【書籍紹介】ホルモン全史―魅惑の生体物質をめぐる光と影 R.H.エプスタイン (著)

2022-10-05、
本日の書籍紹介は、ホルモン全史―魅惑の生体物質をめぐる光と影   R.H.エプスタイン (著) です。

「ホルモン」は生体内で発生して、体や脳の制御を担っている物質のお話しです。

「ホルモン」の語源は、大阪弁の「捨てるものを意味する『放るもん』」説や、医学用語であるドイツ語のHormon(ホルモン)、英語のhormoneは、動物体内の組織や器官の活動を調節する生理的物質の総称から、栄養豊富な内臓を食べると、活力がつくとして名付けられた説など諸説あります。

ホルモン焼きなど、ホルモン料理の名称は戦前から存在し、戦前においては、内臓料理に限らず、スタミナ料理一般、例えば、スッポン料理などもホルモン料理と呼ばれていたことから、ホルモンは「放るもん」ではなく、明治維新のころの西洋医学(主にドイツ)の影響を受け、栄養豊富で活力がつくとして名付けられたものと思われます。

さて、この書籍は、種々のホルモンが発見された歴史的な経緯などを記載していて、大変面白いのですが、現在の研究では、もっと色々なホルモンが存在して、体や脳に供給している事がわかってきています。

ヒトは、自分の意思で全て、自分を制御していると考えていたら大間違いなのです。自分で自分を制御していたら、誰も、うつ病になどならないでしょう。この脳内のネットワークに情報をする為の伝達物質の働きに左右されるのです。もっと分かり易く言えば、「更年期障害」などが良い例でしょう。

 

■魅惑の生体物質をめぐる光と影 ホルモン全史

目次
0章 序章
1章 太った花嫁
2章 ホルモン誕生
3章 脳のビン詰め
4章 殺人鬼ホルモン
5章 男らしくなりたいなら精管結紮術を!
6章 ホルモンで永遠に結ばれたふたり
7章 ジェンダーを作り出す
8章 成長させるために
9章 測ることのできないものを測る
10章 強くなり続ける痛み
11章 頭がかっかする:更年期の謎
12章 テストステロン研究の創始者
13章 オキシトシン これぞ愛の感覚
14章 性転換
15章  飽くなき欲求:視床下部と肥満
16章 エピローグ
———————————-

■ホルモンとは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3

 

1.本書には記載されていない「ホルモン」に関する最新の情報です。

1)PMS 、PMDD

私が知らなかった1つ目は、「PMS(月経前症候群)」や「PMDD月経前不快気分障害)」という言葉です。

■妊娠可能な女性特有の「PMS(月経前症候群)」や「PMDD月経前不快気分障害)」などの症状は、このホルモンのバランスが崩れることによって、発生していると云う事柄です。

こんな事は、学校では、決して教えてくれませんので、自分で学ぶしかありません。

女性の体は、排卵後から生理前にかけて分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)は妊娠しやすいような体を作る働きをしています。

エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は排卵前と後では優位性が逆転します。

このように、月経までのおおよそ14日間、女性の体は妊娠に備えて多くの変化が起こります。

黄体期と呼ばれる排卵から月経が起こるまでの間に卵胞ホルモン黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが原因ではないかと言われています。

また脳内では、それらの変化を起こす様々なホルモンの影響で、「セロトニン」や「ドーパミン」などといった脳内伝達物質の濃度にも変動が起こることにより、脳や体が、自分の意思で、うまくコントロールできなくなります。

■PMSとは「月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経が始まると共に軽快ないし消失するもの」と定義されています。

PMSPMDDの違いは、厳密に区別することが難しい場合もありますが、月経前に心身の不調が出現するPMS(月経前症候群)と似ていますが、PMSの場合は精神症状だけでなく下腹部痛・腰痛・頭痛・めまい・肩こり・むくみなどの身体的症状も伴っており、精神的症状の深刻度合いがPMDDに比べて軽いという違いがあります。

世の中の男どもは、決して女の前では口にしないが「女性は感情的な生き物だ」という考え方が一般的でしょうが、私は、そう考えてはいなかった。

・女性は、「感情的」と云うより、感情のコントロールが不能になる状態が発生する。
・脳内の無意識の、脳の仕組みに左右されてしまう「生き物」なのだと言う事です。

それが、ヒトの「雌(メス)」としての進化の中の「宿命」なのでしょう。

ですので、この時期、妊娠可能な女性に近づいて、めんどくさい話をすれば、爆発する可能性がありますので、面倒臭いが、注意する必要がある。

男は如何せん、排卵のタイミングは、女性によって「隠蔽」されいますので知る由もありません。

■地雷を踏むと「ホリエモン」の様な被害に遭います。
ホリエモンが女性の働き方改革になると提案した「低用量ピル」の効果 という記事。

 

