脚本家の「過保護のカホコ」に込めた思いとは別に、私が感じた人や家族との繋がりと関係性について

2017年8月17日、
脚本家の「過保護のカホコ」に込めた思いとは別に、私が感じた人や家族との繋がりと関係性についてです。  放送は、北海道では水曜日、夜10時からの日本テレビドラマです。

脚本家の遊川和彦氏の現代の“過保護問題”を描く、このドラマ、しかし、世の中の色々な人間模様を描く要素は、別なところに、隠れている様な気がします。

若い頃、川端康成、三島由紀夫、夏目漱石、宮沢賢治。。。文学全集をよく読んだものですが、当時、さっぱりわからないことが、たくさんありました。 作家の発想の原点が、不明すぎて、なんでこんなことを書くのだろうと思ったことが、何度もあったような気がします。この人達も、「脳」に何らかの障害を抱えていただろうと言われていますが、それを知ったのは、すっと後でした。

IT業界で言えば、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、この人達も「脳」に障害を抱えていた人たちです。

本人達のまわりにいた人たちの評価は最悪の場合がありますが、世間の評価は、高評価です。楽しいものを創造してくれた人たちですので、本当は、どんな人間だったかまでは、気にしません。

そうです。脳にちょっと「障害」を持った人たちには、敵わないのです。そうです。 そして「性格」の問題では無いのです。

「脳」の問題です。 ニューロン、シナプス、神経伝達物質、腸内細菌、養育環境の問題です。

1.それは、どんな要素か?

このドラマの視聴者の間では、観ていて「イラっとする」、「発達障害ではないか」とかいろいろ、賛否両論言われているようです。

例えば、なぜ、「過保護」に育てられたのか。。。という部分に、色々なものが見えるからです。

最近、「発達障害」、「愛着障害」、「パーソナリティ(人格)障害」などの「脳」の機能不全に関する事柄が、国民の間でも、少しだけ認知されてきています。

最近では、優秀?な女性議員が「このハゲーー!」と秘書を罵倒している処を録音されて、露呈してしまったことや、芸能人の旦那に執拗で「化け物の様な執着」を見せる「女優」など、話題に事欠けませんが、本人の精神状態が、こんな風になってしまった原因はどこにあるのかをちゃんと探ると、やはり、必ず、親の代までさかのぼる必要があります。

「このハゲー!」と叫んだ女性議員の通っていた高校などは、偏差値70以上ある子がゴロゴロいる中で、とんでもない「親」に養育されている為に、ストレスを抱えて「メンタル」がおかしくなっている子供が多数いることを実際に、その学校に通っていた生徒が告白しています。金と地位があると、「精神」が狂っていても、何とか隠しとうす事が出来たとしても、しやわせには、決してなれないのか。。。。

そうです、貧困でなくても、最悪の「親」に育てられると、子供は、同じような脳をした「モンスター」に、簡単になってしまうのです。

 

普通の人間とちょっと違う「行動・言動」を起こしてしまう、この人達が、どのような脳の「親」に、どのように「養育」されてしまったのかまで、さかのぼって調査しないと、どのような脳の障害なのか、決して「判明」しないでしょう。

特に、犯罪を犯してしまった場合、20歳過ぎれば、本人のせいと責任を取らされますが、もし、頭のおかしい親や養育環境に強く、影響を受けた場合でも、原因を明かすことは有りません。

ドラマを観ていると、両親の2組の親や兄弟の様子まで描かれていますが、親の代から、遺伝学的、生活環境的に引きずっている部分も垣間見ることができます。

 

2.なぜ、親の代までさかのぼる必要が有るのか。

「発達障害」、「愛着障害」、「パーソナリティ(人格)障害」などの「発症原因」を注意深く、探れば、ある程度見えてきます。

人間は、生まれて、目が見える様になり、他人を認知できるようになり、人見知りをして、親の愛情を受けて、「精神」が、「脳」が安定・成長して、正常に稼働する状態になります。

