【精神疾患】サイコパスとASD(自閉症スペクトラム症)の違いについて 共感力の違い

2026-01-09、
本日のお題は、
「サイコパス」と「ASD(自閉症スペクトラム症)」の違いについて、共感の種類による違いについて

自閉症者(ASD:自閉症スペクトラム症、アスペルガー症候群も含む)には、「認知的共感」は弱いが、この「情動的共感」は、よい環境で育っていれば、ちゃんとある。

反社会性人格障害者(通称サイコパス)の場合は、「情動的共感」が無く、共感する心がないと言われているが、むしろこの「認知的共感」あるのです。

「ASPD(反社会性パーソナリティ障害)」と「一次性精神病質(プライマリー・サイコパシー:精神病質)」は、どちらも他者の権利を軽視し、社会的なルールを守らないという点で共通していますが、専門的には「行動の障害」か「気質の障害」かという重要な違いがあります。

<ASPDと一次性精神病質の関係図>
これらは重なる部分が多いですが、イコールではありません。

項目 ASPD
(反社会性パーソナリティ障害)
一次性精神病質 (サイコパシー)
焦点 「行動」(犯罪、嘘、無責任など) 「性格・感情」(冷酷、無共感、魅力)
判定方法 医師による臨床診断(DSMなど) 心理テストやチェックリスト(PCL-Rなど)
社会生活 衝動性が高く、社会に適応しにくい。 非常に知能が高く、成功者として紛れ込む場合もある。

ざっくり言うと、ASPDは診断名(状態)であり、一次性精神病質はその中の「冷酷で動じないタイプ」の性質を指します。

共感の種類と障害による違い
ヒトが、生れつき、あるいは幼児期からの発達段階に、「脳」が阻害されると、共感することを欠如するようになる場合がある。また、共感には2種類ありますが、一般的に男性は、女性より共感性の中でも、情動的共感が低い傾向があります。

共感は、2種類に分類されていります。
・認知的共感(:cognitive empathy)と情動的共感(:affective empathy)

■「共感」を一括りにせず、「相手の視点に立つ能力(認知)」「相手の感情を分かち合う能力(情動)」を分けて考えることで、ASD(自閉スペクトラム症)とサイコパス(反社会性パーソナリティ障害)の特性の違いがより鮮明に理解できます。

現代の心理学や脳科学における「共感の二重プロセス」という視点から見て、非常に的を射た鋭い整理です。 それぞれの特性について、補足を含めて詳しく解説します。

1. ASD(自閉スペクトラム症)の場合

「認知的共感」は苦手だが、「情動的共感」は備わっている

ASDの方は、相手の表情や文脈から「今、この人はこう考えているはずだ」と推測する(心の理論)ことには困難を抱えることが多いです。しかし、相手の苦しみや喜びを「自分のことのように感じる」能力が欠如しているわけではありません。

  • 認知的共感の弱さ:
    暗黙の了解や、遠回しな言い方から相手の意図を汲み取ることが難しいため、「冷たい」と誤解されることがあります。

  • 情動的共感の存在:
    相手が泣いているのを見ると、理由がわからなくても自分も辛くなってしまうような、ピュアで強い共感性を持っている人が多いです。

  • 環境の影響:
    安心できる環境で育つことで、自分の感情と他者の感情を適切に整理する術を学び、その高い情動的共感を生かして深い信頼関係を築くことができます。

 

 

2. サイコパス(反社会性パーソナリティ障害)の場合

ASPD(反社会性パーソナリティ障害)」と「一次性精神病質(プライマリー・サイコパシー)」は、どちらも他者の権利を軽視し、社会的なルールを守らないという点で共通していますが、専門的には「行動の障害」か「気質の障害」かという重要な違いがあります。

ざっくり言うと、ASPDは診断名(状態)であり、一次性精神病質はその中の「冷酷で動じないタイプ」の性質を指します。

ASPDの人の多くはサイコパスではないが、サイコパスのほとんどはASPDの診断基準を満たす」と言われます。つまり、サイコパス(特に一次性)はASPDの中でもより「感情の欠如」が際立った、特殊なサブタイプだと考えると分かりやすいでしょう。

ASPDは「社会のルールを無視し、他者を傷つける行動パターンを持つ障害」であり、その中でも一次性精神病質は「生まれつき共感力や恐怖心が欠落しており、冷静に人を操る性質」を指します。

