書籍「ケーキの切れない非行少年たち」の内容とIQと認知能力、学校の教育制度の欠陥について

round gray and black round wall mounted device

2023-06-21、
本日のお題は、NHKが、ベストセラー書籍「ケーキの切れない非行少年たち」をドラマ化して若者たちの生きづらさに迫っています。この問題の書籍に関しては、当サイトで2冊紹介していますが、ちょっと、別の角度からも迫ってみましょう。

えー!「丸いケーキを3等分に切れない」とはどう言う事なのか? 3等分を認識できない程、物事に対する認知機能が低いのです。 

何で?  境界知能だからです。 世の中には、大人も含めて、数多く実在しているのです。

本書では、特に「医療少年院」だけではなく、統計的に日本の人口の14から17%程度いるとされる「境界知能」をテーマとして扱っています。 35人のクラスに5人はいる計算です。

現在、社会の中で、「ダイバーシティ」とホザイていますが、じゃ、聞きますが、どんな多様性があるでしょう? 「上げてみて、その違いを述べてみなさい」と言われると、数個しか出てこないでしょう。

国会で「LGBT理解増進法案」が成立しましたが、「ダイバーシティ」の問題は、「LGBTの理解を求める」だけの問題ではありません。 もっと多種多様に存在します。

1.世の中に必ず居る 不思議な人たち

1)コイツ、何者なんだろう?。。。という人たち

会社で、いやー「できないヤツ」、「なんでお前この会社でこの仕事をしているの?」なんかミスマッチじゃないか!と言いたくなる奴が、社員数にもよりますが、1社に数人くらい居ませんか?

もちろん、中小零細企業などでは、まともに「入社試験」などを実施して採用していませんので、しょうがないと言えば、その通りなのですが、安易な人事配置で、他の従業員が困ることも多々あります。

 

2)「いじめ」「不登校」「引きこもり」の問題にも十分関連している事なのですが、学校でも「あいつは空気読めない」と安易に除け者にしたくなる奴は居ませんか?

ヒトの脳には、生まれつきの場合や、劣悪な養育環境の違いも含めて、発達障害、人格障害、愛着障害、認知障害、境界知能などが発生しているが目見えません。さらに言えば「腸内細菌」の違いも「脳」に影響があり、それぞれ「脳」の配線が違い、多種多様のヒトが存在しています。

たまたま、親が経済的に成り立っていているうちは良いのですが、親も高齢化してきて、8050問題、9060問題などと言われていますが、関係があるように思います。
関連記事
・「引きこもり」が高年齢化。。。の記事に思う。
・日本で、「引きこもり」の人が、全国に54万1千人いるという。。。。この状態はなぜ?

「不登校」や「引きこもり」になる人たちの何割かは、ADHD、ASDなど発達障害を背負った人たちが多いと言われていますが、同じように、ボーダー(境界知能)と呼ばれている人たちが含まれていると予測します。

 

3)「闇バイト」に乗っかる若者

最近、多い「闇バイト」に乗っかる若者(若者だけではないが)、捕まれば、どんな事になるのか想像がつかない奴、普通の若者なら絶対しないことでも、困窮していると簡単にそのハードルを超えてしまう行動をする。

 

その「できない」「空気読めない」「認知できない」には理由があるかもしれません。
いま社会が向き合うべき“見えない問題”を描いたドキュメンタリードラマですので、ぜひ観てみて下さい。

原作者:宮口幸治さんコメント
今から14年前、目の前の非行少年たちが切ったケーキの形のいびつさに驚愕した体験が、時を経て書籍となり、コミックとなりそしてこのたびドラマになりました。
家庭や学校で見過ごされてきた困っている子どもたち・少年たちの存在。少年院で勤務し始めてから彼らへの危機感をずっともってきましたが、これだけ多くの方々に共感していただけましたことは、それが大きく間違っていなかったことを再認識させていただきました。

ドラマを通して、こういった少年たちが実在すること、犯罪に至った人たちに対して憎しみ以外の観点でもみる必要があること、今なお学校で気づかれていない困っている子どもたちがいること。これらを感じていただければ嬉しく思います。

「ケーキの切れない非行少年たち」の中に潜む、根本的な問題点を探ってみましょう。

書籍「ケーキの切れない非行少年たち」の認知能力

1)認知機能と認知能力

▮認知機能とは、外界を正しく認識し、正しく実行するための機能のことで知覚、思考、記憶、学習、問題解決などの能力を含みます。個人の認知能力は遺伝的要素、環境要因、教育などの複合的な影響を受けます。

▮認知能力(Cognitive Abilities)
知覚、学習、思考、記憶、問題解決などの高次の知的プロセスを含む、人が情報を処理する能力を指します。認知能力は個人の脳の機能と関連しており、その発達や機能には遺伝的要素や環境要因が関与します。認知能力に関して言えば、個人の認知能力は多様であり、異なる人々が異なる認知スタイルを持っています。

▮認知機能の弱さ(Cognitive Weakness)は、個人の認知能力が一般的な水準よりも低い状態を指します。これは、学習、思考、注意、記憶、情報処理などの認知プロセスにおいて、個人が困難を抱えることを意味します。

認知機能の弱さは、さまざまな要素や状況によって引き起こされる可能性があります。以下にいくつかの例を挙げます:

  1. 発達の問題:
    認知機能の弱さは、発達障害(例:自閉スペクトラム症、学習障害)や発達遅延に関連している場合があります。これらの状態では、学習や情報処理において困難を経験することがあります。
  2. 神経学的な問題
    脳損傷、神経変性疾患、脳腫瘍などの神経学的な問題は、認知機能の弱さを引き起こす可能性があります。
  3. 精神的な状態
    うつ病、不安障害、統合失調症などの精神的な状態は、認知機能に影響を及ぼすことがあります。注意力の低下、思考の鈍化、情報処理の遅れなどが見られることがあります。
  4. 高齢化
    年齢の増加とともに、一部の認知機能は自然に低下する傾向があります。これには、注意力の低下、記憶の問題、思考の柔軟性の減少などが含まれます。

認知機能の弱さは、個人の学習や生活にさまざまな影響を与える可能性があります。
ただし、認知機能の弱さは固定された状態ではなく、個人の状況や環境によって変化することがあります。支援や適切な介入、認知リハビリテーションなどを通じて、認知機能の強化や代替手段の開発が可能です。

こう言われていますが、いい年をした大人になっ状態で、今さら、誰がどう選別して、トレーニングするのでしょうか、困っていなければ、そのまま放置しておくのが良いのでしょうか?