2)骨が出すメッセージ物質

(1)人体を構成する骨
人体を構成する骨は、なんと約200個で構成さて、3年から5年で全部入れ替わります。そして人体は、「ネットワーク」をたくさん持っていますが、「骨」もまた、人体とネットワークで繋がりを持っています。

(2)骨細胞(骨の90%から95%を占める)と2つの細胞
・破骨細胞—>骨を壊す細胞
・骨芽細胞—>骨を作る細胞
上記、2つの細胞の骨の作り替えのバランスが崩れるとーーー>骨粗しょう症になる。

(3)骨の細胞の仕組み
■骨は、3年から5年で全部入れ替わります。どのように入れ替わるのかと云えば、「破骨細胞」で骨を壊し、「骨芽細胞」で骨を生産しています。

■コントロール方法
「骨細胞」で、骨を作れ、抑えると云った指令を出すためのメッセージ物質を作っている。

「スクレロスチン」は、骨細胞が出すこのメッセージ物質の一つで、骨を作るのを抑えるメッセージ物質で、これを「骨芽細胞」に出すと、抑制されます。

「破骨細胞」は、—>骨を壊す(カルシウムを溶かす)。
・骨細胞のスクレロスチンを抑制すると—–>「骨芽細胞」は骨を作る。
・骨細胞のスクレロスチンを発生させると—>「骨芽細胞」は骨を作らない。

実は骨細胞には「骨にかかる衝撃を感知する」という働きもあり、衝撃があるかないかによって、新しい骨を作るペースを決めているのです。

(4)なぜ、骨に「衝撃」を与える必要があるのか
骨に「衝撃」がかからない生活(歩かない、走らない)を続けていると、骨細胞が「スクレロスチン」を多く出して、「骨芽細胞」の数を減らし、骨の建設を休憩させてしまうことが、最新の研究で解明されています。

■骨に「衝撃」を与える(ランニング、ウォーキングなど運動をする)ことにより、「骨細胞」にあるセンサーが感知して、メッセージ物質「スクレロスチン」を出して骨を制御する。

「スクレロスチン」という「骨の細胞が出す物質」の異常発生により、「骨芽細胞」で骨を作るのが抑制されてしまう。

■骨に「衝撃」が、少ないとスクレロスチンの発生により、「骨芽細胞」が骨を作らなくなる。

よく高齢者が、骨折をして寝込んでしまうとダメになるのは、まさにこのせいですので、通常は、骨量の減少を防ぐ為に、なるべく歩かせるように訓練をする様です。若く健康でも、高齢者の骨量しかない場合は、「スクレロスチン」の大発生が原因となっている可能性が高いと語っています。

 

ここまでは、骨の生成の仕組みですが、もう一つ、大切な仕組みがあるのです。

3)脳にメッセージ物質を送っている

骨は、脳に「オステオカルシン」というメッセージ物質を血管を通じて送って、人体の大事な役割を果たしていますが、「骨量」が低下して骨が弱ると、骨から、膵臓へメッセージ物質を送れなくなります。

骨からの「メッセージ物質(オステオカルシン)」に関係している機能は、記憶力、筋力、免疫力、精力です。

骨の「骨芽細胞」が出すメッセージ物質には、「オステオカルシン」、「オスティオポンチン」があり、下記の4つの能力を高める為に必要な物質だそうです。

(1)記憶力、筋力
脳の「海馬」は、記憶力に関係していますが、骨の骨芽細胞が出す「オステオカルシン」という物質が血管から送られてきますが、これが少なくなると「海馬」の機能が低下する様です。筋力も影響します。

(2)免疫力
骨芽細胞が出す、別のメッセージ物質「オスティオポンチン」という物質は、「骨髄」内で生まれる免疫細胞を増やし、免疫力を高めています。

(3)精力
精巣の男性ホルモン「テストロテン」を増やし、精子を生産する役目もしています。

どれも、若さを保つための要素が、たくさん含まれています。

このように、骨は「体を支える」だけの機能だけではなく、「ホルモン」を分泌して全身の代謝を活性化する「内分泌器官」でもあるのです。

 

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