【書籍紹介】 ヒトの発達の謎を解く  明和 政子 (著)

2019年10月11日、
本日の書籍紹介は、「ヒトの発達の謎を解く」  明和 政子 (著) です。

著者は、2016年1月に放映された NHKスペシャル「ママたちが非常事態!?」と云う番組に、人間の脳と心の育ちを専門とする研究者として、番組作成に関わった先生です。

この番組は、私もブログで2度も取り上げ、続編もあるくらい、この放送が大反響だったそうです。

関連記事
・HKスペシャル「ママたちが非常事態!?」 子育てがつらすぎる! なぜこんなに不安で孤独なの?私って、母親失格? 母親になる前に知っておくべき「脳」の仕組みについて。
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今年、読んだ書籍の中で、私にとって、最も良かった良書の一冊に、させてもらいます。

ヒトの発達
ヒトの子供は、生まれ、25歳くらいに達するまでに、どのように脳が発達してゆくのか、生きてゆく上で、養育環境により、「脳」が、どのように影響を受けてしまうのかが論理的に記載されています。

人間がまともに成長するには、いかに幼少期の社会や親との関係が重要か、ヒトの脳の機能、いかに「脳」が発達するのかが、読んでいて認識できるでしょう。

親の資質も含めた養育環境
愛着障害」がなぜ発生してしまうのか、なぜまずいのか、が、この1冊で分かり、愛着がどれだけ大切かも理解できると思います。 将来、子供を産み、育てる可能性のある女子には、必携の書籍です。

現代社会の中で、上位ではなく、下層の方で大きく変化、変動していますが、少子高齢化の中でも、子供を身近で育て上げるのは、母親ですが、この養育者が狂っている状態が、親子代々連鎖すると、取り返しのつかない事が起ってしまいます。

ただ、産めや増やせの問題ではなく、質の高い子育てができる環境を作れるかどうかも重要で、人を観る目が無い女性が、クズと結婚して、ダメと分かり離婚して、子育てに困り、貧窮しても、自己責任としてとらえるのではなく、もっと安心して子育てできる環境を与えてあげる社会福祉的な考え方がもっと必要でしょう。

■ヒトの発達の謎を解く

– 目 次  –
第一章 生物としてのヒトを理解する
第二章 学習し続ける脳と心
第三章 他者の身体なくしてヒトは育たない
第四章 脳が集中して学習するタイミング
第五章 発達の本質が崩れるとどうなるのか?
第六章 人類の未来を考える

——————————————-

現代社会において急増する子育てにまつわる問題━発達障害の急増や幼児虐待、産後うつなど育児や子育てにまつわる様々な問題、少子化、若年層の精神疾患の急増などの背景にある本質を正しく理解する事です。

 

1.私も冒頭で、こう書いています。

自分の体や頭は、自分の意思で、すべて支配していると思っていたら、大きな間違いです。 ほぼ、「脳」の無意識に支配されています。

ただ、「脳に支配」と云っても、脳内に「神経伝達物質」として働く、「脳内ホルモン」のお話が始まります。 神経伝達物質と呼ばれているものは、例を挙げると、γ-アミノ酪酸(GABA-ギャバ)、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどです。

「脳科学」の分野でも、「脳神経細胞(ニューロン)」の研究はかなり進んでいますが、この「脳神経細胞」を包んでいる「グリア細胞(アストロサイト)」の事は、研究が100年ほど遅れているそうです。 このアストロサイトは、ニューロンの成長・衰退を支える重要な役割を抱えています。

私が、いつもAI(人工知能)の事を「まだまだですよ」と云うのは、この辺りの事も含んでいます。 いかんせん、脳の神経細胞は研究が進んでいますが、例えば「グリア細胞」の役割と機能が判明していないのに、人工知能が、ハイで来ました。と言われても。。。何のこっちゃ? でしょう。脳はそんなに単純ではないのです。

1千億個の脳神経細胞と100兆個のシナプスについても、そのネットワーク上で、どんな仕組みで、記憶されて、それが再生されるのかも、まだ分かって居ません。

最大の問題は、「心は、どこにあるの?」です。 まだ誰もそのメカニズムを解明していません。 こうだろうと言われていることは多々ありますが。。。。

人間として、生きる原動力「心」、「自己意識」は、いつ、どう発動されるのか?

人間とは、何者なのか?

私の場合、「人工知能」の前に、受精卵から、お母さんのおなかの中で胎児になり、ヒトとして生まれてくるまでの脳の発達や仕組みに非常に興味がありますが、この脳が形成される過程は奇跡のような変化が起こっています。

多分、知能がそんなに高くないと、サルやチンパンジーと同じで、こんな疑問も沸いてこないでしょう。 半径5m以内の事柄で、精一杯でしょうから。

 

2.神経細胞の刈り込み

脳の機能で面白いのは、1つ挙げると、神経細胞の刈り込みで、胎児や生後1歳、思春期の各段階で、脳神経細胞がフルスペック状態になった後、使わないネットワークを刈り込んで切断してしまいます。 例えば、言語を覚える時期にその環境に育たないと(狼に育てられたなど)一生、言語を使いこなすことができないでしょう。 目も、生まれてすぐ、目をふさいでしまえば、脳の「視床下部」の視神経が刈り込まれ、一生、目が見えない状態になるでしょう。

よく「お前、脳みそ入っていないだろう!」と云いますが、完全に間違っています。

「脳みそ」が、入っていないのではなく、神経細胞ネットワークが刈り込まれていて、ニューロン(神経細胞)が、シナプスで繋がっていないだけです。 悲しいですが。。。

本書では、生まれてから、どのような時期に「神経細胞」のネットワークが、構築されてゆくかについて、タイミング(時期)も含めて記載されています。

 

3.子供を養育している時に悩むこと

母親が、子供を育てるときに悩むことです。
・夜泣きがひどいのは、なぜ?
2歳頃から始まる子供のイヤイヤ期なぜか?
出産後、夫に苛々するのは、なぜか?

