キラーストレス そのストレスは、ある日 突然、死因に変わる。

Woman in Gray Tank Top While Sitting on Bed

2016年6月26日、
NHKが、「あなたを蝕むストレスの正体 ~こうして命を守れ~」と題したNHKスペシャルを放映しましたが、この「人を殺すキラーストレス」特集に反響の声が続出している様です。

分子生理学、心理学、脳科学、脳神経学、人類学の最新の知識が詰まっていますが、ちょっと足りない「考察」の部分が有ります。

現代社会は、「ストレス」まみれと云いますが、この言葉は、過去の世界大戦の頃は、皆、どうだったんでしょうか? 最高のストレス状態だったはずですが。。。。このころ、今も生きているでしょうが、皆さん、生き抜いていますよね。 食べ物が無く、餓死した方は、おられるでしょうが、ストレスで亡くなった方が、どれほどいるのでしょうか?

そして、最高のストレス状態だった「アウシュビッツ強制収容所」で、生き残った方は、最後まで、希望を失わなかった方だというお話を聞いたことが有りますが、「ストレス」に強い方、「ストレス」に弱い方、どのような違いが脳に在るのでしょうか?

そうです。 「ストレス」と言っても、「ストレス」を感じやすい? ならば、「ストレス」として、感じないようにするにはどうすればいいのか? それは無理なのか?

結論から、言えば、この疑問には、あまり答える事が出来ていないのではと思うのですが、とりあえず、「ストレス」がかかるメカニズムだけでも、明らかになれば、そこから先に、どうすれば良いのか、自分で考えて行動、決断するしか、解決する方法が無い様な気もします。

もう一つ、脳科学などで、解明しなくても、まあ、少しの「ストレス」は人間だれしも抱えているのでようが、ちゃんと「ストレス」を抱えながらでも、生きている方が、大勢ると云う事も事実です。

 

1.「ストレス反応」とは

脳には、恐怖、不安に反応する「扁桃体」、記憶形態に深く関わる「海馬」という部位が有り、その他、報酬、快楽、嗜癖、恐怖に関わる「側坐核」などの部位と密接なつながりを持っている大脳皮質の「前頭前野」という領域があります。

ワシントン大学の研究によると、人間はストレス下に置かれると脳にある恐怖や不安を感じたときに活動する「扁桃体」が反応し、その反応が身体のさまざまな箇所にも波及し、影響をおよぼすという。

「ストレス」を感じると脳の「扁桃体」が反応するのですが、ストレスを感じると、「副腎」で生成される副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種であり、ヒドロコルチゾン(ストレスホルモン) が分泌されて、それが脳の扁桃体に届いて反応する。

コルチゾール(Cortisol)は、副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種であり、ヒドロコルチゾン (hydrocortisone) とも呼ばれる。

分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらす。そして、このホルモンは、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の「海馬」の神経細胞の突起を損傷させ萎縮させることが観察されている。「海馬」は記憶形態に深く関わり、これらの患者の生化学的後遺症のひとつとされている。

 

2.ストレスによる体への影響

1)がん細胞の増殖にも関係するストレス

オ ハイオ州立大学の研究チームは、ストレスホルモンで働き始める「ATF3遺伝子」と呼ばれる免疫に関わる遺伝子に着目。同遺伝子と乳がん患者の生存率と の関係を調べたところ、同遺伝子が働いていない場合は生存率が85%だった一方で、働いていると45%にも低下したという。

同遺伝子は普 段、免疫細胞内で「スイッチoff」の状態で眠っている。だがストレスホルモンが増え、免疫細胞を刺激しだすと「スイッチon」の状態にな る。すると免疫細胞ががん細胞の攻撃をやめてしまい、がん細胞が増殖しやすくなる。ストレスホルモンが減れば、スイッチoffの状態になって免疫細胞が再 びがん細胞を攻撃するが、恒常的にストレスホルモンが多い状態だと、がん細胞の増殖に歯止めがきかなくなるとのこと。

2)心臓病の患者の血管にも関係するストレス

殺人細菌とは、ストレスが、体内の細菌を「殺人細菌」へと変える。ストレスが細菌を刺激して、突然死を引き起こす。

心臓病の患者の血管を調べると、血管の壁にも、口腔(こうくう)から侵入した細菌が住みついていて、血中にストレスホルモンが流れて、血液中の鉄分が切り離され細菌の住みついている血管壁に鉄分をかけると、細菌は増殖してしまい血管を破ってしまう。

 

3.「狩猟採集」をして暮らしていたころの数万年前の人類は、どうしていたか。

ここで「人類学」のお勉強になりますが、人類は、四足歩行するチンパンジー、ゴリラと分かれて、2足歩行をするようになりました。

木上生活から、地面に降りて、二足歩行をするようになった人類は、四足歩行する動物よりも、より長い距離を移動する事が出来るようになり、雄は、原野や森林で、食料を調達する為に狩りをするように進化してきています。

他の捕食動物にいつ出くわすかもしれない状況の中で狩猟をしていて、捕食されそうな動物が、近づいてきた場合、心拍数を増やして、即座に、動作できるように体が反応する様に、怪我に備えて血管を収縮させるように機能してきました。

突然、ストレスがかかった時には、体のメカニズムとしては、役に立っていたのですが、狩りをしない現代においては、このストレス反応が、マイナスに働いてしまう。

なぜなら、「狩猟採集」時代のストレスと違い、ストレス反応の対象は「獣」からより、長期的にのしかかる「仕事などのプレッシャー」などに変わったが、体の中で起こる反応そのものは、人間の DNAに組み込まれたままとなっている。

