2022-04-06、
本日のお題は、大きな社会問題なのですが、取り上げられることの少ない問題で、東洋経済ONLINEの記事からです。学校で「発達障害」の子どもが急増する本当の理由、そして、発達障害は増えているのか?
確かに、人類学的に言えば、この様な障害? を持ったヒトは、昔から少数ですが、存在していたのです。 遺伝学的にも、この様なヒトが排除されなかったのには、理由があるのでしよう。
この集団を構成している人間その物は、階層ではなく、個々の人間脳の性能、特性、障害の状態を知っておくことも必要です。自分が、社会の中で、どの階層に居るのかは、薄々分かる、認識できるでしょうが、自身の「脳」の配線状態は、認識できていないでしょう。
昔から、世の中でイノベーションを起こす人たちは、普通のヒトたちとは、ちょっと「脳の配線」が違う人たちなのです。 アインシュタイン、ビルゲイツ、スティーブジョブズなど、普通の脳のヒトはイノベーションを起こせない、みんな仲良く体制を維持する脳しか持ち合わせいないのでしょう。そう、いつの時代でも最悪の脳をした「サイコパス」の独裁者に騙されて、引きずられて、戦争を起こしてしまうのも、人類共通の弱点でもあります。
結論から先に言えば、
■「発達障害の診断基準」が変更された事による潜在数が表面化してきた事。今まで見過ごされ、認識されていなかった事が、明らかになってきた事により表面化しただけです。
■最近の研究では発達障害は、生物学的要因(遺伝)と環境要因の両者が関係していると考えられています。
現代社会の中で、とりわけ、生殖(高齢化の妊娠、出産)環境の変化、化学物質の暴露などにより、この様な子供達が増えてきて、先天性の障害も含めて、もうすでに「親」の世代にも、脳に影響を受けた人が沢山いて、親から子へと増加する傾向は止まらない様に思います。
私も、2016年5月に、下記の記事を記載してから6年が経ちます。
・「発達障害」という言葉だけが先行し、脳科学の「社会の理解が進んでいない」
未だに理解が進んでいない現状を観ると残念に思いますが、精神科の専門医でも診断が難しい分野でもあります。如何せん、手の指が1本無い、足が無いのとは全然違い、脳の配線の問題ですので、白/黒を付けるのも、その中間のグレーゾーンさえも、どのくらい色が濃いのか、薄いのかさえも、はっきりさせる事が困難な状況には変わりません。
アメリカ精神医学会によって出版された「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」でさえ、DSM-5で、自閉症の分類で、アスペルガー症候群などと云うい方を止めて、ASD(自閉症スペクトラム症)と改め、自閉症を含めて、これらはすべてスペクトラム(連続体)上に存在すると言っています。
ここに3本の東洋経済ONLINEの記事があります。
■「発達障害」増加の裏で教師の休職続出が止まない 2022年4月5日
■学校で「発達障害」の子どもが急増する本当の理由 2022年4月1日
■発達障害児「学級に2人」、衝撃結果が広げた大波紋 2022年3月31日
ここに挙げた3本の記事から見えてくることは、文部科学省が精神科医でもない学校の先生に、子供たちの脳の状態を調査報告させ、対策を取ってきているが、うまくいっていないし、何より、虐待、いじめの問題など、「ニューロダイバーシティ」の観点からすると、何も解決できていない。 そして、その影響は、学校の管理強化により、学校の先生にまで、影響がでて、教師の休暇続出が止まらない状態になっている。
生徒たちをみるべき教師が、このような「ミイラ取りがミイラになる」状態になってしまうのは、危機的状態でしょう。
1.日本の文部科学省は何をやっていたのか?
1)発達障害が学校現場で問題となるようになった背景は?
