【書籍紹介】もうひとつの脳  ニューロン(脳神経細胞)を支配する陰の主役「グリア細胞」

2023-05-15、
本日の書籍紹介は、もうひとつの脳  ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」です。
フィールズ,R.ダグラス(著)

一般の人は、脳の中身は、「脳神経細胞」いや、脳のあの塊しかイメージできていないでしょう。きっと、そんな人がほとんどでしょうね。それは、とんでもなく無知で、自分の脳の事を知らなさすぎます。
脳は、大脳の前頭葉・側頭葉・頭頂葉・後頭葉、小脳、大脳の奥にある大脳辺縁系など構成する臓器が存在しますが、その仕組み上の細部を見ると、主に存在しているのは「脳神経細胞」のほかに、重要な「グリア細胞」が存在しています。しかも、脳内の全細胞の8割以上を占めています。

 

1.脳細胞の仕組

グリア細胞の前に、脳神経細胞がどの様な仕組みなって、動作しているのか、知らない方は、それを勉強してからでないと、グリア細胞の役割を認識するのは、ちょっと難しいでしょうね。

俺は、私は、アナログ人間だから、デジタルは苦手で。。」とボケたことを平気で言い放つ無知な奴は、世の中に多勢に無勢で存在しますので始末におえないのですが、「人間の頭(脳)は、デジタルですよ!」。
脳波はどうやって検知していますか? 脳から電気信号が出ているから脳波を検知できるのです。 イオンの微弱な電気信号です。 直流・交流の電気ではありませんので。 この機会にぜひ脳の構造と仕組みを覚えてみてください。

ニューロン(脳神経細胞)」同士は、ダイレクトには繋がっていません。シナプス」という間隙を使い脳内伝達物質を介して情報が、次の神経細胞に伝わる様な仕組みのネットワーク構成をとっています。

グリア細胞を語る前に、脳の神経細胞についての仕組みを触れておかないと、話が進みなせんので、回りくどい説明になってしまいました。 さて、いよいよ、グリア細胞です。

2.グリア細胞の役割とは?

もうひとつの脳とは「神経膠(グリア)細胞」のことで、これまで電気活動を行うニューロンの間を埋める単なる梱包材とみなされ、軽視されてきた経緯があります。
しかし、近年の研究で、グリア細胞が、ニューロンやシナプスをコントロールしていて、人間の精神活動にも大きく関係していて、「記憶」や「意識・無意識」を制御する仕組みを有している様ですので、ニューロンやシナプスだけでは説明のつかない、いままで謎の部分が、解明されつつあります。

 

参照:https://blog.goo.ne.jp/kfukuda_ginzaclinic/e/3600423774bdfbabff599c197bebf8af

 

3.脳科学でいま「大変革」が起きている

フィールズの到達した結論は、神経科学の主流であり続けている「ニューロン中心主義」という見解が、まったく不完全で、大きな変更を迫られており、実は「グリアがニューロンを制御する」という主客転倒、あるいはニューロン-グリア両立主義とも呼ぶべきものであるというのだ。

これほど、「グリア細胞」について書かれた書籍は、余りないのではと思いますが、私の様な素人が読むと、ちょっと難しい部分が多々出てきます。

ただ、グリア細胞以外のニューロン、シナプス、脳の部位(前頭前野、視床下部、偏桃体、海馬、側坐核など)の脳機能に関する知識のある方は、比較的、すっと、頭に入ってくると思います。

 

もうひとつの脳  ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」

目次
第1部 もう一つの脳の発見
□1章 グリア細胞とは何か ― 梱包財か、優れた接着剤か
□2章 脳の中を覗く ― 脳を構成する細胞群
□3章 「もうひとつの脳」からの信号伝達 ― グリアは心を読んで制御している

第2部 健康と病気におけるグリア
□4章 脳腫瘍 ― ニューロンはほぼ無関係
□5章 脳と脊髄の傷害
□6章 感染
□7章 心の健康(メンタルヘルス) ― グリア、精神疾患の隠れた相棒
□8章 神経変性疾患
□9章 グリアと痛み ― 恩恵と災禍
□10章 グリアと薬物中毒 ― ニューロンとグリアの依存関係
□11章 母親と子供
□12章 老化 ― グリアは絶えゆく光に抗って奮い立つ

第3部 思考と記憶におけるグリア
□13章 「もうひとつの脳」の心 ― 意識と無意識を制御するグリア
□14章 ニューロンを超えた記憶と脳の力
□15章 シナプスを越えた思考
□16章 未来に向けて ― 新しい脳
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4.もうひとつの脳とは神経膠(グリア)細胞のことです。

脳に1千億個ある神経細胞は脳の15%のみ。より多くの部位を占めるグリア細胞は「支持細胞」と呼ばれ注目されてこなかった。しかし近年ニューロンの働きにグリア細胞がかなり重要な役割があることがわかってきた。脳は電気活動が情報の伝達を担っており、グリア細胞はイオンチャンネルに働きかけ電気活動に影響を及ぼす。脳神経細胞(ニューロン)から腕を伸ばしシナプスを形成する時に、誘導する役目をしている。またシナプス周囲で神経伝達物質を取り込んだり放出したりしてシナプス伝達を調整する。ニューロン間の情報伝達、つまり脳の働きをグリアはコントロールしていたのだ!

