【ライフハック】ウール物のスーツ上下の洗濯方法 その1 なぜ、水で洗うと縮むのか?

本日は、ライフハックです。
「ウール物のスーツ上下の洗濯方法 その1 なぜ、水で洗うと縮むのか?」です。

クリーニング業をしていた経験から、主に「ドライ」クリーニングの「ナゾを交えて解説してゆきます。しかし、最近は、水(一般の洗濯機)でも洗える安いスーツが、販売されてきていますので、それは「選択」の自由ですが「ウール」90%以上の高い生地を使用して仕立てられたスーツの「洗濯」のお話です。

新人さんたちも就職して、まだ半年経っていませんが、毎日、スーツを着て頑張っている若い「ビジネスマン」、女性でもスーツを着こなしている方もたくさんいらっしゃいますので、「ウール」物のスーツ上・下の「洗濯方法」についてです。

私などは、クリーニング業を辞めてから、自分のウールのスーツ、ブレザー、スラックス、綿のボタンダウンのシャツなど、クリーニング屋に1度も出したことはありません。 全部、自分で、水(一般の洗濯機)で洗って、仕上げます。

2015年7月、「WEB2.0とパソコン講座」を閉鎖し、当ブログを初めましたので、旧サイトから記事を移転しました。

エディー・バウアー オンラインストア(画像): 私の愛用しているプレミアムトロピカルウール2ボタンブレザー

1.なぜ、このような洗い方まで記載するのか?

1)皆さん、まず、ウールのジャケットなどは、クリーニング屋に出せば、大丈夫と思っている。そして、自分では、洗えないと思っている。 でも、洗えますよ。

なぜ、自分で洗えないのか? 分からないでしょう? メンドクサイから。。。確かにそうです。

「ドライクリーニング」に出せば、大丈夫!!! と思っているでしょう。

じゃあ、ドライクリーニングって何? 知らないでしょう!!!

簡単に言えば、「油」で洗っているのです。本当は、油クリーニングなのです。

油で、洗濯機をガラガラ回して、洗っても、ウールは縮まないのです。

なぜ?「汗」汚れを「油」で洗って、汚れが落ちると思っている?
そんな訳ないでしょう、と云う事です。

この原理が分かれば、スーツ、スラックスを「水」で洗っても、大丈夫で、きれいになると云う事が理解できると思います。 ウールのセーターも同じです。

もう一つ、誤解していることが有ります。皆さん、洗濯機でガラガラ回さなないと、汚れが落ちないと思い込んでいる事です。。。。。全然、違います。

さあ、これから、何が、どうなっているのか? 説明して行きます。

追記】 2016年7月
最近、自宅で水洗いできる「ウォッシャブル スーツ・パンツ」が、青木などから販売されています。

本当に、めんどくさい方は、専用の「洗濯ネット」に入れて普通に洗うので、簡単と云えば、簡単でしょう。 乾いた後、仕上げも楽です。

但し、ウール:100%の製品ではなく、通常、ウール:50%、ポリエステル:50%で、生地に特殊加工した製品です。

 

2)クリーニング屋の事情

大きなクリーニング店は大量に集めて、工場でクリーニングをします。 もう、そこには、しみ抜きのプロも仕上げのプロもほとんどいません。 ほぼ「ワイシャツ」以外、ドライクリーニングで大量生産です。 顧客も安いので、安い方に出します。

町の小さなクリーニング店は、顧客をどんどん取られれて、商売が昔ほどうまくゆきません。 まあ、スーツの値段も、へたすると1万円で上下がそろってしまいますので、高いクリーニング代を支払ってまで、長く着ようと思っていないでしょうが。。。

小さなクリーニング店の「親父」は、大抵、「職人」時代に見よう見まねで覚えた知識で、独立してクリーニング業を営んでいますので、独立後、自分で、努力、研究した店主と、そうでない店主との技術的な差が大きい業界でもあります。どこの業界でも同じですが。。

後を継いだ子供も親の背中を見て育っていますので、ほぼ、同じように、「勉強不足」の状態が多いのです。

小さなクリーニング店が、大きなクリーニング店に勝つには、洗いや仕上げの「技術」しかないのですが、安くやっている大手のクリーニング店の値段に合わせざるを得なくなります。 対抗するには、それなりの高価なスーツを着ている方を見つけて、お客様になってもらえば良いのですが、もう高齢で、職人だった人が多いので、技術を磨いている人が少ないのです。