お母さんたちって、情報の格差も激しい様で、全体的に低レベルの知的環境の中で、年に1冊の書籍も読まず、半径5m以内だけ気にかけながら、平気で人生を送っているメスが、突然、母親になった、「無知」の母親が多すぎます。

本当は、人間の「子供」を育てるために、膨大な量の知識が必要なのですが、そもそも、そんな感覚は持ち合わせていない。 生まれたら、なんとかなるだろう程度でしょう。核家族化が進み、子育てで相談できる人も居ない。母親だけが、悩み、苦しむ。 自業自得だか。

こんな体たらくな親もいますので、赤ちゃんは大変で、養育環境の違いをカバーしながら、なるべく個体差が生じないように成長しなくてはなりません。 しかし、幼少期に、「脳」のいかれた親に、DV、ネグレクトなどを受ければ、アウトで、ほぼ、脳神経細胞は通常の配線にはならず、破壊されてしまうでしょう。

幼少期から思春期にかけて、脳を破壊的に傷つけられた状態になれば、一生、生きにくい生き方をしなければならなくなってしまう事が想像できないのです。

ヒトは、「脳」が狂うと、社会的な生き物として、幸福に生きてゆけなくなるのです。

子供の脳の配線は見えませんので、低能な親にはそんなことは理解していませんし、認識不能でしょう。 おそらく、親と同じように、社会の中で「生きにくい」生活を送る羽目になるのです。 このように連鎖するので、始末に悪いのです。

これは、どの階層にいる親でも同じで、頭の配線のおかしい人間は、下層の人間だけとは、限らないのです。 「毒親」然り、「発達障害」、「愛着障害」、「人格障害」など、社会の階層に関係なく、精神疾患を背負った親が存在しています。

 

4.ニューロダイバーシティ(神経構造の多様性)

ダイバーシティ」と云う言葉が出てきていますが、ジェンダー、人種、LGBTと云った多様性も大切ですが、「ニューロダイバーシティ(神経構造の多様性)」についても、考えないと、とんでもない人間が多数出てくる可能性もあります。

この問題は、社会の中でどう扱うのかが、問題になってくるのですが、何も進みません。

少子高齢化の中で、子供の数が少なくなっている割に、とんでもない人間が現れるようになっています。

人間が人間を育てていますので、育てる人間(養育者)の脳がおかしいと、生まれて育った子供も、先天的、後天的でも脳の配線がおかしくなってしまうことを覚えておく必要があります。

親から子へと、脳の特性上、連鎖しますので、そこを対策できないと、野放し状態が続くだけでしょう。

 

5.認知障害

ニューロダイバーシティ(神経構造の多様性)」と云うと、「発達障害」、「愛着障害」、「人格障害」などが浮かびますが、それ以前の「脳」の認知機能に障害がある問題もあります。

問題を起す子、そうでない子も含めて、小学生のときに、知能検査を実施しますが、IQが69以下だと支援学級でしょう。

だが、IQが70から85の人たちは、境界線上の人たちボーダー(境界知能)と言われて、正常として、一生扱われます。

補足説明———————————————————-
知的障害
■IQ:70 – 85 ボーダー(境界知能)と呼ばれている 知的障害者とは認定されない。
■IQ:69以下が、知的障害(IQにより、軽度、中等度、重度の分けられる)。

認知機能とは
外界を正しく認識し、正しく実行するための機能のことで、記憶力、知覚、注意力、言語理解、判断、推論などの幾つかの要素が含まれた知的機能を指します。
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しかし、ボーダー(境界知能)の人たちは、やはり、認知機能的に劣っているため、色々な問題を起こしてしまうのですが、正常ととして扱われていますので、何のケアも有りません。

少年院で、観ている、精神科医の先生のお話が、「ケーキの切れない非行少年たちとして記載されていますので、読んで欲しい書籍です。

先生は、少年院などで子供たちを見ている過程で、問題を起こして、少年院に入ってこなくても、軽度知的障害(知的障害の8割)、ボーダー(境界知能)の人たちは、知能検査で、問題なしと判定され、認知機能が低いのですが、健常者と見分けがつかなくなり、「忘れられた人々」として、普通の学校でも、困っている子供たちがたくさん居ると言っています。

画一化された学校教育の現場では、このような生徒たちを置いてきぼりにします。ですので、後から色々な問題を起こしてしまう要因になっている様です。

「不登校」や「引きこもり」になる人たちの何割かは、発達障害を背負った人たちだと言われていますが、同じように、ボーダー(境界知能)と呼ばれている人たちが含まれていると予測します。

ケーキを3等分出来ないんですよ。 何で?と思いますが、人間、同じものを観ていると思ったら大きな間違いです。

認知機能に問題が有れば、ありえないことが、本人にとっては、真実になるという、恐ろしいことが発生するのです。

問題を起こした不良の少年・少女ではなくても、世の中の十数%の人間は、このような認知機能が極めて低いまま、社会に出て、生きにくい生活を送っているのです。

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