【書籍紹介】 ヒトはなぜ、ゴキブリを嫌うのか?~脳化社会の生き方~  養老 猛司 (著)

2019年5月5日、
本日の書籍紹介は ”ヒトはなぜ、ゴキブリを嫌うのか?~脳化社会の生き方~
養老 猛司 (著) です。

ゴキブリのお話ではありませんので。

10連休も、もう少しで終わりますが、休みを取れた人、取れずに働いていた人と色々です。

休みを取れる立場に居ても、働かないと喰てゆけない人(沢山いる)、働くしか「能」のない人(今時、こんな奴は居ないか?)、休みは有ってもお金がないから遊びに行けなかった人にとっては、大変な連休でしたでしょうね。

今日あたりは、もう家にたどり着いた人、必至にたどり着こうとしている人たちで、混んでいるでしょう。 無事にたどり着けますように。

1.20年後の日本、変わるものと変わらないもの

「働き方改革」と言いますが、チビたちが居る親は、自分たちの時代を観て子供に、こうんな風に育ってほしいと、近視眼的に漠然と考えて育てるのですが、もう、これからの時代は、もちろん変わらないものも有りますが、子どもたちが、社会に出る頃には、AI(人工知能)が進化して、親が想像できないくらい世に中が変化してしまって求められる「能力」が変わり、増々、格差が拡大する時代になってくる様に思います。

残念ながら、今時、スマホ(コンピューター)さえも、まともに使いこなせない親が多勢に無勢を占めている世の中で、親が「想像・想定」できないことは、子供たちにも伝えることができないでしょう。ですので、増々、格差が拡大する時代になってくる様に思います。

もう一つ言えば、
漠然と「人工知能に仕事を奪われる」と思っている時点で、資本主義の社会の中で自分がどんな仕事をしているのか?理解できていない証拠です。 そんな人の仕事は、あっという間に無くなるでしょうから、別に「何の問題も無い」のですが。。。。。

例えば、

そもそも知能は遺伝子で決まるのか?」。。。これは違うでしょう。
頭のよくない親は、「そう遺伝子のせいよね!」と言って自分を納得させるのですが、これは遺伝ではなく、さまざまな経験、良い環境、知的生活習慣などが、子供の知能の発達に大きく寄与するのであって、決して遺伝子で決まるのではないでしょう。 そこが「認識」できない。

東大生の親は意識が高く、子供が小さい頃から知的好奇心を刺激する良い環境を与えていることが分かる。「賢い母親は、子供の能力を伸ばすようにうまく導くことができるので、子供が賢くなるのです」

「賢こくない母親」は、必ず、こう言います。「お勉強だけできてもね~」と。。。おいおい、あんたの子供は、「お勉強さえも、できない」という事を認識できていないのです。

バカは、遺伝子で連鎖するのではなく、親の育った環境とレベルが連鎖の元を形成しているだけでしょう(後天的な要素が重要な事に気が付かないし、自分にも経験がない為に理解できないのです)。

「養老 猛司」先生の著書の中に、「唯脳論」、「バカの壁」などの書籍がありますが、思考停止しないように、色々と、広く、深く、物事を考える必要が有るように思います。

その人が、経済的に豊かか、そうでないかに関わらず「バカの壁」を超えるのは難しいのです。

NHKの番組、人間ってナンだ?超AI入門 シーズン2 第11回「老いる」に、ゲストで養老 猛司先生が出演されていましたが、人工知能と人間の関係にも、非常に本質的な事柄をお話していましたのを覚えています。

物事を「近視眼的」に捉えるのではなく、AI(人工知能)と人間を語るとき、「人間の本質的な部分」をちゃんと捉えている処が、共感を持てます。

 

2.ちょっと、脱線しましたが、書籍の紹介です

数冊ですが「養老 猛司」先生の著書を拝読していますが、一見、簡単な言葉で書かれていますが、ものすごい難しい事柄を記載していて読んだ後、私の場合「頭」が悪いので、もう一度読み返し、考えないと、理解できない事があります。

こんな書き方、嫌いではありません。
簡単に、分かりやすく読めるが、ちゃんと考えないと、何が言いたいのか? 理解できない書き方ですね。 と言うより、ものの考え方でしょうか。

