2025-07-22、
本日の書籍紹介は、「あの戦争」は何だったのか (講談社現代新書) 辻田 真佐憲(著) です。
辻田 真佐憲氏のこの新刊は、これまで「保阪正康」氏や「半藤一利」氏が提示してきた「あの戦争」への問いに、新たな切り口と現代的な視点を加えて答えるものとして注目されています。
<目次>
はじめに
第一章 あの戦争はいつはじまったのか――幕末までさかのぼるべき?
第二章 日本はどこで間違ったのか――原因は「米英」か「護憲」か
第三章 日本に正義はなかったのか――八紘一宇を読み替える
第四章 現在の「大東亜」は日本をどう見るのか――忘れられた「東条外交」をたどる
第五章 あの戦争はいつ「終わる」のか――小さく否定し大きく肯定する
おわりに
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【本書の内容】
●日中戦争を「支那事変」と呼んだ背景
●「ペリーこそ戦犯」と主張した石原莞爾
●「アジア・太平洋戦争」か、それとも「大東亜戦争」か
●米英との「協調外交」は可能だったのか
●近衛文麿の「知られざる慧眼」
●東条英機による「史上初の外遊」
●「パレンバン奇襲作戦」の真実
●南京大虐殺記念館の「意外な実態」
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この書籍は、戦後80年を迎えるにあたり、右でも左でもない視点から「戦争の全体像」を描き出すことを試みています。『「戦前」の正体』の著者である「辻田真佐憲」氏が、現代人のための新しい日本近現代史を編み直すものです。
本書は、「アジア・太平洋戦争」と「大東亜戦争」の呼称問題から始まり、米英との協調外交は可能だったのか、近衛文麿や東条英機の役割、さらには戦艦大和、特攻隊、原子爆弾といった象徴的な事象についても考察しています。また、当時の新聞が果たした役割や、統帥権の問題、八紘一宇といったスローガンが持つ意味合いについても深く掘り下げています。
特に以下の問いに焦点を当てています。
・「あの戦争」はいつ始まったのか?
・日本はどこで間違えたのか?
・掲げた理想はすべて誤りだったのか?
・「大東亜」は日本をどう見ていたか?
著者は、歴史を客観的なものとしてではなく、常に現在からの解釈であると捉え、ジェンダーやマイノリティの問題、精神疾患といった現代的な視点も交えながら、過去を「再発見」することを試みています。また、戦争の原因がすべて日本の侵略にあるという構図や、中国側の主体的な動きへの認識など、これまでの歴史認識を相対化し、多角的な視点から「あの戦争」の核心に迫る内容となっています。
詳細な情報や購入については、以下のリンクもご参照ください。
■辻田 真佐憲氏(つじた まさのり、1984年8月22日 )について
辻田真佐憲さんは、著述家、評論家、近現代史研究者として活躍されています。
<主な活動と研究テーマ>
- 専門分野:
政治と文化芸術の関係を主なテーマに、著述、調査、評論、レビュー、インタビューなどを幅広く手がけています。 - 近現代史研究:
特に戦前の日本におけるプロパガンダ、大衆扇動、表現規制、歴史認識などについて深く考察されています。軍歌研究者としても知られており、軍歌を政治的な立場からではなく、「趣味」の対象としてニュートラルに捉える「軍歌趣味」という概念を提唱しています。 - 著作:
多数の著書があり、代表作には以下のようなものがあります。- 『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』
- 『防衛省の研究 歴代幹部でたどる戦後日本の国防史』
- 『大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争』
- 『たのしいプロパガンダ』
- 『ふしぎな君が代』
- 『超空気支配社会』
- メディア出演・連載:
Webメディアや動画配信、新聞での連載なども多数手掛けており、現代社会の空気感や歴史問題について、独自の視点から解説されています。
<経歴>
1984年大阪府生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業後、同大学院文学研究科を中退されています。現在、京都大学大学院客員准教授も務めています。
辻田真佐憲さんの著作は、近現代史を多角的に、そして批評的に捉えたい方におすすめです。
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