自己愛とは何か? 津久井やまゆり園 障害者殺傷事件 元職員は「自己愛性パーソナリティー障害」か

artificial intelligence, brain, thinking

2023年8月27日、
津久井やまゆり園 障害者殺傷事件 元職員は「自己愛性パーソナリティー障害」か?

■「津久井 やまゆり園事件」
相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で45人を殺傷したとして殺人罪などに問われた元施設職員、植松聖被告(29)は「意思疎通のできない障害者は殺した方がいい」と言い放つ。

【事件】判決が出た「野田市 小4女児虐待死事件」と「津久井 やまゆり園事件」の両被告の共通点は何なのか?

1.自己愛とは何か?

人間は認知症になっても、決して衰えることのない脳の機能「自尊心」と「プライド」。。。多分、これが、どんなにボケても、生きて行ける、死ねない原動力なのでは。。。と思います。

何でしょうね? 本当に不思議に思います。 どんなにボケても「自尊心」と「プライド」だけは、百人前です。大抵、ボケれば、この心の機能「自尊心」と「プライド」もボロボロになっておかしくないと、脳機能的に思うのですが、どんなにボケても、ここだけは正常なんです。

本当に不思議です。。。。。

脳の部位でいうと、大脳の「前頭前野」、「側坐核」、「海馬」、「偏桃体」が、正常に機能しなくなっているにもかかわらず、「自尊心」と「プライド」が、ちゃんと存在している事が不思議です。 まるで生命維持装置のように。

「自尊心」と「プライド」って、どこで、発生させているのでしょうか?
「心」ってどこにあるの? どこで発生させているの? と云うのと同じくらい難解です。

「自己愛」も、生きる為に、成長する為に、人間にとって欠かせない機能ですが、何らかの原因で、社会の中で受け入れられなくなってしまうくらい異常な「自己愛」を自己愛性パーソナリティ障害」というのでしょう。

若い人たちに流行っている「SNS」も、自己「自慢合戦」でしょう、「自己愛」が機能しているために起こる「流行り病」みたいなもんです。

精神科医のシロクマさんが「自己愛性パーソナリティ障害」という診断の意味を考えるという記事を書いています。
「自己愛性パーソナリティ障害」という診断の意味を考える

重大事件の鑑定結果として(積極的か、消極的かに関わらず)「自己愛性パーソナリティ障害」という病名が登場するたびにいかががなものかと、先生は思っているようです。

 

2.脳のトラブルを大きく括ると、下記の3つに分類できるように思います。

 

障  害  分       類
1 発達障害 1)広汎性発達障害
2)ADHD
3)学習障害(LD)
2 パーソナリティ障害(人格障害) 自己愛性パーソナリティ障害
・「反社会性パーソナリティ障害」が、通称「サイコパス(精神病質)」と呼ばれている。DSMでは、3つに分類しています。
1)A群
・妄想性パーソナリティー障害
・統合失調質パーソナリティー障害
・統合失調型パーソナリティー障害
2)B群
・自己愛性パーソナリティー障害
・演技性パーソナリティー障害
・反社会性パーソナリティー障害
・境界性パーソナリティ障害
(「神経症」と「統合失調症」という2つの心の病気の境界にある症状)
3)C群
・回避性パーソナリティー障害
・依存性パーソナリティー障害
・強迫性パーソナリティー障害
3 愛着障害  先天的な生まれ持った「脳」の障害では無く、生まれてきた後の通常、母親と愛着形成に問題がある場合に生じてくる障害です。障害というより、「自己防衛本能」に近いものだと思います。

自己愛性パーソナリティ障害」は、2つ目の人格(パーソナリティ)障害に分類されます。

■パーソナリティ障害(人格障害)の呼び方などが、日本で変更されています。

パーソナリティ障害」は、以前「人格障害」と訳語されていたが、「精神分裂病」は「統合失調症」に、痴呆も「認知症」に変更され、「人格障害」は「パーソナリティ障害」と、それぞれの名称が変更されています。

・「人格障害」—-—>パーソナリティ障害
・「精神分裂病」—–>「統合失調症
・「痴呆」  ———>「認知症

1)「サイコパス(精神病質)」

「サイコパス(精神病質)」という分類は、『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM)には在りませんが、人格(パーソナリティ)障害の中の「反社会性パーソナリティ障害」に分類されています。

この様な障害は、例え、症状が出ていたとしても、反社会的な事件を起こさない限り、誰も拘束することはできません。 刑事事件を起こせば、責任を免れれることは無いようになっています。 要は、「狂っている」という判断ではないのです。

事前に排除することはできないが、事を起こせば排除、刑事責任を取らせるという社会規範にせざるを得ない社会になっている。

病的な自己愛と正常な自己愛の境目を議論して、異常と判断するのが難しい問題でしょう。

2)「小金井刺傷事件」

女性シンガーソングライター「小金井刺傷事件」の犯人も、初公判での様子から、同じような人格(パーソナリティ)障害を抱えているような感じがします。

第二回の公判でも、サイコパスと同じように、言動に「良心の呵責」がほぼないので、「反省」していないと普通の人間が言っても、意味をなさないのです。

共通するのは、分かりやすく云えば「身勝手」。。。異常な「自己愛」、その「衝動」を抑えることができない脳の機能不全。

狂っている人間は、罪に問えないが、狂っている事を起こせば罪になるのが人格(パーソナリティ)障害か。。。被害にあわないようにするには、どう対処する必要があるのか、国家が警察が、国民を守る義務があるという前に、自ら考えておかないと、理不尽だが、当事者(被害者)になってしまう事も起きてくる。

3)心的外傷(トラウマ)

心的外傷(トラウマ)は、同じように、脳に受けた精神的な衝撃(恐怖、怒り、悲しみ)により、脳の回路ができ上がってしまい「フラッシュバック」してしまう症状ですが、これは、今は、改善する治療方法があるようですが、3つの脳のトラブルの内、発達障害、人格(パーソナリティ)障害については、研究が進んでいないので改善する余地はあるかもしれませんが、ほとんど治らないでしょう。

何故なら、脳の回路が、分かりやすく云えば、何らかの原因で「できあがている」ので、改善する余地が無いのではと思います。

通常の社会規範で、判決で例えば、10年、刑務所で生活して、社会に出てきても、脳の配線は治っていませんので、反社会的な事件を起こさない限り、社会の中で暮らす権利がありますので、出所後、同じことを繰り返す可能性もあります。

 

現在、「遺伝子組み換え」以上の高度な「ゲノム編集」の技術が発達して、デザイナーベイビーが誕生しようとしていますが、そのような応用技術ではなく、人格(パーソナリティ)障害などを改善する領域に進めないのかと考えてしまいます。

体の病気を発生させないような技術には応用できるのでしょうが、脳の機能を改善させる技術にたどり着くには、脳の仕組みの研究が進まないと、「ゲノム編集」もできないでしょう。

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