2022-03-20、
本日の書籍紹介は、人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 篠田 謙一 (著)です。
私たち現生人類(ホモ・サピエンス)は、アフリカで生まれ、どう進化してきたのだろうか。
生物種の分類で云うと、ホモはラテン語で「ヒト」という意味、サピエンスは「賢い」で、ホモ・サピエンスは、「賢い人」と云う意味になりますので、賢くないヒトは、ホモ・サピエンスでなく、「ホモ・ストゥルトゥス(stultus:愚か)」と名付けましょうか。
ホモ・サピエンスの時代は、出アフリカから始まって、高々、数十万年位しか経っていません。地球誕生の歴史から比べれば、「屁(へ)」みたいなものです。数億年前には、恐竜さえも滅んでいますので、この「賢い人」たちが生存していられるのも、そう長くは続かないのは明白です。
DNAを解読し、ゲノム(遺伝情報)を手がかりに人類の足跡を辿る古代DNA研究の最新情報を記載してありますので、複数の同じコンテクストの書籍を読んだ後に読んでも、現状までのまとめになりますので助かります。そして、DNAは細胞核のDNAだけでなく、母方からしか伝わらないミトコンドリアのDNAも含まれますので、系譜を追う事が出来るのです。
遺伝子的には、数%しかチンパンジーと変わりません。 そのくせ、黒人、白人、黄色人と、人種差別をしますが、人種ではありません。 人種は、1種 ホモ・サピエンスだけです。
ホモ・サピエンスのオリジナルは、黒人です。 白人は、白く突然変異しただけで、決してオリジナルではないのです。
ただし、ホモ・サピエンスではなく、ヒトの皮を被った「バケモノ」が、歴史的に定期的に現れて、世界の平和を脅かす。
人類学的には、さっさと抹殺しても、なんの影響もないのです。
<目次>
第1章 人類の登場―ホモ・サピエンス前史
第2章 私たちの「隠れた祖先」―ネアンデルタール人とデニソワ人
第3章 「人類揺籃の地」アフリカ―初期サピエンス集団の形成と拡散
第4章 ヨーロッパへの進出―「ユーラシア基層集団」の東西分岐
第5章 アジア集団の成立―極東への「グレート・ジャーニー」
第6章 日本列島集団の起源―本土・琉球列島・北海道
第7章 「新大陸」アメリカへ―人類最後の旅
終章 我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか―古代ゲノム研究の意義
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30万年前にアフリカで誕生したホモ・サピエンスは、どのように全世界に広がったのか。旧人であるネアンデルタール人やデニソワ人との血のつながりはあるのか。アジア集団の遺伝的多様性の理由とは、文庫本ですが、興味深い内容で一杯ですし、まだ分からない疑問点も湧いてきます。
私の疑問点は、
・ホモ・サピエンス以前(原人)たちは、なぜ木から降りて、森を2足歩行する様になったのか?
・なぜ、東アフリカを出る必要があったのか? 地球に、大地に何が起こっていたのか?
・なぜ、世界各地に移動する羽目になったのか?
<追記> 2022年12月
2022年のノーベル「医学生理学賞」は、4万年前のネアンデルタール人の骨に残っていた遺伝子情報から、ネアンデルタール人と我々ホモ・サピエンスの種が交わっていたことを発見した、ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ博士に贈られました。
—関連記事—
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