【研究結果】新型コロナ“重症化を予防する”遺伝子は4万年前に絶滅したネアンデルタール人由来か。

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2021年2月23日、
本日の興味深い記事は、新型コロナ“重症化を予防する”遺伝子は4万年前に絶滅したネアンデルタール人由来か。

研究結果をOIST・沖縄科学技術大学院大学のスバンテ・ペーボ教授(スウェーデン生まれの生物学者。専門は進化遺伝学。 )の研究グループが発表し、2月17日、PNAS・米国アカデミー紀要に掲載されました。

この古代人類から現生人類が、新型コロナウイルス感染症の「重症化を防ぐ遺伝子」を受け継いでいるというお話です。

1.ネアンデルタール人とは

その前に、

地球が誕生してから46億年、数億年前には「恐竜」が栄え、絶滅して、その後「人類」が誕生したのは、今から、ほんのちょっと前です。

人類誕生には700万年の歴史があり、初期の猿人、猿人、原人、旧人、新人という5段階を経て進化しているが、その過程で登場しているヒト族のグループなのです。

なぜ「四つ足」から、木から降り、平原に出て「二足歩行」をするように進化したのか?

諸説ありますが、気候変動、地球の地殻変動が、大きく影響して、樹上生活から、平地での生活えと、せざるを得ない状況になり、そこに偶然の色々な条件が重なった結果、脳が成長したのではないでしょうか。

・初期の猿人
・猿人 :アウストラピテクス
・原人 :出アフリカをはたした原人 ホモ・ハビリス
・旧人 :ネアンデルタール人、デニソワ人
・新人 :現生人類(ホモサピエンス) ヨーロッパでは「クロマニヨン人」と呼ばれている。

ホモサピエンス、ネアンデルタール人、デニソーワ人(2008年にシベリアの洞窟で発見された絶滅したヒト族のグループ)と3種類の人類が数万年の間ユーラシアで共存していたことが明らかになっていますが、なぜなら、彼らが絶滅して、なぜホモサピエンス(現生人類)だけが生き残ったのか? これは人類学的にも、大きな謎の一つなのです。

体格など、丈夫さで云えば、ホモサピエンスより、遥かに、ネアンデルタール人の方が優勢でした。 にもかかわらず、ホモサピエンスだけが生き残ったのか。

最初は、出アフリカで、ユーラシア大陸にホモサピエンスが広がっていった頃には、もうネアンデルタール人はもうすでに存在していて、ゲノム解析すると、お互いに交配していたのです。 しかも、アフリカ人のDNAにも交配していた形跡が残っていることが、判明しています。つまり、「アフリカを出たら二度と戻らなかった」という説がありますが、そうではなかったという事になります。

ホモサピエンス(現生人類)は、2万~4万年前に絶滅したとされるネアンデルタール人と交配し、そのDNAを受け継いでいることが知られています。

 

ここまで知っていれば、黒人も白人も黄色人種も関係ないのですが、いつも問題になります。

現在、人種は、現生人類(ホモサピエンス)だけです。 むしろ、オリジナルは、黒人でしょう。「人種差別」と云っていますが、人種は一種ですので、何の差別なのでしょう?

「人種差別」はさておき、現生人類もネアンデルタール人と同時代に生きていますので、当然、交雑していますので、ホモサピエンスの遺伝子の中にも、しっかりと、ネアンデルタール人の遺伝子が入り込んでいます。

その遺伝子に、コロナウイルスに関する重要なファクターが隠されていたのです。

2.ネアンデルタール人は4万年前に絶滅したが、交雑によって、一部の遺伝情報が現代人に受け継がれている。

重症化を予防する”遺伝子とは反対に、“重症化させる”遺伝子も、現代人はネアンデルタール人から受け継いでいるという。

その分布には偏りがある。

1)重症化するのを“予防する”遺伝子は

現代人の12番染色体の上にあり、新型コロナで重症化するリスクを約20%低下させる働きがあるという。ペーボ教授らは、この遺伝子が、ネアンデルタール人に由来していて、新型コロナウイルスが感染した細胞の中で、ウイルスの遺伝情報を分解する酵素の働きを高めていることを発見したと発表した。

 

別のチームの研究結果>———————————–
スウェーデンにあるカロリンスカ研究所の神経学者であるHugo Zeberg氏らの研究チームが、新型コロナウイルス(COVID-19)に関する研究により、現生人類が持つネアンデルタール人のDNAが「COVID-19」の重症化を招いている可能性を突き止めたそうです。

ネアンデルタール人のDNAを持った人の割合が多い国の人は、重症化しやすい?

