2025-05-27、
本日の書籍紹介は、『西洋近代の罪』 大澤真幸(著)です。
現代社会が抱える諸問題の根源を、西洋近代の思想と歴史の中に深く探求した意欲的な一冊で、環境問題、貧困、格差、戦争(紛争)など、現代の危機的状態が単なる偶然ではなく、西洋近代が築き上げてきた特定の価値観やシステムに内包されていた「罪」に由来するという、挑戦的な問いを投げかけます。
特筆すべきは、著者が単に西洋近代を批判するだけでなく、その「罪」を自覚し、それを乗り越えるための道筋を模索している点です。安易な西洋否定に陥ることなく、現代の我々がその遺産をどのように引き受け、いかにして新たな価値観を構築していくべきかという、極めて現代的な課題に対する示唆に富んだ内容となっています。
著者は、西洋近代の進歩史観、人間中心主義、合理主義、そして個人主義といった根幹的な思想が、その発展の過程でいかに負の側面を生み出してきたかを、多角的な視点から分析しています。
<目次>
第1部 離婚の危機を迎えている民主主義と資本主義
(1) 民主主義の幸せな結婚
(2) 離婚しようとする資本主義
(3) 自由――資本主義の魅力の中心
(4) 離婚の決心がつかない民主主義の運命
第2部 西洋近代の罪と向き合うとき
Ⅰ 市民的抵抗が極端に少ない例外的な国
1 21世紀、世界では「非暴力抵抗」が非常な勢いで増加している
2 〈世界〉ではなく、セカイで
3 「オタク」から「クイズ」へ……しかし……
Ⅱ どうすれば日本は「戦後」を清算できるのか
1 選ばれるのを拒否した主人公
2 「悪」に汚染された者として出発する
Ⅲ ガザ戦争と普遍的な価値
1 ガザ戦争とは何か
2 「交響圏とルール圏」の一形態としての二国家解決
3 内的な敵対関係
4 交響性はどこにあるのか?
5 仲介者はどこにいる
6 日本は何をなすべきか――ガザ戦争に対して
Ⅳ 西洋近代の自己否定?
1 世界的な大事件は二度起きる――ただし二度目は……
2 ふしぎなトランプ支持
3 ヨーロッパの(自己)否定としてのトランプ
————————————————————————-
■まとめ
『西洋近代の罪』は、専門的な内容を含みつつも、平易な言葉で書かれており、西洋思想や現代社会論に関心のある方であれば、大いに学ぶところがあるでしょう。現代社会のあり方について深く考察したい方、あるいは、既存の価値観に疑問を抱いている方にとって、本書は新たな視点と深い洞察を与えてくれる一冊となるはずです。本書をきっかけに、私たち自身の「近代」に対する向き合い方を改めて問い直す良い機会となるのではないでしょうか。
■『西洋近代の罪』感想
戦後、80年になりますが、本書は「現代社会」を読み解く上で非常に重要な視点を提供してくれます。
例えば、トランプ、プーチン、日本で言えば、兵庫県知事の様な薄気味悪い奴が、頭のおかしいクズに先導され、さらにSNSで先導され、バカどもの県民(集団)に持ち上げられ、なぜ当選する状態になるかなど、うまく表現している様に思います。
トランプがのし上がるのも、既存の支配階級(エスタブリッシュメント)に嫌気がさした、どちらかと云うと、教育水準の低い下層階級の国民が支持しているおかげで、通常であれば、とんでもない事を言えば引きずり降ろされるのにトランプはそうならない。むしろ、盛り上がるのはなぜなのか?
貧富の差が拡大してくると、下層階級の人間達は、言う事を聞かなくなり、反発するが、上位の人間達は気にも留めないが、いつか後悔する時が来ると思うのです。 想像もつかないしっぺ返しで。
何時の時代でも同じで、「愚民」が「クズ」又は「脳機能障害の為政者」に乗せられて、過ちを繰り返しているので、愚民が居なくならない限り、戦争も無くならないのです。
—関連記事—
・【書籍紹介】 社会学史 大澤 真幸 (著) 「本物の教養は頭に染み込む」ほんとかな?
Sponsored Links
コメント