1つは、1998年から問題となった「学級崩壊」。
昔は「学級の荒れ」と言われていたものが、経済崩壊の比喩として学級崩壊と呼ばれ、「キレる子ども」が増えていると報道されるようになりました。もう1つは、1990年から2000年代にかけての少年犯罪の多発です。
子どもが加害者・被害者となった「凶悪」と呼ばれる少年犯罪が起こりました。こうした学級崩壊と少年犯罪事件の原因として、発達障害が指摘されるようになりました。この時期は、教師の指導力不足や母親のしつけが問題視されていた頃でもあります。発達障害、つまり「脳機能の障害」が原因だとされたことは、教師や親からしても、ある意味ほっとする都合の良い事実だったとも言えます。
2002年に文部科学省が初めて行った「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」は、発達障害の実態を明らかにする目的で始まり、その後10年ごとに実施され、2012年、そして今年も行われている。
こともあろうに、75項目で教師が児童を「点数化」して、文部科学省に報告しているのです。
いやいや、先生たちは「精神科医」じゃないだろう。 専門外の学校の教師(先生)に任せている文部科学省もどうかしているのです。
専門医でもない人間に、生徒に点数を付けさせるなら、一般企業に勤める労働者に対する判断なら私にもできます。 こう言うでしょう「一番、身近で見ているのは私だ」と、しかし、学校の先生レベルでは、発達障害、人格障害、愛着障害に関連する知識は、ほぼ深くないでしょう。それに比べれば、私などは「関連する書籍を数百冊読んでいますので大丈夫」などとは、いかないのです。
2)脳の配線の具合を診断できる学校の教師など、未だかつて見たことがないし、私にも無理です。
この障害は、「発達障害」なのか、「人格障害」なのか、「愛着障害」なのかは、例えば、犯罪者を精神鑑定する専門医でさえ、鑑定書の内容が分かれる事が多々あるのです。
「先天性」なのか、生後の「養育環境」なのか、この2つに関連性があるのか、ないのか、非常に難しい判断が要求されます。 遺伝子学的にも、「エピジェネティック」と云う現象もあります。
1人の人間の脳の配線の全貌をつかもうとするには、親や幼少期の養育環境から現在まで、膨大なデータが必要になるでしょう。 AIの助けが必要でしょう。
2.さらに言えば、「境界知能」という問題もあります。
本当は、まず、この問題から取り組むべきだと思うのですが、どうでしょう。発達障害とは違う、この境界知能という問題こそ、教育機関で、見捨てないで、対策ができる問題ではないでしょうか。
1)「ケーキの切れない非行少年たち」 宮口幸治
▮「境界知能(ボーダー)」とは、
IQが70~84程度で、いわゆる「知的障害」(IQ69以下)とまでは言えないが、現代社会では、普通学級で教育を受けて、そのまま社会に出されて、生きていく上では相当程度の困難に直面していると考えられている人たちのことです。
医療少年院で「丸いケーキの3等分」ができないのは、「境界知能」ゆえなのだという。
宮口先生は、少年院などで子供たちを見ている過程で、問題を起こして、少年院に入ってこなくても、軽度知的障害(知的障害の8割)、ボーダー(境界知能)の人たちは、知能検査で、問題なしと判定され、認知機能が低いのですが、健常者と見分けがつかなくなり、「忘れられた人々」として、普通の学校でも、困っている子供たちがたくさん居ると言っています。
学校内で起こっている「いじめ」、「不登校」、「引きこもり」の問題にも十分関連している事なのです。
普通の社会でも、困っている大人たちがたくさん居ると考えると、社会の中で、色々なものが見えてきます。先生は、「忘れられた人々」と言っていますが、私は、ある程度見えますので、忘れてはいません。頭を傾げてしまう「不思議な人々」とでも言いましょうか。
—補足説明———————————————————-
<知的障害の区分>
■IQ:70 – 85 ボーダー(境界知能)と呼ばれている 知的障害者とは認定されない。
でも、こんな子供たちが、普通学級に十数%存在しているのです。
■IQ:69以下が、知的障害(IQにより、軽度、中等度、重度の分けられる)。
<認知機能とは>
▮外界を正しく認識し、正しく実行するための機能のことで、記憶力、知覚、注意力、言語理解、判断、推論などの幾つかの要素が含まれた知的機能を指します。
歳を取って「認知症」になる場合もありますが、若くても「認知機能」に偏りのある人もいるのです。
2)どうしても頑張れない人たち~ケーキの切れない非行少年たち2 宮口幸治
前作は、「境界知能」をテーマにして、どのような人たちなのか、どのような対策をすればよいのかまで記載されていましたが、第二弾は、「どうしても頑張れない人たち」より具体的にどんな子なのか?、そしてそんな子たちを支える支援者や、その支援者まで支える必要があることを訴えて、対策まで記載されています。
ですが、この問題は、小学校の学校教育レベルで、考えるレベルですが、教育の指導要領にがんじがらめにされた、教育現場では、こんな子たちまで面倒を見切れないと言っています。
義務教育であっても、小学校、中学校でも、「境界知能」の子たちは「留年」させるべきでしょう。みんな同じではないのです。 義務教育制度も変える必要があるでしょう。
先生も、ちゃんと支援者と支援者を支える人が居て、しっかりしていれば、改善する余地は十分に残っていると言われています。
犯罪や引きこもり、いじめ、虐待、DV、貧困などの色々な社会問題の発生にも、大きく絡んでいるのは確かで、生きにくい生き方をしている人たちを支援して行く必要があるのではないでしょうか。
最後に、
今の日本の社会の中で起きている「社会問題」を上げれば、DV・虐待、いじめ、依存症、貧困、孤立・孤独死、引きこもり、教育問題(不登校)など、世の中の階層をまたいで発生している。特権階級も例外ではない問題は、やはり、脳の配線がおかしいと発生してしまう問題でしょう。
その中で、DV・虐待、いじめなど、悪意のある行動は、世の中で、隠れてひっそりと行われているので、たちが悪い。
「ダイバーシティ(多様性)」と簡単に言いますが、この「ニューロ・ダイバーシティ(神経構造の多様性)」の問題は、社会の中でどう扱うのかが、問題になってくるのですが、何も進みません。
「ダイバーシティ(多様性)」とお題目ばかりでは、何も問題は解決しないのです。
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