グリア細胞の種類
▮アストロサイト:
アストロサイトは神経細胞を支持する役割を果たし、神経細胞と血管の間の連絡役を担っています。また、脳内の化学物質の濃度を調節するなど、脳内環境の恒常性を維持する重要な役割を果たします。

▮オリゴデンドロサイト:
オリゴデンドロサイトは神経細胞の軸索を包み込み、髄鞘と呼ばれる絶縁物質を形成します。髄鞘は軸索の電気信号の伝達を助け、神経伝達の速度を高める役割を持ちます。

▮マイクログリア(ミクログリア):
マイクログリアは免疫細胞の一種であり、脳内での免疫応答に関与します。神経細胞の障害や病原体の除去、炎症反応の制御などを行う免疫機能を担当しています。

▮エポクリン:
エポクリンは神経細胞の発生と生存をサポートする役割を持っています。神経細胞の増殖や分化を促進し、脳の発達や修復に関与します。
本当に、人間の「脳」については、まだ、分からないことが沢山あるんだという事が分かります。

人間の「脳」に似せた「人工知能(AI)」?。。。全然、まだまだ追いついていません。
1億光年ほどかけ離れているでしょう。まだ「脳」の全貌も掴んでいないのですから。

 

5.最近、私が脳に関して認識できたこと

■コロナウイルスの感染するのは、ほとんど、脳内では「神経細胞」ではなく「グリア細胞」だと言う事
しかも、グリア細胞のミクログリア細胞という脳内の免疫系の仕事をしている細胞に感染しやすい、そのため、神経細胞も影響を受けて、ブレインフォックなどという症状が、後遺症として現れる。

■脳腫瘍について
脳腫瘍、つまり「癌」になるのは、主に「神経細胞」ではなく、「グリア細胞」に癌が発生する。
癌は、自分の細胞が暴走して増殖しますが、「海馬」などの一部の神経細胞の以外の神経細胞は、成長分裂しないのです。 そんなことをしたら、記憶が飛んでしまうでしょう(増殖しない、生まれ変わらない細胞の代表例は、心臓の筋肉、脳細胞でしょう)。
「海馬」はいくつになっても、使えば、成長する部品です。約1ヶ月分の記憶しか保持できません。海馬に入ってきた情報で、大切な情報は、寝ている時などに、大脳に記憶が保持されます。 ですので、一夜漬けの勉強で受けたテストは、記憶が1ヶ月で消えますので、何も身につかないのです。

■精神障害などの原因について
発達障害、人格障害、愛着障害、躁鬱なども、神経細胞をバックアップ、メンテナンスをしている「グリア細胞」がおかしくなると、当然、神経細胞も影響を受けて、これらの障害の原因にも関わっているのです。

■睡眠時間の重要性
睡眠時間中は、脳が活動していないと思っていたら、大間違いです。
寝ている間、レム睡眠、ノンレム睡眠を交互に行い、脳内の記憶などの情報を整理していますが、そのほか大事な仕事は、脳のお掃除です。脳に溜まった老廃物は、グリア細胞が縮小して、隙間を作り、脳脊髄液が流れる様になり、老廃物を排出していて、その役割をグリア細胞がしているのです。

ちゃんと、寝ていないと、この仕事を「グリア細胞」ができないのです。

■認知症
特にアルツハイマーなどは、脳内にアミロイドベータが溜まり、「神経細胞」が死んでしまうと言われていますが、これも、「グリア細胞」が正常に働いていないと、神経細胞の維持ができなくなり、症状が進行してしまう様です。

この様に、恐ろしいほど、「グリア細胞」が関係しているのですが、研究が遅れています。

最後に、

それにしても、生物って、何一つ、無駄なものが付いていないんだなと思います。
脳について、結構、沢山の書籍を読んで、分かったつもりをしていましたが、もうひとつの脳「グリア細胞」の知識、しっかりと学習してみたいと思います。正直、1回読んだだけでは、理解出ていませんので、あと数回ほど読む必要がある書籍で、ちょっと悔しいが、仕方ありません。 私の頭が悪いだけですので。。。

読んでいる内に、理解できて来たら、自分のメモ代わりに、追記してゆきたいと考えていますので、期待しないで待ってて下さい。

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