2020年1月1日、
新年、早々ですが、面白い書籍を見つけましたので紹介します。
本日の書籍は、「動物と機械から離れて: AIが変える世界と人間の未来」菅付 雅信 (著)です。
世界中のキーマンに直撃取材し、集めた情報だそうです。
■「動物と機械から離れて」
– 目 次 –
第1章 AIとは何かを考えることは、人間とは何かを考えること
第2章 「自律性」という広大な未知を探索する
第3章 世界最大のテック都市、深圳はAIに未来を託す
第4章 「わたし」よりも「わたし」を知っている機械
第5章 社会の複雑さに人間が追いつかず、AIが追いつこうとする
第6章 ロシアのシリコンヴァレーが示すAI競争という新たな冷戦
第7章 「意識とは何か」を考える意識
第8章 シリコンヴァレーの未来信者たちとその反動
第9章 仕事の代替は古くて新しい問題である
第10章 人間は素晴らしく、だらしなく動物である
第11章 シンギュラリティは来ないが、ケインズの予言は当たる
第12章 未来の幸福、未来の市民
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1.AI(人工知能)とは何か?と考える事は、人間とは何かを考えることに他ならないのです。
ですので、当然ですが、AIを学ぶ以前に、歴史学、人類学、脳神経学、生物学、社会学、哲学などの領域も必要なのですが、そこが欠落していると、金儲けの「AI」しか見えないでしょう。
「シンギュラリティは来ないが、100年前のケインズの予言は当たる」、つまり意識を持った汎用型AIの到来はまだ難しいが、確実に人間の仕事は奪われる。
最先端テクノロジーのエンジニア、クリエイター、抽象的・人文科学的なことを考えられる人たちは、これから活躍できる。
こんな職業につける人たちは、ごく一部でしょう。今でも、官僚や大企業に就職できる人間も、ごく一部でしょうが。
皮肉っぽく云えば、
AIと人間の親和性で云えば、岡田 尊司 (著)の「ネオサピエンス 回避型人類の登場」により、人間の方が、人間的な関係性を持つことのできない人間がどんどん増えてAIに近づいて、うまくやっていけるような気もします。
そうです。知能だけがもう少しだけ高度になれば、人間性の無い人間が増えて、一番必要なものが要らないのですから、シンギュラリティは、簡単に迎えられるのです。
2.英語、プログラミング教育など、教育改革を進めようとしていますが、その一方で、去年、話題になった書籍があります。
「ケーキの切れない非行少年たち」 宮口 幸治 (著)の中で、少年院などで子供たちを見ている過程で、問題を起こして、少年院に入ってこなくても、軽度知的障害(知的障害の8割)、ボーダー(境界知能)の人たちは、知能検査で、問題なしと判定され、認知機能が低いのですが、健常者と見分けがつかなくなり、「忘れられた人々」として、普通の学校でも、困っている子供たちがたくさん居ると言っています。
問題を起こした不良の少年・少女ではなくても、
世の中の十数%(7人に1人の割合で)の人間は、このような「認知機能」が極めて低いまま、社会に出て、生きにくい生活を送っているのです。
こんな子供たち、大人たちが沢山いる中で、英語や、プログラミング教育?
100年早いとは言わないが、こんな状態の学童が大勢いる中で、プログラミング教育? 論理的思考など、ほど遠いでしょう。 簡単な計算ができなかったり、丸いケーキを3等分できないほどの「認知能力」で、どうやって「論理的思考」を養うのですか?
先に、この学童を救うことを実施してゆかないと、「忘れられた人々」を置き去りにしない教育改革をした方が、世の中の役に立つのではないでしょうか。
優秀な人材が、海外に流出して日本からどんどん居なくなると言われて危惧していますが、テクノロジーを活用するなら、勉強についてこれない子供たちに「認知機能」を高めるように教育改革を行い、この底辺にいる人間たちを底上げする必要もあるでしょう。
格差をこれ以上広げないためにもです。
3.「テクノロジーは貧困を救えない」なぜなら
一番注意しなければならない視点は、テクノロジーは、まず「金儲け」の為に進化するという事です。
ほぼ、慈善事業で進化しません。戦争も云わば、物資が激しく消耗・消費しますので最大の金儲けの手段です。
■テクノロジーは貧困を救わない
<目次>
第1部(どのパソコンも見捨てない―教育テクノロジーの矛盾する結果;増幅の法則―テクノロジーの社会的影響についてのシンプルで強力な理論;覆されたギーク神話―テクノロジーの迷信を打ち砕く;シュリンクラップされた場当たり処置―介入パッケージの例としてのテクノロジー;テクノロジー信仰正統派―現代の善行について蔓延するバイアス)
第2部(人を増幅させる―心、知性、意志の重要性;新しい種類のアップグレード―テクノロジー開発の前に人間開発を;願望の階層―内面的動機の進化;「国民総英知」―社会的発展と集団の内面的成長;変化を育てる―社会的大義の枠組みとしてのメンターシップ)
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コンピューターも、スマートフォンと云う小さなデバイスに進化したが、貧困を救ったでしょうか? 「バカ」が増えただけでしょう。 「脳」の「貧困」が加速しただけでしょう。
テクノロジーの最たる「人工知能」でも、貧困は救えないのです。テクノロジーは、強者が、金儲けをするための道具として進化して、その「おこぼれ」を弱者が拾うのです。人間性の薄い人類が多勢に無勢を占めて、ヒトがローダウンしていれば、シンギュラリティが来ても不思議ではないのです。
問題は、知能の高い人間は、人間性が薄くても困らないだろうが、知能のそんなに高くない、中途半端な人間性を持った、その他大勢の人たちが、どう生きてゆくか。。。
働かなくて食って行ける「ベーシックインカム」で、一生、これで生活するのは、ちょっと地獄なような気がします。「2045年ぐらいにシンギュラリティが来て知能を超える」と言われていますが、あと25年先は、あなたはいくつになっているでしょうか?
今の高校生くらいの「生徒」たちが、30後半、40代の働き盛りになった頃でしょうか。いや、働いていないかもしれませんね。
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