、お腹の中に居られる仕組みです。

まだ、ハッキリと解明されてはいませんが、「ホモサピエンス」と「チンパンジー」がDNAレベルで云えば4%しか違いが有りません。「ホモサピエンス」として、「生命の大躍進」、「進化」を果たしたきっかけは、「ウイルス」が人間の細胞に侵入したのが、きっかけかもしれません。

この大きな進化は、通常では余り発生しないが、ウイルスが介在した時、一番大きな変化が生じているのでしょう。

細胞の中で、エネルギーを作っている「ミトコンドリア」も寄生と云うよりか、共生していると言われています。元々、細胞内には無かったものです。

人間の「英知」で、文明は発達できても、人間自体の「体」や「脳」の進化は、大脳が発達して、言語を操る人類が発生するほどの進化を遂げるタイミングで、どんな事が有るでしょうか?

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