本日の書籍紹介は、「サイコパスの真実」 原田 隆之 (著) です。
なにも、「サイコパス」は、殺人鬼とは限りません。
「サイコパス」という言葉は知っているが、何なのか? 知ろうとも思わない方が殆どでしょう。 そうですね。 大抵は、相手から、ひどい目に会わなければ、知ろうともしないでしょう。 ですので、気が付いた時は、完全に、巻き込まれているでしょう。
被害に合う前にどんな人物像なのか、ちゃんと認識しておかないと、本当に痛い目にあいます。
人類が進化してきた過程の状態で、もう、こんな人間は、すでに大勢いたのでしょうが、人の良い人間は、これだけ科学技術が進んだ世の中でも、「のほほん」と生きていますので、簡単に被害者になってしまいますので、ちゃんんと、認識しておいた方が良いと思います。
脳の「配線」が普通の人と違う人間が、数は少ないが、確実に存在しているという事を。
—- 目 次 —-
第1章 私が出会ったサイコパス
第2章 サイコパスとはどのような人々か
□1 研究の歴史
□2 第一因子 :対人因子
□3 第二因子 :感情因子
□4 第三因子 :生活様式因子
□5 第四因子 :反社会性因子
第3章 マイルド・サイコパス
第4章 人はなぜサイコパスになるのか
□1 遺伝と環境
□2 サイコパスの脳
□3 サイコパスを生み出す環境
第5章 サイコパスは治るのか
第6章 サイコパスとわれわれの社会
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ほぼ、週5日、顧客訪問の為、札幌駅を利用するのですが、必ず行くのが、三省堂書店、紀伊国屋書店です。平積の書籍をチェックするのですが、ほぼ、毎日のように見ているので、新書が出ると、すぐに分かります。
書籍を差別するつもりは、もうとうないのですが、2百数十ページの「文庫本」でも、キラリと光る良書が有ります。いつも、カバンの中に1冊入れておいても、邪魔になりません。
私など、頭が悪いせいか、文庫本だと1、2日有れば読み終えますが、5百ページくらいの翻訳された書籍を読むと、最後の方に来ると、最初の方に何が書かれていたのか、忘れてしまいそうになります。
その点、手に平に収まる「文庫本」は読んでいて、まとまっていますし、良くあるのですが、今まで読んだ、分厚い書籍を分かりやすくまとめてあったりするような記述がされていたり、とても読みやすいのです。 当然、頭の悪い私の頭にもちゃんと、記憶に残るのです。
書籍を読むときは、例えば「サイコパス」などいう同じ、キーワード、コンテキストを抱た書籍は、必ず、1冊ではなく、数冊は必ず読むようにしています。 裏を取る訳では無いのですが、1冊では、ちょっと、にわかに、信じられない場合が有りますので、一見、無駄なように見えますが、必ず、別の人物が書いた書籍を複数冊読むようにしています。
また、今まで読んだ同じコンテキストの書籍が、1冊にまとまって書いてあると非常に助かります。 自分でまとめなくても、整理されているからです。同じコンテキストの書籍は、先に書いた人達の書籍を参考にしたり、引用していますので、このようなことが起こります。
そんな、もう、何冊も読んだ「サイコパス」に関する書籍の中で、飽きることなく、分かりやすく、最新の情報を提供してくれる1冊ですね。
第3章 マイルド・サイコパスの中で、面白い事が記載されています。
「マイルド・サイコパス」、または「向社会的(社会に適応した)サイコパス」の存在です。
私の今までの読んできた書籍の多くは、連続殺人者(シリアルキラー)的な部分を持ったサイコパスの情報でしたが、そうではないサイコパスも沢山いるという事です。
サイコパスやサイコパスの傾向を持つ人間が、全部、犯罪者であったり、連続殺人者(シリアルキラー)になる可能性が高いわけではなく、逆にその無情で直情的な性格のせいで、社会的に成功している人も多い。
・【面白記事:重要】 職場に増殖中”サイコパス”タイプ別対処法
上記の記事で、人を殺さない、マイルド・サイコパス的な人間と、マイルドな「発達障害」の人間が、区別がつかない場合が有るので、あえて両方の特徴を記載しているのですが、根本的なところが、全然違います。
例えば、共感性が無いと言われますが、共感性には2種類の異なった性質のものがあります。
・認知的共感性:他者の言動や表情からその気持ちを推察する能力
