【社会心理学】世の中、頭のおかしい人間がたくさんいるが、「認知バイアス」について考えてみる

a group of people standing next to each other

2022-11-18、
本日のお題は、世の中、本当に頭(脳)の配線のおかしい人間がたくさんいるが、おかしくない人でも陥る「認知バイアス」について考えてみる。

世の中、脳が正常、異常に限らず、様々な考えられないような事が発生するのですが、なんで、こんなに好き勝手に、考えたり、行動したりできるのか、しかも予想もできないことを平気でやってしまい事件を起こす人間も、多数存在します。

ヒトの行動は、90%以上が無意識に行われていると言われていますので、後で「言い訳」をします。

ヒトが、自分自身に「言い訳」してしまう心の働きを「合理化」と云いますが、なぜか?

満たされなかった欲求に対して、理屈付けして考えることで自分を納得させる心理的な防衛機制なのです。

『すっぱいぶどう』というイソップ童話で、
ある日、キツネは、たわわに実ったおいしそうなぶどうを見つけます。食べようとして跳び上がりますが、ぶどうはみな高いところに実をつけているため、何度跳んでも届かず、結局はあきらめることにしました。

さて、このときのキツネの気持ちは、次の2つのどちらに近いでしょうか。想像してください。

▮おいしそうなぶどうなのに、食べられないなんて、残念だなあ。
▮最初はおいしそうに見えたけれども、どうせあんなぶどうは、すっぱくてまずいに違いない。誰が食べてやるものか。

このような「合理化」は、「認知的不協和理論」によって説明されます。
米国の心理学者「フェスティンガー」は、自分や自分を取り巻く環境についての認知(知識、意見、信念など)の間に矛盾や食い違いがある場合、それらは認知的に不協和な関係にあると考えました。このような不協和な関係は、不快感情を生み出すため、私たちは何とかして不協和な関係を解消しようとします。

ここで重要なのは、当人の主観のなかで矛盾が解決されれば、たとえ客観的事実として解決されていなくても(たとえば、本当はそのぶどうは非常においしいものであっても)、不快感情は低下するということです。したがって合理化は、当人の精神的健康の維持には不可欠ですが、本質的な問題解決には至らず、かえって問題を大きくしてしまう場合もあります。

参照:https://www.jumonji-u.ac.jp/sscs/ikeda/cognitive_bias/cate_d/d_29.html

自分の心の中で完結することなら良いのですが、事件を起こし、他人に被害を加えて、警察での取り調べの過程で、どうも、おかしいことを言っている場合は、刑事責任能力を調べるために、鑑定留置をして、被疑者・被告人の精神状態や身体に関する鑑定を医師等の鑑定人にしてもらうことになります。

事件を起こさなくても、人は、とんでもない言い訳を良くするものです。

 

1.バイアスが注目を集めていますが、その理由は

1)人材の多様化、ダイバーシティ

バイアスは、種々の差別、例えば、「ジェンダー(性差別)」や「人種差別」などの問題で語られることが多い言葉ですが、企業活動の場において、グローバル化が加速し、働く人材も多様化していますので、この事柄を考えることが必要で重要になています。

▮企業が「文化人類学者」を集めている理由
この「人材の多様化」に伴い、「ダイバーシティ経営」に対する関心が増しています。
性別や人種、国籍、宗教などにかかわらず、さまざまな背景(バックボーン)を持つ人たちを集め、多様な人材が活躍できる環境をつくるためには、障害となる「先入観」や「固定観念」を排除して、多様性によって生産性向上やイノベーションを実現することを目的としていますが、一人ひとりの違いを受け入れて、違いに対して価値を見出し、その価値に敬意を払うスタンスでいることが重要となるが、しかし国内では、まだまだ無理でしょう。

 

2.認知バイアスについて

バイアスとは、「偏向」「先入観」「データなどの偏り」などと云われています。
心理学には「認知バイアス」という言葉がありますが、経験や思い込み、周りの環境などにより、物事を非合理的に判断してしまうことを指します。

皆、育った環境、経験、置かれている状況などによって、様々な影響を受けて、偏った価値観、物事の見方をしてしまう、このような認知のゆがみを「認知バイアス」と言います。

バイアスが生じる理由として、ヒトは意思決定において「二重過程理論」が働いている事が挙げられる。

▮「二重過程理論」とは、人間の意思決定には二つの仕組みがあるとする理論。
・直感的かつスピーディーに意思決定する「システム 1」
・ゆっくりと論理的な判断を下す「システム 2」

このうち「システム1」においては、考えている感覚がなく無意識のうちに高速で意思決定が行われています。自分で気付かないまま判断することになるので、バイアスがかかり、考えに偏りが生じやすくなるのです。

