本日の書籍紹介は、「ケーキの切れない非行少年たち」 宮口 幸治 (著)
児童精神科医の著者は、多くの非行少年たちと出会う中で、何で悪いことをしたのか「反省する以前の子ども」が沢山いるという事実に気づき、少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない(丸いケーキを3等分にできない)非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだということを実感したそうです。
人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的な方法(メソッド)を公開しています。
■ケーキの切れない非行少年たち
– 目 次 –
第1章 「反省以前」の子どもたち
第2章 「僕はやさしい人間です」と答える殺人少年
第3章 非行少年に共通する特徴
第4章 気づかれない子どもたち
第5章 忘れられた人々
第6章 褒める教育だけでは問題は解決しない
第7章 ではどうすれば? 1日5分で日本を変える
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1.「忘れられた人々」とは?
先生は、少年院などで子供たちを見ている過程で、問題を起こして、少年院に入ってこなくても、軽度知的障害(知的障害の8割)、ボーダー(境界知能)の人たちは、知能検査で、問題なしと判定され、認知機能が低いのですが、健常者と見分けがつかなくなり、「忘れられた人々」として、普通の学校でも、困っている子供たちがたくさん居ると言っています。
普通の社会でも、困っている大人たちがたくさん居ると考えると、社会の中で、色々なものが見えてきます。
先生は、「忘れられた人々」と言っていますが、私は、ある程度見えますので、忘れてはいません。頭を傾げてしまう「不思議な人々」とでも言いましょうか。
発達障害に注意を向けていましたが、知的障害にも目を向ける必要があるように思います。
—補足説明———————————————————-
<知的障害>
■IQ:70 – 85 ボーダー(境界知能)と呼ばれている 知的障害者とは認定されない。
■IQ:69以下が、知的障害(IQにより、軽度、中等度、重度の分けられる)
<認知機能とは>
外界を正しく認識し、正しく実行するための機能のことで、記憶力、知覚、注意力、言語理解、判断、推論などの幾つかの要素が含まれた知的機能を指します。
歳を取って「認知症」になる場合もありますが、若くても「認知機能」に偏りのある人もいるのです。
人間は、皆、同じ物を観ていると思ったら、大きな間違いなのです。 観る人によって、大きく違っている場合が、多々あるのです。
認知の差が生じるのです。どうしてもです。 それは「脳」の配線(シナプス)と脳の機能部品の性能が、一人ひとり違うからです。
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2.この人、何者なんだろう?。。。という人たちです。
私の場合、長期間、色々な業種の会社(中小零細企業)を定期的に訪問しているのですが、 通常の日常会話は、なんとかこなせるのですが、どう考えても不思議な人たちが、見え隠れします。
私には、幽霊は見えませんが、発達障害、愛着障害、人格障害などの特徴を持った人は、大体、分かりますが、その中でも、ちょっと分かりにくいのが、ボーダー(境界知能)と呼ばれている人がいるのです。
この人、何者なんだろう?。。。という人たちです。
今回、この書籍を読んでいて、分かりましたが、どんなことをしても、仕事ができない人がいるのですが、人手が足りない為、あろうことに、経営者は、不向きな事務仕事をさせてしまうのですが、周りが困ってしまうくらい仕事できず、困った人のですが、ほぼ、1社に1,2名くらい存在します。
もちろん、中小零細企業ですので、まともに「入社試験」などを実施して採用していませんので、しょうがないと言えば、その通りなのですが。。。。。。。
「働き方改革」などと掲げていますが、中小零細企業などの働き方改革など進まないでしょう。
3.さらに言えば
「不登校」や「引きこもり」の問題に関しては、記載されていませんでしたが、不器用な生き方しかできないところは、本書で問題にしている子供達と十分共通しているのではないでしょうか。 「引きこもり」などの実態は詳細に把握されてはいませんが、高齢化してきている。
たまたま、親が経済的に成り立っていているうちは、いいのですが、親も高齢化してきて、8050問題などと言われていますが、関係があるように思います。
—関連記事—
・「引きこもり」が高年齢化。。。の記事に思う。
・日本で、「引きこもり」の人が、全国に54万1千人いるという。。。。この状態はなぜ?
生きにくさの中でストレスが溜まって怒って問題を起こす子、怒りなどの問題行動は起こさないが、内に引きこもってしまう子。
問題の根っこは同じでも、環境や性質により、分かれてしまっているだけな気がします。
「不登校」や「引きこもり」になる人たちの何割かは、発達障害を背負った人たちだと言われていますが、同じように、ボーダー(境界知能)と呼ばれている人たちが含まれていると予測します。
「ダイバーシティ(多様性)」と簡単に言いますが、この「ニューロダイバーシティ(神経構造の多様性)」の問題は、社会の中でどう扱うのかが、問題になってくるのですが、何も進みません。
社会に出る前の学校教育の中で、知的障害を改善する対策を実施する方向に向かうことを望みます。
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