・情緒的共感性:これは相手の気持ちを頭で推察するのではなく、同じように追体験する能力
認知的共感性は、自閉症などの「発達障害」では、この能力に障害の出るケースがあるが、ある程度は訓練で育てることができる。
サイコパスの場合は、この両方が欠如している場合もあるが、「認知的共感性」、これを頭では相手の気持ちが推察できるケースが多い。しかし、「情緒的共感性」が欠如しているので「心」は全く動いていないのです。
職場の中に、マイルド・サイコパス的な人間が、実際いて、この人物を10年以上見てきた経験から言えば、被害を受ける側の人間は、直接、被害を受けないと、同じ空間に居ても感じないという事です。 せいぜい、あいつ「頭がおかしい」程度です。
「職場のサイコパス」とは、「成功したサイコパス」ほど傑出した大物ではなく、どこの企業や組織にもいるサイコパス的な人々の事である。彼らが特に「害」を発揮するのは、指導的な地位に昇進したときで、その地位や立場を背景にして、部下に対してハラスメント行為をしたり、不正や企業犯罪に関わったりする。
例えば、直接、被害を受けなければ、「不正や企業犯罪に関わった」だけでは、マイルド・サイコパスと気が付かないのです。 ハラスメント行為をしたとしても気が付かないのです。
しかし、職場のサイコパスの症状を記載したものを読むと、あいつは「サイコパス」だと、初めて感じる、気が付くことができるのです。
これは、被害者が「勉強不足」なのも問題ですが。。
<サイコパス チェックリストの概要>
第一因子 :対人因子 |
・表面的な魅力 ・尊大な自己意識 ・他者操作性 ・病的な虚言癖 ・長続きしない婚姻関係 |
第二因子 :感情因子 |
・冷淡性、共感性の欠如 ・良心の呵責や罪悪感の欠如 ・浅薄な情緒性 ・自分の行動に対する責任を感じない ・不安や恐怖心の欠如 |
第三因子 :生活様式因子 |
・衝動性 ・刺激希求性 ・行動コントロールの欠如 ・現実的で長期的な目標の欠如 ・無責任性 ・寄生的なライフスタイル(ひも的生活) |
第四因子 :反社会性因子 |
・幼少期の問題行動 ・少年非行 ・早期からの問題的行動 ・仮釈放の取り消し ・犯罪の多方向性 |
サイコパス チェックリストの概要にあるように、第四因子 :反社会性因子が少ない場合は、「成功したサイコパス」、「マイルド サイコパス」に当てはまるのでしょう。
特定の職種において、サイコパスの特徴がみられやすい傾向にあるという結果が出ている。
「サイコパスが多い職業」トップ10とは?
・企業の経営者
・法律家
・TVタレント
・セールスマン
・外科医
・ジャーナリスト
・警察官
・聖職者
・シェフ
・公務員
「サイコパスの少ない職業」のトップ5は?
・介護士
・看護師
・セラピスト
・職人
・美容師 / スタイリスト
最後に、
この様なサイコパス的な人間は、人類学、歴史から見ても、数多く存在していたのでしょう。例えば、為政者にも多くいたことでしょう。 むしろ、必要悪かと思うくらいですが、現代社会でも、サイコパス的な人間がトップに立つような状況が、未だに発生しています。
何か、やらかした時は、こいつが悪いと言いますが、それを選んだのは、お前達だろうというような、愚かな歴史を繰り返しています。
例え、サイコパスでなくても、組織の保身というよりも、自分の保身のために、平気で嘘をつく政治家、官僚、数えればきりがありません。
一般の庶民でも、同じです。 生活があるから、ブラックな会社でも辞められずに、我慢して働いている人も沢山いるでしょう。
この様に、弱い者も、人間の心を持っていない者も、自身の生き残りをかけて、生きているので、この争いは永遠に無くならないでしょう。
地球の誕生(45億年前)からの歴史を見れば、人類が誕生してから、ほんの少しです。 恐竜が絶滅したように、人類もいつか滅びる時がやってきても、全然、おかしくありません。
生き残れるかどうかは「遺伝子」が決める。生物は、遺伝子の乗り物に過ぎないのですから。あら、ドーキンス博士の影響受けすぎですね。
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・【重要記事:精神医学】人間社会の怪物と呼ぶにふさわしい「サイコパス」と「ダークエンパス」と「ゲミュートローゼ」
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