【書籍紹介】 改訂新版 『人間 この未知なるもの』 アレキシス・カレル (著)

本日の書籍紹介は、改訂新版 人間 この未知なるもの アレキシス・カレル (著)です。

著者は、1912年ノーベル生理学・医学賞を受賞したフランス人(1873年6月28日生まれ)です。 この本の初版は1935年ですので、私がこの世に生まれる前です。

さすが、何十年も改訂を繰り返してきた書籍です。 人間という不思議な生き物の正体は分かりませんが、現在、分かっている時点での「概論」でしょう。

人間の中にある広大な「未知の世界」。

実際、われわれは、本当に何も知らない…。

人間は進化しているのか。退化しているのか。科学は真の幸福をもたらしたか。

人間について、つまり、自分自身について、「何者なんだろう」と不思議に思う「心」が無い人は、多分、人間以外の動物と同じなんでしょうね。 

なぜなら、人間以外の動物は、絶対に、自分自身について「何者なんだろう」と不思議に思わないでしょうから。

 

▮改訂新版 人間 この未知なるもの アレキシス・カレル (著)

目次
第1章 人間とは何か―その多様な資質の未来
第2章 「人間の科学」―知識の分析から総合へ
第3章 行動する身体と生理的活動
第4章 「精神」―その力の解明の歴史
第5章 人生の密度と「内なる時間」
第6章 変化と適応の構造
第7章 「知的個人」の確立
第8章 人間再興の条件
—————————————————–

読み進んでゆくと、そんなに難しい文章で記載されていなのですが、私が一番関心のある人間に関する不思議をさらっと書いてあるのです。

さらっと書いてあると言っても、この不思議について、ある程度、細部まで知識が無いと(勉強していない)と、何が、どう不思議なのかも、きっと分からないでしょう。

 

例えば、3章の「行動する身体と生理的活動」の「11 内蔵の神経系統」の「内臓器官と中枢神経のつながり」で、

自律した器官は中枢神経系統につながっているが、これこそが人体の器官の機能をすべて調整する。それは脳の中枢で代表され、この中枢が感情の表現を決める。この部分に傷や腫瘍ができると、情緒的な機能障害が起こる。

人間の感情表現は、実に内分泌腺の作用によるものである。

このことは、体の「臓器」は、「脳」を含めて、ネットワークを構築していて、信号を出し合って、お互いに連絡し、調整している。さてどんな仕組みか?

例として、ストレスが貯まると、体の臓器のどこから、どんな物質が出て、どこに連絡が届くのか? そして、それがどう作用するのか?

自分にストレスがかかれば、腸も脳も反応します。腸内のマイクロバイオームも変化します。副腎から脳に向かってホルモンも放出されます。さあ、どんなホルモンでしょう?

ここまで、理解していないと、何を言っているのかも分からないでしょう。

始めて読む人と言うより、人間の体と精神の繋がりを何も理解していない人には、何が言いたいのかも分からないでしょう。

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こんな書籍に、めったに当たりません。これだけ読んでも、人間の不思議は解決しませんが、人間について、今まで吸収してきた知識の「集大成」、「まとめ」みたいな書籍で、後から、何度も読み返すにふさわしい書籍だと思います。

 

追記
NHKのシリーズ「人体」という番組で、山中伸弥先生が言っていましたが、「私の学生の頃と、全然、医学の進歩が違っています」とおっしゃっていましたが、今の医学生も、まだ、習っていることが古く、まだ遅れているのかもしれません。

今、医学の世界で、これまでの「人体観」を覆す、巨大なパラダイムシフトが起こりつつある。今までは、人体のイメージと言えば、「脳が全体の司令塔となり、他の臓器はそれに従う」というものだった。

ところが最新科学は、その常識を覆した。なんと、「体中の臓器が互いに直接情報をやりとりすることで、私たちの体は成り立っている」そんな驚きの事実が明らかになってきた。

医学生にも、人体の細部について学ぶ前に、人体、人間の「概論」の様な、この書籍を一読することを進めます。

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