3)だったら、自分で洗った方が、よっぽどきれいになるでしょうと、云う事です。

ドライクリーニングって、種々の汚れ(特に水溶性の汚れ)が、実はあまり落ちていないのです。

なぜなら、「油」で洗っているからです。 それなら、自分で、手洗いした方が、衣類がきれいになりますし、長持ちします。
綿のボタンダウンのシャツでも、自分で手洗いすれば、5年以上着続ける事が出来ます。

それでは、ウールの特性から、ちょっと学習してみましょう。

 

2.ドライクリーニングとは

私の場合は、絶対にウール物をクリーニング屋の「ドライクリーニング」に出しません。まあ、元クリーニング関係の仕事をしていましたので、内情を十分知った上で記載します。

なぜなら、自分で「水」で洗った方が百倍きれいになるからです。「ドライクリーニング」で汗汚れ落ちると思っていますか?  無理です。 水溶性の汚れは、あまり落ちません。 油で洗っているのですよ。

水でないからドライクリーニングと言っていますが、本当は、油(オイル)クリーニングです。 そう言えないから「ドライクリーニング」にしただけの話です。

「ドライクリーニング」で落ちる汚れは、油脂系汚れ。。。そんな汚れ、いつも付いていますか? 付いてませんよね。

ですので、分かりやすく言えば、クリーニング屋から戻ってきて、落ちている汚れは、塵(ちり)と埃(ほこり)だけです。

 女性の方、おしゃれ着を「ドライクリーニング」だけで維持している方がいますが。。。見かけ「きれい」なだけです。
1年間着ていれば、お父さんの1日はいた「パンツ」と同じ状態です。 顕微鏡で検査すれば、一目瞭然です。

 

1)クリーニング屋で洗う「ドライクリーニング」って、どんな洗い方をしているか

考えてみてください。

水ではないから、「ドライクリーニング」って言うんです。 「オイル クリーニング」って言ったら誰も出さないでしょう。

「ドライクリーニング」は、「油(あぶら)洗い」です。。。。油で洗っているのを知らないんです!!!。

ほとんどの場合、溶剤は、石油系の「ターペン」という種類の油に溶剤を混ぜて、ドラム式の洗濯機で油を循環させながら、ドラムをガラガラ回転させて洗います(見た目、暖房に使用する「灯油」みたいな液体です)。

洗い終わって、脱油して乾燥機で乾かしたら、速攻、すぐにハンガーにかけます(しわが付かないうちに)。
工場で洗う、大きなクリーニング屋は、洗い終わって乾燥したスーツに、ほぼアイロンをかけません。乾燥機から素早く出して、ハンガーにかけた状態で、ベルトコンベアーで移動しますが、その途中で、自動で、「蒸気」をかけます。そして、ちょこっと、アイロンから出る蒸気で、部分的に「しわ」を伸ばしてしまいます。

だから、安くできるのです。 アイロンで仕上げをする「職人」さんなど、いないのですから。。仕事を覚えたパートさんで十分なんです。

 

2)ドライクリーニングの利点は、洗う側にメリットが大きいのです。

(1)なぜなら、「油」で洗う特性上、ちぢまないし、しわが余りつかないからです。仕上げが、断然「楽」だからです。

ドライで洗う時の料金が、スーツ上下で1,000円や2,000円位ですが、水洗いすると、こんな料金では、合わないのです。
なぜなら、仕上げるのに、手間と時間がかかるのです。
スーツ上下で5,000円くらい頂かないと。。。みなさん、1万円~3万円のスーツに5,000円出さないでしょう?

「セーター」なんか、350円?。。。。。手間なんかかかっていません。。。100円でしょう。 っていうか、自分で洗えって。。。  「セーター」をドライで洗う? どんな汚れを落としたいの?

ドライで洗って、仕上げに10秒かからないのに、数百円は高いでしょう。 これで、数点セットで、980円の舞台裏が見えると思いますが。。。。。

本当は、手間でいえば、ワシャツなどは500円欲しい所です。

何のために洗うのですか? チリや埃を取るために洗うのですか?