例えば、

1)「発達障害」の場合、

これは、ある程度、生まれつきの要素も多いのですが、親が早くから、気が付いて、対処すれば、かなり改善することもありますが、親からの遺伝の場合は、その親も「発達障害」を患っていて、結局、同じような、育ち方になってしまう場合もあるでしょう。

・「鬱病」にかかる人たちの中には、「発達障害」者が結構いるのです。まじめだったり、自尊感情が低かったりと、「鬱」だけ見ていても分からない要素が必ずあるのです。

・モンスターペアレントの場合も、何割かは、「発達障害」を患った親が、問題を起こすのです。

 

更に言えば、
・「ADHD(注意欠陥・多動)」もあれば、こだわりの強い「自閉症スペクトラム症」の発達障害もあります。

・「ADHD(注意欠陥・多動)」で云えば、
「のび太(注意欠陥)」と「ジャイアン(多動)」タイプ、「ジャイアンとのび太の両方」のタイプもあります。

・しかも、「ADHD(注意欠陥・多動)」と「自閉症スペクトラム症」の両方を呈している人もいます。

この人(親)、おかしいな? と思っていると、生まれてきた子供が大きくなると、はっきりすることが多々あります。 明らかに、遺伝していて、多動で、親と同じ、ADHDだということが、わかる場合があります。 ただ、親は、自分の脳の障害を気づいていませんので、苦労します。 いや、気づいていたとしても、同じように苦労する。

 

2)「愛着障害」の場合、

親にネグレクト、虐待されたり、親と早くに死別したりすることなどが原因とされていますが、「親」自身が被虐待児だったり、人格障害・精神障害を抱えていたり、親同士が不仲で離婚していたり、子供は親を選べませんので、被害をもろに受けてしまいます。

また、極端に「過保護」に育てられた場合も、同じような症状をきたします。

これは、生まれつきの要素というより、生後の養育過程に問題がある場合に発生することが多いのですが、子供が成人する頃になって、よく「発達障害」、「パーソナリティ障害」と間違われて、心療内科に来るそうです。 この場合、親が、「愛着障害」や「発達障害」のを患っていて、そのせいで子供との関係がうまく築けず、子供もおかしくなってしまう。

親もセットで治療すると、親子関係が改善することも、多々あるようです。また、「親」自体が「愛着障害」の場合は、遺伝しなくても子供も同じような症状を呈してくるでしょう。

更に、医学的に「パーソナリティ障害」などの精神疾患としてとらえがちな症状は、実は、「愛着障害」のパターンが、非常に多いと云っています。

子供の育て方を、決して「間違えた」のではなく、「親」自体に障害があり、そのような育て方しかできなかった場合も多々あるのです。

 

3)「パーソナリティ(人格)障害」の場合、

これも、生まれつきの要素でもありますが、生後、劣悪な養育環境の中で、育つと、同じような脳の障害も起こることがあります。

代表的なものとして、
・反社会性パーソナリティ障害
・境界性パーソナリティ障害(BPD)
・演技性パーソナリティ障害
・自己愛性パーソナリティ障害

・回避性パーソナリティ障害
・依存性パーソナリティ障害
・強迫性パーソナリティ障害

 

原因
パーソナリティ障害は、単に性格の問題では無く、生まれ持っての脳の特性、幼少期のトラウマ、劣悪な環境に影響を受けていると云われていますが、いまだ、はっきりと原因や因果関係が分っていないのが現状です。

 

人格障害の中に、反社会性パーソナリティ障害、その中にサイコパス(精神病質)と呼ばれる人がいますが、ある研究者が「サイコパス」について調べていると、あることから、自分の親戚に「サイコパス」が居ることにきずいたが、遺伝するなら、なぜ、自分は「サイコパス」にならなかったんだろうと、分析した書籍もあります。

■サイコパス・インサイド

 