 

3.学校の教育制度の欠陥

学校の教育制度の欠陥に関しては、議論の余地があります。教育制度の欠陥とされる点には、以下のようなものがありますが、これらは一般的な観点からの指摘です。

  1. 個別のニーズに対する十分な対応の欠如:
    学校の教育制度は、多様な学生のニーズに適切に対応することが求められます。しかし、教育制度が全ての学生に対して十分なサポートや挑戦を提供できていない場合、学生の学習成果やモチベーションに影響を及ぼす可能性があります。
  2. 評価の一元化と標準化:
    多くの教育制度では、評価が一元化され、標準化テストが重視される傾向があります。しかし、学生の多様な能力や才能を正確に評価することは困難であり、評価方法に偏りやバイアスが生じることがあります。
  3. 個別の学習スタイルや関心に対する柔軟性の不足:
    学校の教育制度は、一定のカリキュラムや教授法に基づいています。しかし、学生は異なる学習スタイルや関心を持っており、それに応じた柔軟なアプローチが必要です。

これらは一般的な指摘であり、教育制度の改善には多くの要素が関与します。教育制度の改革は、個別のニーズに対応するための教育プログラムの多様化、教師の専門的な開発、学生の参加を促す教育環境の構築など、多角的なアプローチが必要です。

 

医療少年院で「丸いケーキの3等分」ができないのは、「境界知能」ゆえなのだという。

4.学校教育の中で、「忘れられた人々」とは?

宮口先生は、少年院などで子供たちを見ている過程で、問題を起こして、少年院に入ってこなくても、軽度知的障害(知的障害の8割)、ボーダー(境界知能)の人たちは、知能検査で、問題なしと判定され、認知機能が低いのですが、健常者と見分けがつかなくなり、「忘れられた人々」として、普通学級でも、困っている子供たちがたくさん居ると言っています。  世の中の14%の人がボーダーだそうです。

学校内で起こっている「いじめ」、「不登校」、「引きこもり」の問題にも十分関連している事なのです。

普通の社会でも、困っている大人たちがたくさん居ると考えると、社会の中で、色々なものが見えてきます。先生は、「忘れられた人々」と言っていますが、私は、ある程度見えますので、忘れてはいません。

頭を傾げてしまう「不思議な人々」とでも言いましょうか、そんな感覚がする人たちが確かに存在します。

 

知能について

1)知能(Intelligence)

広義には個人の認知能力全体を指す場合もありますが、一般的には人が知的な活動を行うための総合的な能力や能力の一部を指します。知能は複数の要素から成り立ち、一般的には言語能力、数学的能力、空間的能力、論理的思考能力などが含まれます。

認知能力と知能は、人の思考や学習に関与する重要な要素であり、個人の能力や学習の能力を評価するために使用されます。しかし、知能は全ての認知能力を網羅するわけではなく、個人の多様な能力や資質を十分に評価するためには、他の要素も考慮する必要があります。

「境界知能」という、特にテレビではある種タブー視されている領域に踏み込んだ作品でした。
・参考サイト
真矢ミキ主演ドラマ「さくらの親子丼」で注目 「ケーキの切れない非行少年」とは?

本書では、特に「医療少年院」だけではなく、日本の人口の14%程度いるとされる「境界知能」をテーマとして扱っています。

知能は通常、IQ(知能指数)として数値化され、知能テストなどで評価されることがあります。
IQは一般的に、人口の平均を100とし、標準偏差15のスケールで表されます。
IQテストは認知能力の一部を測定する手法の一つであり、人々の認知能力の相対的な比較を可能にします。

▮「境界知能(ボーダー)」とは、
IQが70~84程度で、いわゆる「知的障害」(IQ69以下)とまでは言えないが、現代社会では、普通学級で教育を受けて、そのまま社会に出されて、生きていく上では相当程度の困難に直面していると考えられている人たちのことだ。

 

最後に、
世の中には、「LGBTQ」「発達障害」「人格障害」「愛着障害」「境界知能」など、生まれつき、劣悪な養育環境によっても発生する問題も多数含まれています。

「ダイバーシティ」とホザク前に、ちゃんと「人間」の脳について、学んでおく必要がありでしょう。

書籍紹介
▮ケーキの切れない非行少年たち

 

▮どうしても頑張れない人たち~ケーキの切れない非行少年たち2 (新潮新書)

著者:宮口幸治  プロフィール
立命館大学総合心理学部・大学院人間科学研究科教授。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務し、2016年より現職。医学博士、臨床心理士。

関連記事
【書籍紹介】 ケーキの切れない非行少年たち   宮口 幸治 (著)
【書籍紹介】 どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2  宮口 幸治 (著)

【面白記事:重要】ちょっと最近続いている少年による凶悪事件について、“普通の子”たちがなぜ凶悪事件を…危ない親子関係の傾向

ルポライター鈴木 大介さん「貧困に喘ぐ人と「支援者」がすれ違う根本理由」の記事を読んで、支援の難しさについて

コメント