【書籍紹介】『情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論』リサ・フェルドマン・バレット(著)

2019年11月17日、
本日の書籍紹介は、『情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論』リサ・フェルドマン・バレット(著)

幸福、悲しみ、怖れ、驚き、怒り、嫌悪――「脳は反応するのではなく、予測する」

読みたい書籍を見つけるのは、毎日、本屋さんに行って、好きなジャンルの本棚を見ていると「新刊本」が入荷しているか、すぐに分かりますので、そこで背表紙の写真を撮っておきます。 本当に、読みたい、読むべきか、読んで価値のあるか、を判断して購入します。候補に挙がった書籍をまとめて購入したい衝動に駆られますが、衝動買いをすると、読まずに「積読」がどんどん増えるだけで、財布の中身が減ってゆきますので、後悔しないように適度に購入するようにしています。

情動」と云う文字が見えた時点で、脳科学・脳神経学、「人工知能」に興味があると、行き着くところは、「人工知能」には無い、ヒトの「情動」、「心」、そして脳の理解です。身体や脳の神経細胞が、どのように働いて「情動」や「心」、「意識」が発生するのか。。興味が尽きません。



「人工知能」の研究者ではないが、人間の「脳」のメカニズムを知りたくてたまりません。

■『情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

目 次
序 2000年来の前提
第1章 情動の指標の探求
第2章 情動は構築される
第3章 普遍的な情動という神話
第4章 感情の源泉
第5章 概念、目的、言葉
第6章 脳はどのように情動を作るのか
第7章 社会的現実としての情動
第8章 人間の本性についての新たな見方
第9章 自己の情動を手なずける
第10章 情動と疾病
第11章 情動と法
第12章 うなるイヌは怒っているのか
第13章 脳から心へ――新たなフロンティア
———————————————

まず、「情動」には、本書によると2つの理論があります。

1つ目は「古典的情動理論」、2つ目は「リサ・フェルドマン」が提唱する「構成主義的情動理論」です。

ここから、難しくなってきます。まず、

■「古典的情動理論」とは何ぞや?
人類には共通して普遍的な情動がニューロンのセットとして備わっており、特定の刺激に対してニューロンが発火し、様々な身体的な反応を引き起こすという立場です。

■「構成主義的情動理論(:theory of constructed emotion)」とは何ぞや?
この古典的情動理論を批判し、情動は生まれつき組み込まれている身体の内部で起こる明確に識別可能な現象ではないと主張します。

  1. 怒りや嫌悪などの「情動カテゴリー」には、身体や脳における指標は存在しない。
  2. 人間が経験し知覚する情動は、遺伝子によって必然的に決められているわけではない。


■次に「構成主義的情動理論」と「古典的情動理論」は、どう違うのか?
簡単に言えば、「古典的情動理論」では、「情動」は、予め人間に身についているものだという考え方が一般的になっているが、「情動」はあらかじめ脳に刻み込まれたものではなく、私たちが学習して身につけるものだと云う考え方が「構成主義的情動理論」の考え方です。

 

最後に、
この「情動(emotion)」の理論は、脳神経学、人類学、社会学、生物学、分子生物学、遺伝子工学、人工知能などの書籍を読んできましたので、そんなに難しくないだろうと思っていたら、結構、難易度が高いというか、記載されている言葉を認識するのが難しく、何を言っているのか、最初、理解するのに時間がかかりました。情動と病気との関係、動物にも情動があるのか? など、人間以外の脳を持った生き物のことまで、記載されています。

ページの最後の方には、脳の基礎的な知識まで記載されていますので、これを機会に脳科学の世界に、足を入れてみると、興味深い事柄が、どんどん降って湧いてくるようになり、辞められなくなりますよ。

 

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