「情動的共感」は欠如しているが、「認知的共感」は非常に高い

サイコパスの最大の特徴は、他者の苦痛に対して感情的な反応(胸が痛む、申し訳ないと思うなど)が起こらない点にあります。しかし、相手を操ったり、社会に溶け込んだりするために「相手が何を考えているか」を分析する能力は極めて高い場合があります。

  • 認知的共感の高さ:
    相手の弱点や望んでいることを論理的に把握するのが得意です。これを利用して、人を惹きつけたり、巧みにマインドコントロールしたりすることがあります。

  • 情動的共感の欠如:
    相手がどれほど苦しんでいても、それを「データ」としてしか捉えられず、痛みを感じません。この「冷徹な計算」ができる点が、反社会的な行動に繋がるリスクとなります。

 

比較まとめ

特性 認知的共感 (相手の視点に立つ) 情動的共感 (相手の痛みを感じる)
ASD 苦手(推測が難しい) あり(時に過剰に反応する)
サイコパス 得意(分析的に把握する) なし(響かない)

 

 

3.なぜ、サイコパスの特徴として、他者の苦痛に対して感情的な反応(胸が痛む、申し訳ないと思うなど)が起こらないのか? 脳のどこに問題があるのか? 偏桃体、前頭葉、側坐核か?

サイコパス(反社会性パーソナリティ障害)の脳に関する研究では、まさに挙げられた「扁桃体」「前頭葉(特に眼窩前頭皮質や腹内側前頭前野)」「側坐核」が主要なキーワードとなります。

サイコパスが「他人の痛みに対して胸が痛まない」のは、単に一つの部位が壊れているわけではなく、「感情を感じる部位の反応が弱く、かつ報酬(利益)を求める部位が暴走している」という、脳内のバランスの崩れが原因です。

主な要因を脳の部位別に整理します。


1)扁桃体 (Amygdala):感情のスイッチが入らない

扁桃体は、恐怖、不安、共感などの「情動」を司る中枢です。

  • 反応の低下:
    サイコパスの脳では、他人の恐怖の表情や苦痛の叫びを見ても、扁桃体がほとんど活動しません。つまり、脳が「これは大変なことだ」というアラームを鳴らさないのです。

  • 構造の違い:
    一般的な人と比較して、サイコパスの扁桃体は体積が小さく、形が変形しているという研究結果もあります。これにより、他人の痛みを自分の痛みとしてシミュレーションする機能が働きません。

 

2)前頭前皮質 (PFC):ブレーキと連携の不全

特に、意思決定や道徳的判断に関わる腹内側前頭前野(vmPFC)眼窩前頭皮質(OFC)が重要です。

  • 扁桃体との連携断絶:
    通常、扁桃体で発生した「嫌な予感」や「痛み」の信号は前頭葉に送られ、「これは悪いことだからやめよう」というブレーキがかかります。しかし、サイコパスはこの連絡通路(回路)が極めて弱いため、感情的なブレーキが作動しません。

  • 冷徹な計算:
    一方で、論理的な思考を司る背外側前頭前野などは正常(あるいは活発)であるため、「相手をどう利用するか」という戦略的な思考(認知的共感)だけがスムーズに動きます。

3)側坐核・線条体 (Nucleus Accumbens / Striatum):報酬への過剰反応

ここは「快楽」や「報酬」を司るドーパミン回路の一部です。

  • 報酬への執着:
    サイコパスの脳は、他人の痛みよりも「自分が得られる利益や快楽」に対して、側坐核が過剰に反応します。

  • 他者の苦痛を「報酬」と誤認:
    恐ろしいことに、一部の研究では、他人が苦痛を感じているシーンを見た際、通常の人は「不快(扁桃体)」を感じるのに対し、サイコパスは「快感(側坐核)」に関連する部位が活性化するケースも報告されています。


■脳の仕組みまとめ

部 位 サイコパスの脳での状態 もたらす結果
扁桃体 活動が極めて弱い 恐怖心がない、他人の痛みに無関心
前頭葉 (vmPFC) 扁桃体との接続不全 道徳的なブレーキが効かない、後悔しない
側坐核・線条体 過剰に活動する 自分の利益や刺激を異常に追い求める

 

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