【面白記事】 親の格差が生む教育格差、家庭の重要性増す背景 社会学者・山田昌弘、多様な能力が必要な時代に

2022-01-16、
本日の面白記事は、 親の格差が生む教育格差、家庭の重要性増す背景 社会学者・山田昌弘、多様な能力が必要な時代に (東洋経済ONLINE) です。

2022年、社会問題として、教育界のみならず、社会全体が注目する必要のある課題として「教育格差」がある。 教育格差とは、生まれ育った環境によって、学力や学歴などの教育成果に違いがあることをいうのですが、教育格差といっても、色々な要素があるのです。

最近、よく言われている「親ガチャ」ですが、そうでもないと思うのですが、どうでしょう。「親ガチャ」と言って諦める前に、向上心、やる気がないと始まらないのですが、誰の責任でしょうか考えてみてください。

1.現代社会では「学力では測れない能力」の方が必要になっているが、うまく対応できていない

この記事を書いた山田先生曰く、そうだなと思うことが多々有りますので、先ずは紹介してみましょう。 もちろん、全ての階層の国民には当てはまらないのは確かです。

社会の変化により、これから必要な「学力では測れない能力」とは、

▮社会の変化

工業型社会から情報やサービスを中心とする第3次産業中心の社会へ移り変わるに従って、求められる能力が変わりました。学力だけでなく、多様な能力を身に付けなければ、いい職に就けない、能力を発揮できない状況になっています」

▮昔は、下位の階層にいても、学力だけでよかった。

昔は、学力だけでよかった。受験を突破していい学校に入れば、メドがつきました。

ところが今は、「英語」力、「コミュニケーション」力、「デジタル」力、さらには「人脈」力など学力では測れない能力(非認知能力)のほうが必要になっている。

▮その変化の分岐点となったのが1990年代後半

日本は高度経済成長を果たした後、「1億総中流」社会へと変革を遂げた。「誰もが勉強をすれば豊かな生活が送れる」という中流意識を支える根本が「教育」にあったのだ。バブル崩壊後、安定した産業社会が崩壊し、世帯年収が減少。グローバル化の進展とともに格差が拡大していった。

▮今までの平等が崩壊する

「子どもは学校に行っている間は平等でした。つまり、学校という空間に一定時間、子どもを閉じ込めていれば、学校の中での平等は達成できた。とくに学力が中心であった時代は、学校の中での平等が確保されていれば、うまくいったわけです。

特にコロナ過などで、学校にいる時間が少なくなったため、必然的に学校外の影響が増したというわけです」

本当は、「いじめ」の問題もあるのですが、「平等」になると、必ず「いじめ」が発生する。ヒエラルキーのはっきりとした「猿」の社会では、子をいじめると上位の猿に逆にやってけられるので、子供のいじめはないそうです。

 

▮学校以外の時間での格差

コロナ禍で学校が休校になることによって学校外の時間が増えた。
収入が高い家庭は専業主婦の比率が高いというが、そういう家庭では子どもの動静を管理することができた。今は、こうした家庭環境が、学力以外の多様な能力を身に付けるのにも重要になっているという。

それは、「ITを使うにもインテリジェンスを持っている親が必要だということです。日頃からパソコンを使っている親がいる家庭と、そうでない家庭とでは、子どもにITスキルを身に付けさせるのにも、その対応に違いが出てきます。
教養のある親ならサポートすることができますが、まったくパソコンに触れたこともない親も世の中には少なからずいます。パソコンと無縁な親の元で育った子どもは、ある程度成長してからそのスキルをゼロから身に付けなければならないわけです」

残念ながら、現代に必要な英語力、コミュニケーション力、デジタル力、人脈力といった能力は、学校に通っているだけでは身に付けることがなかなか難しい能力だという。

つまり、コロナ禍は、学力というよりは、親の格差が子どもの教育格差につながる実態を浮き彫りにし、学力以外の格差を拡大させたと山田氏は言う。

このように社会全体からみると、住んでいる場所、階層により、教育機関以外の家庭や地域の実情により、格差が生まれている。 その格差が教育に与える影響が大きい。

▮子供は、教育機関だけで成長しない。
今は、社会が子供を育てない。ですので増々、家庭環境が社会性を身につける上で、重要な役割を負わされてきている。

▮他人との関係性が、極めて、希薄になると、色々なことも経験できなくなる。
幼少期から、親、兄弟、親戚、近所の大人、学校外のお友達、学校が終わっても、人間性を築く場所が有ったが、現代は、塾に行くか、家の中で、一人でじっとバカゲームをしているだけで、学校以外の近所のガキどもと遊ぶこともない。
いつも、接しているのは、せいぜい母親くらい、親父は夜遅くならないと家に帰ってこない。

