本日の書籍紹介は、
人工知能はなぜ椅子に座れないのか: 情報化社会における「知」と「生命」 (新潮選書)
初め、人工知能の説明の書籍か。。。と思っていましたが、全然、違いました。
私が常々、疑問に思って、人類学、脳科学、脳神経学、分子生物学、進化論、遺伝子工学などの書籍を読み漁っていて感じたことが、この書籍の中に詰まっています。
決して「人工知能」を否定しているのではなく、生命とは何ぞや? を探ってゆくと、人工知能って、まだまだでしょう。 という事が分かります。
– 目 次 –
第一章 人工知能、そして、人工社会とは何か
第二章 人工知能の研究はどのようにして始まったのか
第三章 脳はどのようにして世界を知覚するのか
第四章 意識に見る人工知能の限界と可能性
第五章 シンギュラリティの喧騒を超えて
終 章 情報化社会における「知」と「生命」
人工知能研究が1956年に学問分野として確立してから、現在3回目の人工知能ブームになっていますが、人間を超えるような
確かに、自動運転のクルマのレベルは、高度になるでしょう。
人間とは、生命とは、意識とは、脳の仕組みは、これが解明されない限り、シンギュラリティ(技術的特異点)など来ないと思います。
の確かに、このブームは「弱い人工知能」としては、まだ、発展するでしょうが、「強い人工知能」は、第3回目のブームでも頓挫するでしょう。
なぜなら、まだ、人工知能より先に、人間の体と脳について、何も分かっていないことが多すぎます。 脳科学、脳神経学、で云えば、神経細胞の解明は進んでいますが、グリア細胞でさえ、まだ何も分かっていないのです。 神経細胞との関係性についてもです。
意識とは、自我とは、認識するとは。。。。。まだ、何も分かっていません。
何も分かっていないことだらけなのに、「脳」だけで体のない、人工知能などあり得ないのです。 筋肉も、内臓も、腸の中の細菌も、脳内物質も無いのに、知能など無いのです。
また、最近「人工ニューロン」の研究開発が進んでいる様ですが、これもまた、ニューロンの仕組みだけでは、人間の脳のようにはなりません。 グリア細胞を含めた仕組みを解明しないとダメでしょう。
アルゴリズムで動いているコンピューターごときが、人間を超えることは、まだ、無理です。
人間は、命令しなくても動きます。 機械は命令しないと動きません。 人間が生きていると言うことは、何も命令しなくても平衡を保つために、自分で意識しなくても動いています。
ストレスが溜まれば、体も調子悪くなるし、ガンにもなります。
生まれてきたばかりの赤ちゃんの様に、目が見えるようになり、だんだん自立して、世の中を認識できるようになり、自己を認識できるようになるには、体があるから体験できるのです。
体のない人工知能が、どうやって、体験して、自己を認識できるのでしょうか? データを与えて動くのは計算できるからだけです。
何も、分かっていない国民からすれば、チェス、将棋、囲碁の世界で、コンピューターに負かされているので、人間より頭が良いと勘違いしている。
チェス、将棋、囲碁の世界で人間に勝ったからと言って、
人間のように、五感で感じて、物を考えている訳では有りません。
GoogleやApple、Amazon、Microsoftの人工知能も、会話させれば、簡単なことは答えてくれるでしょうが、知能としては、まだ「幼稚園児」程度です。
最後に、
久しぶりに、今まで読んできた書籍が、この書籍を読む上で役に立っているかが分かる一冊でした。
人間、なぜだろう? という「好奇心」を持つと、その仕組みを知りたくなるのですが、自動車、コンピューター、スマートフォンは、どのような仕組みで動いているんだろうは、ほぼ理解できるのですが、生命とは、人間とは、自分は何者なんだろう? 意識とは? どんな仕組みで生きているのか。。という事は、未だに解明されていません。
自分が、この世からいなくなる前に、発見されればいいな。。と思いますが、こればっかりは無理なような気がします。
将来、「脳」をコンピューターに移植して、「脳」だけ生き残る。。。。これはちょっと悲しい。
何故なら、自由に動き回れる、自立した「体」がないと、五感で「喜怒哀楽」を享受することができないでしょうから、人間として、生き延びる価値が無いように思います。
「体」が無くても、生きていける「生命体」なら、移住する惑星など必要ないでしょう。宇宙空間を彷徨うだけで十分でしょう。
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