4)障害には、色々な連鎖がある

「遺伝による生物学的な連鎖」、「生後、養育環境が、同じような障害を持つ親に育てられてしまったより発症してしまう連鎖」、「良好な養育環境により、遺伝的な要素を有していても発症しなかった」場合もありますので、その人、個人だけを見て「障害」を判断することは、決して、できないように思います。 間違いを起こしてしまう確率が極めて高いでしょう。

 

補足
以前は「人格障害」と呼んでいましたが、現在では「パーソナリティ障害」という日本語に変更されていますので注意して下さい。

国内では
2005年11月に『ICD-10精神および行動の障害-臨床記述と診断ガイドライン』日本語版が改訂され、
・「精神分裂病」——>「統合失調症
・「痴呆」  ————->「認知症
に変更されています。

2008年6月に日本精神神経学会は、『精神神経学用語集』を約20年ぶりに改定し、「人格障害」を「パーソナリティ障害」へと変更しています。

 

3.障害と言うが。。。

「脳」の障害の場合、「腕」が無い、「足」が無いというように、明らかに、目に見えません。

極端に、症状が出ていて、小学校、中学校などで、通常の授業が受けられない子もいれば、なんとか普通学級ですごせる子供もいます。 そんな子どもたちは、その障害を引きずりながら、大人になってゆきます。

こうして、障害の程度が、低い子どもたちは、そのまま大人になり、社会の中で、「弱者」になったり、「強者」になって、何か、問題を起こした時に、初めて、「この人、ちょっとおかしい」と気づかれて、表面化します。

障害の症状は、例えば、「黒色」から「白色」に変化するまでのグラデーションの中にあり、それが、どのくらいの色の濃さか、でしか判断できないので、非常に、分かりずらいのです。

人間、百人居れば、百人とも違う。 家族も百家族あれば、百家族とも違う。まさに、この様な、症状の程度がグラデーションの中にある人達が、色々と、組み合わさって、動物や人間がお互いに、「相互作用」を及ぼしながら成長する為に、多様性を生み出しているように思います。

人間も動物も、どれ一つ、とっても、同じ「脳」を持っていないという事です。

「優生学」的に排除することはできないけれど。。。。

問題は、犯罪を起こしてしまった場合、裁判の記録があるのですから、本当は、親に責任は、なかったとしても、どのような人格をした親に、どのような養育環境で、育てられたのかは、社会に、知らしめる必要があると思います。

そうしないと、同じような事件が、起きても、謎だらけで、何の対策も、社会的な反省も何もなく、同じことが繰り返されるようになってしまうでしょう。 現在もそうだが。。。

 

4.「生物多様性」と「人間多様性」

生物多様性と言いますが、別な意味で、動物も、類人猿も人間(ホモサピエンス)も、この「脳」の多様性の中で、進化してきたのではないでしょうか。

本当に障害なのか? という部分も有ります。

人類の進化の過程で、狩猟・採集生活をしていた頃、「多動性」の特徴を持っていたADHDタイプの人類は狩りの成功率が高く、本能的に警戒心が高く敵から身や家族を守ることに優れており、生存競争上、有利である「優れた人」に分類できるものであったと指摘する意見があり、人類の進化の過程では、多数を占めていたのでしょうか。やがて、農耕が発達して集団で生活する様に生活が変化してきましたが、集団で生活するようになると、逆にADHDタイプの人間は疎まれるようになったのか?

元々、ADHDタイプの人間が多数を占めていたが、集団で生活するようになり、それが進化して、今の人間の様に変化したのか?

「障害」と簡単に言いますが、それが多勢に無勢を占めると、「正常」になりますので、何とも言えない部分でもあります。

 

最後に、

それにしても、「過保護のカホコ」ちゃんを観ていると、非常に「愛おしく」思えるのですが。。。これから、どんな風に、成長してゆくのか、鍵をにぎるのが、幼い頃に「愛着形成」がうまくできていない「彼氏」との関わり合いが、楽しみですが、さあ、脚本家は、どう、話の展開を進めるのか。。。楽しみです。

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