そして、これらのストレスが一度に、継続的に複数重なると「キラーストレス」となり、私たちの体は変調をきたす。つまり、ストレスホルモンが、大量に出っぱなしの状態にり、蓄積されて、扁桃体が刺激を受け続ける。一つ一つのストレスは大きくないが、積み重なって体に障害が出るレベルになる。

参考
人類とは何か、いかに誕生したのか、なにが霊長類の社会の絆を支えたか、集団生活のストレスを解消するために、サルや類人猿は、集団内に派閥をつくって他者のいやがらせを封じる事で、ストレスを解消する。。。派閥を形成し維持するのに「毛づくろい」が重要であるようですなど、進化の謎を解き明かすカギが記載されています。

4.なぜ、昔の人はストレスに強いのか?

生まれ育った環境だそうですが、現代と昔では、なにが違うのか? 単に、のんびりと、ストレスの少ない生活をしていたのだろうか?

不安や恐怖を感じた時、強いストレスを受けると扁桃体が変化して大きくなる仕組みですが、小さい時にストレスを多く受けると、扁桃体が感じやすくなるとする と、戦争時代、子供たちは、強いストレスを感じていて、扁桃体が大きく変化して、大人になり、ストレスが感じやすくなったとすれば、みんなストレスでうつ 病になっているのではと思うのですが、そうでもないでしょう。

一方で、自分の置かれている状況に満足している人が、ストレスに強いと云われていますが、自分の置かれている状況に満足している人など、そんなに多くいないでしょうと思うのですが、どうでしょう?

脳の中で、「前頭前野」が、欲望や衝動にブレーキをかける役割を果たしていますが、ここが未熟、未発達だと、制御、我慢できずに、爆発(キレる)したりすると云われています。

そうですね。 最近、「高齢者」が、けっこう簡単にキレるようになっている様ですが、これも、「前頭前野」の機能が弱くなったせいでしょうか?

■ストレスにも種類が有り、頑張るストレス、我慢するストレスが有りますが、

頑張るストレス  :頑張らなければ良いのですが。。。。

よく会社員で多いのが、自分が頑張らねば。。。と、一人で頑張るが、社員は歯車ですので、代わりは幾らでもいる事が、認識できないで、一人で頑張り過ぎて、うつ病になる。

・我慢するストレス :我慢せずに、逃げてしまえば良いのですが。。。。

これも、我慢の度合いが有りますが、死ぬほど辛い場合は、やはり、「やーめた」と言って逃げるのが一番ですが、中々これが、できないので、おかしくなる。

 

疑問点、戦争時代、強力な「ストレス」にさらされていたはずなのに、おかしくならなかったのは。。。強力な「マインドコントロール」を受けていたからでしょうか?

そうでも無ければ、「ストレス」で死んでいった方、おかしくなった方が、少ないはずが、ありません。

 

5.ストレスから心と身体をどう守るか?

ストレスから心と身体をどう守るか?

ストレスから鬱病へと、どう、むしばむのか? 日々のストレスがどのように心を蝕むのか?

立て続けのストレスがかかり、ストレスホルモンが出っぱなしになる。ストレスにも種類が有り、頑張るストレス、我慢するストレスではコルチゾールがでる。

 

正常な状態で、「ストレス」がかかった時、自分で制御不能なのか、制御可能なのか?

どう頑張っても、自分を制御できないのか。。。。最重要の課題ですが、どうやら、予め「訓練」して、自分の「脳」を「ごまかす」しか方法はないようです。

 

1)ストレス対策

(1)ストレスを解消するには、運動が良い。。。。。なぜなら、

「扁桃体」の情報は、「延髄」を経由して自律神経に伝わるのですが、延髄の神経細胞が、運動する事により、神経細胞の突起が少なくなり、ストレスがかかった時に、自律神経に情報が伝わりにくくなります。

「扁桃体」——–>「延髄」———>「自律神経」

(2)「マインドフルネス」が注目を浴びています。
自分の身体や気持ち(気分)の状態に気づく力を育む「こころのエクササイズ」です。

参考:http://www.humanwellness-institute.org/mindfulness.html

(3)コーピング
ストレスをどのように受け止め、どのように行動するか、という対処方法のことである

参考:https://jinjibu.jp/keyword/detl/270/

 

最後に、

自分は、自分の「意志」通りに行動していると、もし思ってるのなら、それは大きな誤認です。これでも、分かるように、自分は、全て、自分の「意志」で行動 しているとは、限らないのです。 体や脳が、「無意識」の状態で、ちゃんと、反応して、望まない方向に行くことなど、当たり前な事なのだと思います。

今の自分の地位や立場を守るには、やはり、このような、「脳」を、「心」を、「扁桃体」を、「海馬」を自分自身で、騙すことにより、「ストレス」を感じなように、仕向けるしか、方法が無いのでしょうか。。。。

逆な事を言えば、今の自分の地位や立場を守る必要が無い場合や守る価値も無い場合は、状況をちゃんと認識して、さっさと、逃げてしまうのが一番だと思うのですが、どうでしょう。

そんなに、守るべき、大事なものが、そこにあるのか? 自分自身で認識する必要がある事だけは確かです。  病んでしまわないうちに。。。。。

 

・NHK 「人を殺すキラーストレス」特集
https://www.nhk.or.jp/special/detail/20160618.html

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