バイアスが生じる理由として「ヒューリスティック」というキーワードも重要で、経験則に基づく直感的な意思決定のことを指します。「ヒューリスティック」は、上述した二重過程理論においては、システム1に当てはまります。

そもそも人間は、本質的にヒューリスティックに意思決定するといわれており、その由縁は「狩猟採集時代」にまで遡ります。ヒューリスティックに意思決定するようになったのは、素早く危機を察知して回避するために、意思決定のスピードが重要だったからです。

人間の行動は、90%以上が無意識に行われていると言われていますが無意識と意識のパイプ役にあたる「潜在意識」の中にあり、これが「認知バイアス」を発生させる原因になっているのでしょう。

 

3.様々な認知バイアスについて

認知心理学や社会心理学などで、よく取り上げられる認知バイアスは数多く存在しますが、これからいくつかの認知バイアスついて紹介します。

正に、この「正常性バイアス」で被害拡大に影響したと思われる「3.11東日本大震災」、巨大津波発生で生死が分かれたようです。近所に逃げようと叫んだ人がいる狭い地域の人は、一緒に逃げて助かっています。そう誰か信頼されている人が危険だと叫ばないと、大丈夫だと思ってしまうのです。

▮正常性バイアス
人が異常な事態に直面した際に、自動的に正常な範囲内だと認識してしまうことです。
例えば、大きな震災が起きた際に避難をしなくてはならない状況にも関わらず、まぁ大丈夫だろうと思って避難しないような場合です。
「自分だけは大丈夫だ」といった考えや、「たとえ何か起きたとしても大事ではないだろう」と考えることで、ふりかかる危険を過小評価していつも通りの生活を継続しようとしたり、自分は詐欺には引っかからないだろうという過信が正常性バイアスをまねきます。

▮確証バイアス
自分の主張を通したいときに、自分の考えや仮説に合う都合のいい情報や自分の思い込みを正当化する情報を無意識に集める傾向があります。また、反対意見などの異なる思想に対しては、抵抗感から無意識に軽視・排除してしまいます。
人間の脳は理由を求め、不協和が起こっている状態は気持ちのよい状況ではありません。その不協和を改善するために、確証バイアスは起こります。このバイアスは比較的多くの人にみられます。

▮内集団バイアス
他の集団と比較して、自分が所属している集団や属している人が優れていると位置付けてしまうことです。また、外部の集団よりも内集団の人により好意的に接することも内集団バイアスに含まれます。このバイアスにより、外部の集団に対して差別的に接することが問題となる場合もあります。

▮後知恵バイアス
ある問題が起こったあとに「そうなると思っていたんだよ」とよく言っている人をみたことはありませんか。このような人の心理には後知恵バイアスがかかっているのかもしれません。
後知恵バイアスとは、結果がでたあとに「そのような結果になることは予想できていた」と、あたかも最初から結果を知っていたかのように、結果と自分の考えを一致させようとすることをいいます。

▮ハロー効果
「光背効果」「後光効果」とよばれる認知バイアスです。
ハロー効果とはある特定のものに対する評価が、全く因果関係を持たない異なるものの評価へ影響を与えることです。
これは、ポジティブなものにもネガティブなものにも当てはまります。情報量が少ない状況でその隙間を埋めようとする人間の脳の働きが関与しているといわれています。ビジネスの分野でもハロー効果は応用されており、代表的な例としては企業が人気のある有名人を商品のCMに起用するといった手法があります。

▮バンドワゴン効果
大勢の人が選択している判断は、個人の判断よりも正確であると思いこんでしまうバイアスのことです。その結果、多くの人が選んでいるものなのでよいものなのだろうという認識になります。
インフルエンサーによるマーケティングもその一種であり、SNSにおいて多くの「いいね」をもらっているものほど良い商品であると認識される傾向があります。

▮自己奉仕バイアス
成功したことは自分の能力のおかげ、失敗は自分にはどうにもできない要因によるものと考えてしまう傾向を自己奉仕バイアスといいます。すなわち、自分の成功については内的要因を自分の失敗については外的要因を重視する傾向のことです。仕事で結果をだしたことは自分の能力が高いからと考え、失敗したときには周りの環境のせいにします。悪くいえば、成功は自分のお陰、失敗は人のせいにしてしまうというものです。

参照:https://mitsucari.com/blog/cognitive_bias_examples/

 

最後に、
人工知能(AI)を作る過程で、非常に困難な問題の一つとして、AI倫理があります。
「人工知能」を作る時も、この様な問題が、人間に似せようとすればするほど、起こってくる事でしょうし、既に困難を極めている。 自ら学習させれば、させるほど、各種の「認知バイアス」をどうするのか、人間から学ぶ事、ヒトに似せる事が、どれほど危険なことかが判明するのです。

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