子供たちは、社会で育てられなくなり、母親だけで育てられている。そして、ちょっと大きくなると、バカゲーム、バカ動画、SNSが、お友達になる。

 

2.世の中、社会を分析するのに、必要な考え方をどうするか

社会と言っても、どう分類するか
・雇用・教育・福祉
・学歴(大卒でも、難易度が違う)

・住んでいる場所(大都市か小都市か、地方の田舎か)
・経済的な収入と職業
(これもピンからキリまであり、自営業からサラリーマン、非正規社員、正社員、雇われ重役、創業者)
・性別(男性・女性、LGBTも居る)

などで分類する事もできますが、どこの誰の事を言っているのか、そこを定めないで、おおざっぱに言ってしまうと、焦点がボケてしまい、ちゃんと問題を捉えているのかも分からなくなります。

結局は、その集団を構成している人間そのものですので、人間その物は、階層ではなく、個々の人間脳の性能、特性、障害の状態を知っておくことも必要です。

自分が、社会の中で、どの階層に居るのかは、うすうす分かる、認識できるでしょうが、自身の「脳」の配線状態は、認識できていないでしょう。

世の中を構成する人間たちは、実に多様で、色々な意味で、脳の特性が偏った人も居るので、面白くもあり、怖い点でもあります。

ですが、その辺を明確にして、どの側面、断面から見てそうなのかを社会学的に分析してみましょう。

 

3.世の中の個々の人間は、どのような問題を抱えている状態なのか

社会問題になっているのは、DV・虐待、いじめ、教育者の隠蔽、引きこもり(これは別の問題だが)など、どれも社会の中で、ひっそりと見えない様に隠れて、こそこそやっている「人間の醜い部分」ばかりでしょう。

悪事は、発見されない様に、ひっそりと隠れて行われているのです。

1)日本は格差社会といっても、絶対的貧困ではなく相対的貧困といわれる状況にある

飢えることなく、とりあえず楽しいものがあふれる社会では、かつてのように貧しくとも立身出世を目指すというような子どもたちが少なくなっているのだ。

しかし、今は安楽に暮らしていても、年代がスライドして、養っている親が、この世からいなくなるころには、自分も年を取り相対的貧困に陥ってしまう。身近な事で云えば、「引きこもり」の問題もあるが、個々の「脳の配線」の問題が影響している為、中々、解決できないでしょう。

自立している女性は、まだ良いが、パラサイトシングルの女性は、今ごろ気が付いてもすでに遅く、焦りを感じて「婚活」を繰り返すが、そんなに年収の高い男性は見つからないのです。

今時、「僕が養ってあげる」なんて男は少ないのです。 一緒に働け、そして、ちょっと手伝うから子供を育てしろです。

少子化対策と言いますが、結婚した夫婦の子供の数(出生率)はそんなに減ってはいないのです。 結婚しないから子供が生まれず、子供の数が減ってしまうのです。 結婚後の親に対する対策よりも、未婚者を結婚させる、できる様にする対策が必要ですが、こればかりは、収入がある程度ないと結婚もできない男女が溢れてしまうのです。

婚活市場で、婚活できるのも、格差があり、婚活サイトに登録もできない人間もたくさんいるでしょうし、登録できるだけでも、まだマシな方でしょう。

2)社会問題

今の日本の社会の中で起きている「社会問題」を上げれば、DV・虐待、いじめ、依存症、貧困、孤立・孤独死、引きこもり、教育問題(不登校)など、世の中の階層をまたいで発生している。特権階級も例外ではない問題は、やはり、脳の配線がおかしいと発生してしまう問題でしょう。

その中で、DV・虐待、いじめなど、悪意のある行動は、世の中で、隠れてひっそりと行われているので、たちが悪い。

ダイバーシティ(多様性)」と簡単に言いますが、この「ニューロダイバーシティ(神経構造の多様性)」の問題は、社会の中でどう扱うのかが、問題になってくるのですが、何も進みません。