「脳」科学か。。。と思いきや、非常に「哲学」的な事柄が記載されていますので、ちょっと、ずるいですね。分かりやすく云えば、解決できない、解決されない問題がたくさん出てくるのです。

文章はそんなに難しくありませんが、ちゃんと考えていないと、読んでも理解することが、非常に難しい。 ちょっと曲者でしょうと言うより、「思考のレベル」が違い過ぎます。

ヒトはなぜ、ゴキブリを嫌うのか?~脳化社会の生き方~

– 目 次 –
■現実とは何か
意識は、なぜあるのか?
・脳の機能の基本は、コンピュータと同じである
・意識はひとつではない
・意識とは、自分の脳がどう働くかを知っているということ
・感情とは、脳のバイアスである

■自然と人間
人間は死んだら「モノ」なのか?「ヒト」なのか?

・人間は死んだら「モノ」なのか「人」なのか?
・死体には三種類ある
・人間は人工物ではなく、本来自然の存在
・荻生徂徠がいう「米は米、豆は豆」とは?
・社会の中で宗教が果たしてきた”ブラックボックス”の役割
・自然を破壊してきた文明は強い

■からだと表現
人間は「人工身体」と「自然身体」の
二つのからだを持っている
・いったい身体とは何か?
・日本では死者と生者をきれいに断ち切る
・数字で一般化された身体・・・「人工身体」
・歴史の上に立った身体・・・自然身体」
・「人工身体」と「自然身体」の埋まらない対立
・原理が違う、首から上と首から下の運動
・戦後、縮小していく身体表現と、肥大していく言語表現

■構造から見た建築と解剖
人工(脳)と自然(身体)との
釣り合いこそ重要である
・構造を見るうえで大事な5つの観点
・我々は目玉でものを見ているわけではない
・人工(脳)と自然(身体)との釣り合いこそ重要である

■ゆとりある生活の創造
人間は、意識だけでできているわけではない

・都市化を拒否している幸福の国・ブータン
・なぜ、ヨーロッパの都市は城壁で囲うのか?
・都市の中で、やむなく発生してしまうもの、それが人間の身体
・人間は、意識だけでできているわけではない
・ブータンと日本の小学生を、一年取り替えてみたらどうだろう

■現代社会と脳
「男」と「女」という言葉ができたとき、
性の連続が断ち切られた
・自然の中では、男と女の違いを分けることはできない
・男か女かわからないヒトは、自然にできてしまう
・人間が持っている自然は、女性に強く表れる

■ヒトを見る目
人間は、自分ができることの説明ができない

・人は自分で自分のやっていることを、よくわかっていない
・なぜ、宮本武蔵は一度も敗れなかったのか?

■子どもと自然
子どもを育てるとは「手入れ」をすること

・鎌倉の松は、なぜ消えてしまったのか?
・結局、「身についたもの」だけが財産となる
・なんで親は、子どもの教育に自信をもてなくなってしまったのか?
・子どものものを削って、大人のものをつくる時代になった
・都市とは、人間の考えたものしか置かないという約束のあるところ
・現在がどんどん大きくなって未来を食っていく
・子どもを育てるとは「手入れ」をすること
・メメント・モリ=死を忘れるな

■情報化社会と脳
「ああすれば、こうなる」だけになった現代社会

・脳を取り出して見てみる
・脳の出力は運動しかない
・人によって違う「現実」を統制するのが世間
・五感だけではない「美しい」「正しい」と感じる現実
・「ああすれば、こうなる」だけになった現代社会
・自然とは「ああすれば、こうなる」が成り立たない世界
・すでに都心ではバーチャル・リアリティになっている!

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どうでしょう、目次を見るとこんな内容です。 先生の「現実の世界観」と「人間の本質的な部分」が、うまく記載されている様に感じます。

追記
この書籍は、札幌駅ステラ5階の「三省堂」書店に平積されている文庫本から、新しく発見した書籍です。ほぼ毎日通っていると「平積」されている文庫本や棚の書籍でも、新刊の書籍をすぐに発見出る様になっています。

著者も、特に出版社は、出版して、売れるかどうかを気にしていますので、今の世の中で、興味をそそる書籍が出版されています。同時に、世間で何が話題になっているかも、透けて見えるのです。

 

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