2019年5月6日、
本日の興味深い記事は、「毒親」の子どもは許すべきなの? 親と関わりを断つ自由 LIMOの記事です。
最近、両親による児童虐待のニュースが絶えませんが、ここでちょっと考えてみたいことがあります。 厚生労働省が公表した「平成29年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数」は13万3778件と過去最多となっています。児童虐待=毒親とイコールでは無いと思いますが、近いものがあり、「毒親の正体」は一体何なんだろうか? という事です。
1.「毒親の正体」と「ニューロ ダイバーシティ」
更に云えば、「ダイバーシティ(多様性)」と云う言葉のなかに、「ニューロダイバーシティ」と云う言葉があります。 意味は、神経構造の多様性です。
ただ、「ニューロ ダイバーシティ」と云う言葉があっても、多様性を求められる、この世の中で尊重すべき場合と、そうでない場合が大いに有ります。
それは、自分が産み、育てるべき子供の人生に、悲劇的な悪影響を及ぼす場合です。
子供とのかかわりの中で、「化け物(モンスター)」の様な振る舞いをしてきます。
この場合、「ニューロダイバーシティ」などと、悠長な事を言ってられないのです。
2.「毒親」を4タイプの分類
上記の記事では、精神科医の斎藤学氏は、「毒親」を4タイプに分けて定義しています。
<下記の4タイプ>
1.過干渉、統制型の親(「あれをしなさい、これをしなさい」と何でも先回りして指示を出す)
2.無視親(ネグレクトも含まれる、ワーカホリズム(仕事依存)の親など)
3.ケダモノのような親(暴言・暴力などの虐待や性的虐待など)
4.病気の親(精神障害をもった親、反社会性人格の親など)
並べてみて分かるように、3と4の親はその質の悪さが群を抜いていると思います。この4つの分類は学術上のものであり、私たちが生活している中で語る場合の定義としては、少々不便なのではないでしょうか。
3.「毒親」と云う親が発生・成長してしまう精神医学的事情
かたや、【書籍紹介】「毒親」の正体 ―精神科医の診察室から 水島広子(著)の書籍では、
「毒親」と云う親が発生・成長してしまう精神医学的事情は、下記の4つのパターンがあり、何の事情もなく「毒親」になることはないようです。
<下記の4つのパターン>
1 発達障害タイプ
(自閉的スペクトラム障害=ASD、注意欠如・多動性障害=ADHD)2 愛着障害タイプ
不安定な愛着スタイル(不安型と回避型)3 うつ病などの臨床的疾患
(トラウマ関連障害、アルコール依存症、統合失調症)4 DVなどの環境問題
(深刻な嫁姑問題、育児に対する心の準備不足)
水島広子先生が診てきた「毒親」で最も数が多いのは、実は「発達障害」の人たちだという。
何だか、この分類パターンの方がしっくりくる様に思います。
そう、この「発達障害」という障害は、腕が無い、足が無いと言った、身体的な障害ではありませんので、目に見えません。
従って、普通の人達は理解できていないでしょう。学校でも教えませんので。ましてや自分自身でも理解できないでしょう、脳の症状ですので、よっぽど症状がひどくないと、わからないのが現実です。
—関連記事—
・「発達障害」という言葉だけが先行し、脳科学の「社会の理解が進んでいない」
4.親の「脳」の障害について
まず、「毒親」を理解する前に、精神医学的事情、つまり「脳」の障害について認識出来ないと、これを理解することなど出来ないでしょう。
4タイプの「毒親」と「毒親」発生・成長してしまう精神医学的事情をリンクさせると下記の様になるのではないでしょうか。
1.過干渉、統制型の親 :発達障害タイプ、愛着障害タイプ
2.愛着障害タイプ :愛着障害タイプ
3.ケダモノのような親 :DVなどの環境問題、人格障害タイプ
4.病気の親 :発達障害タイプ、統合失調症、うつ病などの臨床的疾患