 

(2)油で洗って、汗汚れや、皮脂汚れ、タンパク質などの汚れが、ちゃんと「落ちる」と思っていたら大間違いです。

白いワイシャツ。。「ドライクリーニング」しないでしょう。  もし、ドライで洗っていたら黄色くなってしまうでしょうね。
水溶性汚れが蓄積されると、衣料が黄ばんでくることがあるので、白い物などは、汚れが落ちていないのがばれてしまいます。

クリーニング屋が一番、めんどくさい(手間がかかる)のがワイシャツなのです。。。機械が有れば速くできますが。

 

これが、クリーニング屋の「不都合な真実」です。

 

(3)そうです、水で洗うと、しわを取り、仕上げるのに大変な手間がかかります。

ですので、ウール物のスーツもスラックスもスカートも「ドライクリーニング」しちゃうのです。

クリーニング屋もドライクリーニング前提ですので、「水で洗いますか?」などと、口が裂けても、自分で言いません。

客に頼まれると「ハイ」と云いますが、ドライクリーニングより高い料金を請求します。
なぜなら、洗う、仕上げるのに手間が、倍以上かかりますので。。。当たり前ですが

結果として
衣類の汚れの殆どは、水溶性の「汚れ」なのですが、「ドライクリーニング」を繰り返し、汗やその他の水溶性の汚れの成分をいつも残留させたままの「衣類」は、黄ばみ・色あせ・風合いの劣化などがおこり、衣類の寿命を縮めています。

特に夏物の衣類は、ドライクリーニングでは「黄ばみ」が発生しやすく、衣類の寿命も短くなります。

 

3.ウールの特性 なぜ「油」で洗うと、縮まないのか?

1)「油」で洗う=「ドライクリーニング」の事です。

ここで、みなさん、、、ウール物を自分で洗濯機でガラガラ洗ったら「縮む」だろー!!!!と激しく思っていると思いますので。。。。

▮ウール物が、なぜ水(水分)で洗うと「縮む」のか?  ここ大事です。


ウールの繊維は、動物の毛(獣毛)ですので、分かりやすく云うと、みなさんの髪の毛もキューティクルという髪の毛に「うろこ」の様なものが付いた構造になっているのをご存知だと思います。

人の髪の毛

1)ドライクリーニングする訳は、

ここがミソで、「油」の中では、このキューティクルが開きませんので、毛羽立ちません。
従って、毛と毛が絡みません。 ですので縮みません。

この特性。。。。クリーニング屋でも、知らない方が、結構、多いのです。

▮クリーニング屋に質問してみて下さい。
なぜ縮むか、その原理、認識していますか? 。。と聞いてみて下さい。

でも、水の中に入れると、キューティクルが開いて、「バラセン」の様な状態になって、この状態で、繊維を激しく動かすと、絡んでしまいます。

これが、油で洗って、ちじまなくて、水で洗って「縮む」と云うより、絡む原因です。

ちなみに、この原理を使い、作られた生地が「フエルト」です。 毛をぐちゃぐちゃに絡ませるとフエルトになります。

ウールの「セーター」もそうですが、実際には縮むのではなく、絡んで、糸がひっぱらられて、小さくなっているだけです。
ですので、引っ張っても、絡んでますので、元の大きさに戻りません。
 蒸気である程度は戻るが。。。

▮ドライクリーニングの欠点
だからと言って、「ドライクリーニング」で洗っていると、「油」で洗って、落ちない汚れ(汗汚れ、タンパク質汚れ)をそのままにしておくのはイヤです。

 ウール物を洗濯機で、水と洗剤を入れて、ガラガラ回して洗う必要なんてありません。
では「水」で、どんな方法で洗うのか? 自分で洗えば良いんです。

 

暑さが増してきましたが、ウール物のスーツ上下、みなさん、どんなクリーニングされています?札幌も少し暑くなって、薄手のウールのブレザーと麻のジャケットが、汗臭くなってきましたので、自分で洗濯してしまいました。

黒の学生服(上限)、紺のセーラー服(上下)などは、ドライだけで洗っていると、特に汚いです。「テカッ」たスカートをはいている女子高生を見かける事が有 りますが、お母さん、水洗いをして、ブラッシングをすれば、テカリが少し改善されますよ。 ウールが50%以上でも、全然、大丈夫。

風合いが?。。。。学生服に風合いなんて関係ないでしょう。 それより、「きれいな」制服を着せてあげてください。

その方法を「その2」に記載します。

・ウール物のスーツ上下の洗濯方法 その2 洗濯方法について

 

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