ヴァンダービルト大学の遺伝子学者であるトニー・カプラ氏は、人体がCOVID-19を発症すると、免疫物質であるサイトカインが分泌され、ウイルスに感染した組織を攻撃して感染の影響を抑制します。

しかし、その働きが過剰になると正常な肺の組織まで損傷し、その結果COVID-19が重症化してしまうとのことです。

サイトカインストーム(免疫細胞の暴走)を起こしてしまうのです。 これは、肥満体質の人にも、サイトカインストームが起こりやすいと言われとぃます。
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2)“重症化”遺伝子は、

・ヨーロッパでは、最大16%の人がこの遺伝子を受け継いでいるという。
・インドやバングラデシュなどの南アジアは、なんと最大60%の人がこの遺伝子を受け継いでいるという。
・日本や中国など東アジアの人々は、この遺伝子を持っていないとされる。

つまり、ヨーロッパや南アジアの人たちが“重症化”遺伝子と“予防”遺伝子の両方を持つのに対し、日本人など東アジアの人は“予防”遺伝子しか持っていないというのだ。

“重症化”遺伝子は“予防”遺伝子より5倍ほど影響力は強いとしている。

このように地域で偏りがある原因は、
人類は、遠い昔から、ウイルスと闘っているのですが、発生源に近い地域に暮らしていたホモサピエンスは、コロナウイルスを含む疫病に襲われた時、リスクがある遺伝子を持たない人たちが生き残っていったためではないか」と推察しています。

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3.呼吸器系ウイルスでは、次の3種類が上がります。

1997年の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)。

2003年のSARS重症急性呼吸器症候群)の場合は、コウモリをはじめ、ハクビシンやタヌキ、ネズミなどの動物が媒介する可能性も指摘されておりますが、確定的な結論はまだ出ていません。

2012年にサウジアラビアで初めて確認された別のコロナウイルスによるMERS(中東呼吸器症候群)の場合は、ラクダが中間宿主だったと考えられている。

1)レトロウィルスについて

HIVやインフルエンザ、新型コロナウイルスのSpikeタンパク質をコードする遺伝子が、『レトロトランスポゾン(通称レトロウィルス)と呼ばれます。

▮レトロウイルスとは
プラス鎖RNAをゲノムに持つウイルス。自らが作り出す逆転写酵素によりゲノムRNAをDNAに逆転写させ、細胞のDNAに挿入することでウイルスの複製を行う。

▮レトロトランスポゾンとは
ゲノム上を転移する遺伝子群で、RNAを鋳型としてDNAを作り、それを宿主細胞のゲノムに侵入させることでゲノム内に自身のコピーを増やしていく。多くはレトロウイルス由来の配列である。

▮逆転写酵素とは
RNAを鋳型して、その遺伝情報をDNAに転写する酵素。
レトロウイルスはこの酵素を持っており、自身のRNA遺伝子をDNAへと変換して宿主ゲノムへと侵入する。

参照:ヒトのゲノムにRNAウイルス遺伝子を発見 4000万年前までに感染か 最初の「RNAウイルス化石」

 

■哺乳類が、お腹の中で子供を育てる事が出来るようになった「胎盤」も、私たちの子孫のネズミさんの時代(恐竜が生きていた時代ですが)に、感染して「レトロウイルス」の遺伝子が入り込んで、哺乳類は胎盤を獲得することが出来きたと言われています。

つまり、常在性レトロウイルスのSyn1が赤ちゃんの細胞の免疫を抑制し、お母さんの細胞と赤ちゃんの細胞が融合して多核化して、胎盤を形成し、母体の胎内で赤ちゃんを育てることが出来るようになりました。

 

■ウイルスは、生き物の体から、飛び出した「無生物」と言われています。
その理由は、細胞の中に入り込むことを許されていると云う事は、生き物と同じタンパク質を持っているから、細胞膜を通過して中に入り込めるのです。 精子が卵子の中に入りこむのと同じなのです。 入り込んで、初めて、生き物の様に、RNAでCOPYして、細胞の中を利用して増殖する。

また、人類の、生き物の進化も、この「ウイルス」が介在し、「遺伝子」が変化した時が、一番大きな進化を遂げているのも確かなのです。

ですので、こいつ(ウイルス)とは、これからも「長い付き合い」になるのです。

 

4.人類は、半径5m以内、自分の生きていられる範囲内しか、認識できない様です。

なぜなら、
■3.11の地震と津波も、想定外?(過去に何度も被害に遭っているにも関わらず)で、まさか! で逃げ遅れた人が多数いると云う現実。

■百年前にスペイン風邪がはやり、日本でも、終息するまでに45万人以上の人が亡くなっているのも係わらず、初めて起こったようにしか語られない。

自分の身に降りかかり、痛い目に遭わないと認識できないのです。 しかし、大勢の人が、悲惨な目に遭遇しても死んでしまえば、自分の事とではありませんので誰も覚えておいてくれません。

人間なんて、想定できるのは、せいぜい「孫」の代くらいまでで、その先の未来の事など、知った事では無いのです。

地球上に、何億年も生息した「恐竜」が、絶滅したように、高々、数十万年しか生息していない人類なんて、いつ滅んでも、何の不思議もありません。

温暖化が進み、また、「氷河期」が来たくらいでは、人類の人数は少なくなっても、気候の変化くらいでは、絶滅しないかもしれません。

生き物の体は、遺伝子の乗り物ですので、乗り物が絶滅しない限り、生き残るのです。

 

最後に、

個々の人間が怖がっても仕方ないのです。 ダメになる人、ダメにならない人もちゃんと居て、人類は、ウイルスごときでは、絶滅しないのです。

生き残るための宿命(ゲノムの変化)を背負って、進化の過程に過ぎないのです。

それにしても、不思議なのは、人類から「バカやアホ」が居なくならないのは、なぜなんでしょう?

 

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