結婚生活をおくっている過程で、どちらかが、気が付けば、何とかなる場合もあるが、2人とも正常ではない場合は、「共依存」の関係になり、夫のDVに観て見ぬ振りをしてしまったりする場合が多発する。
また、妻は正常でも、夫が、DVなどの異常性を持っている場合は、妻はなかなか歯向かえないでしょう。余程、ひどくなければ自分の経済的な生活を天秤にかければ、別れられない場合もある。
また、妻の異常を「夫」が見逃してしまえば、養育している時間の長い、一番弱い子供に被害が向きます。 多分、ボディブローのように成長する家庭で子供に兆候が出てくるでしょう。
「毒親」のやりたい放題、体ではなくても、子供の「脳」に、必ずダメージを与え続けます。
1)始末が悪いのが
これは私の聞いた話ですが、例えば、合コンなどで、幼少期に虐待やネグレクト(放置)を受けた子は、普通の子には目もくれずに、同じような境遇の男性を「嗅覚」でかぎ分けて、見つけて、くっ付いてしまう傾向があるようです。
何故なら、愛されたいために、普通の男性には目もくれず、ダメな男を見つけだし「私が居なくてはダメ」的な男を選んでしまう。
そう、「自分の存在価値が、誰かの役に立っていないと見いだせない」という感覚になっている。だから「クズ」を選んでしまう。そして、DVをまた受けても、「共依存」の関係に陥っているので別れられなくなったり、「クズ男」と別れたとしても、また同じことを繰り返してしまう。 傍から見れば、すぐに別れればいいが、幼少期に愛情を受けずに、虐待やネグレクトの中で育った子は、クズ男を自ら引き寄せてしまう傾向があるようです。
■両親共に、いかれている場合
「いかれている者」同士が惹かれ合う場合が有りますので、十分可能性がある
■両親が揃っていても、家庭によってもパターンが色々とあるのです。
・父親のみが、いかれている場合
・母親のみが、いかれている場合
■片親の場合
いかれている夫と別れたが、自分が貧困状態に陥ってしまい、自分もおかしくなる。
あまりにも、関連性とパターンが多すぎて、全部記載するのが難しいです。
—関連記事—
・ルポライター鈴木 大介さん「貧困に喘ぐ人と「支援者」がすれ違う根本理由」の記事を読んで、支援の難しさについて
2)そして、最も始末が悪いのが
子供に虐待の痕跡が発見されないと「警察」沙汰にならないことです。
水面下で行われる「精神的な虐待」は、子供は大きくなっても、必ず、脳が傷つき悩み続けます。
夫の場合は、分かりやすく兆候が出るのですが、母親の場合は、実に「巧妙」で夫にも分からない場合が多いのです。そして家庭の中で「毒親」振りが、ひっそりと進行してゆくのです。
結果、楽しいはずの人生の中で、子供が、全部、背負って苦しんで生きてゆかなければならないのです。
増々、家庭が「閉じられた社会」になってしまっており、他人の「おせっかい」が必要とされている時代なのですが、それも難しいでしょう。 何より「毒親」からの被害を自分自身で感じるには、今回記載した知識も重要になってきます。
しかし、幼児の場合は難しいのですが。
5.「逃げる」ことの大切さ
たとえ、親であっても、脳の配線がおかしくなった「毒」になる人間もいるという事をちゃんと知っておくべきだし、助けを求めて、自ら逃げる勇気も必要でしょう。
そんな意味においても、少なくても「発達障害」「愛着障害」「人格(パーソナリティ)障害」など、この3つの障害についての知識は、十分に知識を身に付ける必要があると考えます。
そして、たとえ「親」であろうが、「他人」であろうが、「化け物(モンスター)」とは決して戦かわないことです。 「逃げる」しか道はないのです。
何故なら、相手を変えることなど、決してできないからです。
—関連記事—
・【書籍紹介】 ケーキの切れない非行少年たち 宮口 幸治 (著)
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