3)脳の配線の格差、違いもあるのです。 ニューロダイバーシティ

▮発達障害(ASD、ADHD、LDなど)、愛着障害、人格(パーソナリティ)障害など主な3つの問題もある。

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「境界知能」
根本的な事なのですが、「ケーキの切れない非行少年たち」 宮口 幸治 (著)に記載されている、軽度知的障害(知的障害の8割)、IQ:70 – 85のボーダー(境界知能)の人たちは、知能検査で、問題なしと判定され、認知機能が低いのですが、健常者と見分けがつかなくなり、「忘れられた人々」として、普通の学校でも、こんな子供たちが、普通学級に十数%存在しているのです。と言っていますが、学校の指導要領に縛られると、解決できない問題でもあります。

境界知能(ボーダー)」とは、
IQが70~84程度で、いわゆる「知的障害」(IQ69以下)とまでは言えないが、現代社会では、普通学級で教育を受けて、そのまま社会に出されて、生きていく上では相当程度の困難に直面していると考えられている人たちのことだ。医療少年院で「丸いケーキの3等分」ができないのは、「境界知能」ゆえなのだという。

これも、教育で扱うべき、大きな問題なのですが、政府もここに手を入れようとはしないのです。

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4.日本社会の「変動」は、別の角度から見ると、どの階層で起きている?

こんな分類もあります。

日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学」小熊 英二 (著)による分類なのですが、60年代後半から70年代のはじめに完成したその構造を「社会のしくみ」と呼んでいます。 

歴史社会学の小熊 英二さんの著書で記載されているように、これまで、変動が起きているのは、下の階層の民衆です。 社会の仕組みで云えば残余型」の人たちです。

「大企業型」が約26%、
毎年、賃金が年功序列で上がっていく人たち。大学を出て大企業の正社員や官僚になった人などが代表です。

「地元型」が約36%
地元にとどまっている人。地元の学校を卒業して、農業や自営業、地方公務員、建設業などで働いている人が多い。

「残余型」が約38%
平成の時代に増加してきたのが、所得も低く人間関係も希薄という「残余型」。都市部の非正規労働者などがその象徴です。

1)どこが変動しているのかが、重要な問題点となる。

その変動とは、人々の個人化が進み、関係の安定性が減少していく流れである。それは、人々が固定化した関係を嫌い、自由になろうとすることで促進されている。

そこからはプラス面とマイナス面が表れる。

「変動」が起きているのは、確実に下の階層の民衆です。 社会の仕組みで云えば「残余型の人たちです。

下の階層の人間たちは、どんどん貧窮してゆく。 上の階層の人間は、社会が乱れる、混乱する、ぎりぎりの処まで、放置する。 これが日本の現状で、このまま現状が維持さて、行くところまで、行きつくのではないでしょうか。

現在までは、変動が起きているのは、下の階層の民衆で、社会の仕組みで云えば残余型」の人たちですが、しかし、AIの能力が向上してくれば、上位の「大企業型」の人たちにも確実に変動が起こり始め、減少するでしょう。

さあ、「大企業型」に属する、40代、50代のお父さん、すでに変動が始まっています。希望退職による「大リストラ」でしょう。 「社畜」でも冷や飯を食わされる時代なのです。

2)日本社会の「変動」は、どこの階層で起きているのか

まさに、「変動」という事で云えば、
貧乏な時代はみんな寄り添って暮らしてきたが、経済が成長して、ある適度、貧乏でも食ってゆけるようになると、核家族化してき、みんな自由になると同時に格差が広がり、食っていけないほど貧乏ではないが、何一つ経済的に余裕のない相対的な貧困化が進んでしまう要因でもあります。社会が階層化してきて、それが固定化してきています。

この流れは、「誰も止められない」のです。 「誰も」です。
なぜなら、みんなそうしたいからです。

 

社会をどう捉えているのかは、人それぞれ、どの階層に居るのかによっても、違うでしょうが、上の階層の人間は、社会的にも力もあり、変えようとは決してしない。

この階層の最下層にいなければ、社会の中で色々な問題を抱えていても、自分がその立場にいなければ、問題にしない。問題だとも思わない。

そこが政治の力なのですが、政治家も上位にいる人間たちですので、せいぜい、人気取りに、下位の人間たちのために働いているふりをしているのが殆どでしょう。選挙で投票権を行使しない人間たちのことは大事にしないでしょう。 悪循環が続き、例え暴動が起こっても、他人のせいにして対策はしないでしょう。

 

社会学者、山田昌弘さんの著書>——————————–

▮パラサイト・シングルの時代

 

▮日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?

 

▮希望格差社会

 

▮「婚活」時代

著者 : 山田昌弘
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日 : 2008-02-29

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