ノーベル生理学・医学賞を受賞した東京工業大の大隅良典 栄誉教授の研究「オートファジー(autophagy)」について

2016年12月10日、
ノーベル生理学・医学賞を受賞した東京工業大の大隅良典 栄誉教授の研究「オートファジー(autophagy)」について、ちょっと調べてみました。

大隅良典先生は、真核単細胞生物の代表的モデル生物として研究が盛んな酵母の研究者です。

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大隅良典先生を知る前から、分子生物学者の「福岡伸一」先生が大好きで著書「動的平衡」、「動的平衡2」、「生物と無生物のあいだ」を愛読していますが、まさに生物が「動的平衡」を保つための機能、「無生物」の違いを説明する為のより詳細なメカニズムが「オートファジー」ではないかと思います。

目次
第1章 細胞の中の世界
第2章 オートファジーの発見、暗黒時代、そして夜明け
第3章 哺乳類オートファジーの大海原に
第4章 三つの主要機能──栄養源の確保・代謝回転・有害物の隔離除去
第5章 選択的オートファジー
第6章 疾患に対抗するオートファジー
第7章 オートファジーを止めるルビコン
第8章 健康寿命を延ばす
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つまり、1人の人間(生命体)が、変わらず生きているのは、実は生命体を構成する細胞は、心臓、脳の一部の細胞を除いて、常に入れ替わっている。今日の自分は1ケ月後の自分とは全く違う人間なのだが、この「動的平衡」で云う所の入れ替わりが無くなれば、生き物ではなくなると云う生命のメカニズムがすごいのです。

ゲノム、脳科学、脳神経学、細菌学など、まだ解明されていない生命の不思議がたくさんある中で、生物を構成する最小の単位である「細胞」の研究が進めば、医学にとどまらず、色々な分野で応用が可能になるのではと考えます。

調べてみましたと言っても、「細胞が自分を食べる オートファジーの謎」という大隅良典先生のお弟子さんが書かれた書籍を参考にしてみましたが、如何せん、細胞の働き、仕組みも分からない状態で、 オートファジーの仕組みなど、ちゃんと理解できる訳もなく、いまだ、もやもやしていますが、とりあえず、メモっておきます。

細胞が自分を食べる オートファジーの謎

物理学はちょっと難解ですが、生物学なら何とかなるでしょう。更に理解が進めば、追記してゆくつもりでいます。

 

1.「オートファジー(autophagy)」

1)オートファジーとマクロファージの違い

オートファジー」を調べていて、似たような言葉「マクロファージ」が出てきますが、混同しそうになるのですが、これは違いを区別しておく必要があります。

マクロファージ(Macrophage)
白血球の一種で免疫機能を持つ遊走性の食細胞で、死んだ細胞やその破片、体内に侵入した細菌・ウィルスや体内で発生する癌細胞を取り込んで食べてしまう「貪食作用」を持ち、免疫機能を持っているという部分では同様です。

 

2)細胞について

真核細胞には、細胞核と核以外の細胞質に分かれていて、細胞質には細胞小器官として、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体、リソソーム、リボゾームなどが含まれています。

そして、オートファジーのお話に主役は、「リソソーム」です。リソソームという分解工場の役割を研究した成果です。

上図は、日本科学未来館のサイトより参照

 

 

3)「オートファジー(autophagy)」のメカニズムの違い

autophagyの意味は、ギリシャ語の‘auto’は自分、’phagy’は食べるを組み合わせたものです。つまり、自らの細胞を食べてタンパク質を補給する仕組みのことである。

オートファジーの仕組み
細胞中に膜が現れ、分解対象となる細胞質成分を包み込んで二重膜構造体の「オートファゴソーム」を形成する。その外膜が液胞膜と融合し、内膜構造体「オートファジックボディ」が液胞内へ。液胞内の分解酵素が内膜を破壊し、内容物も分解される。

・上図(オートファジーの仕組み)は、東工大ニュースより参照

メカニズムの違いによって、下記のの3つがあるという
・マクロオートファジー
・ミクロオートファジー
・シャペロン介在性オートファジー

3つの詳細は、書籍を購入して読んで見てください。

 

4)オートファジーの役割

・飢餓に耐える(自らのたんぱく質を分解してアミノ酸を作る)
・細胞の浄化作用
・免疫系は「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類あるが、自然免疫系として、細菌やウイルスからの防御もしている

 

5)細胞の性質を変えるためのオートファジー

・受精卵
子宮壁に着床するまでの間、栄養源としてオートファジーを利用してアミノ酸にまで分解している

・生まれたての赤ちゃんの細胞
へその緒からの栄養の供給が絶たれた直後

・昆虫の変態

 

6)細胞内を浄化する機能が上手くゆかなくなると

オートファジーは、タンパク質を分解して掃除をしますが、このタンパク質分解系に遺伝子異常が見つかった代表的な神経疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病もオートファジーが機能(異常タンパク質の除去作用)しなかった場合に発生していると云われています。

オートファジーで、ミトコンドリアさえも食べてしまうのですが、これが不能の場合、不良ミトコンドリアが蓄積されて「腫瘍」を誘発すると云われています。
この「ミトコンドリア」も曲者ですので、好気性細菌です。元々、細胞に存在していないもので、後から細胞に侵入して、今では、共生して、エネルギーの生産を担って細胞の中で、無くてはならない存在になっている物質です。

「ミトコンドリア」君は、遺伝子を含んでいますが、特性としては、受精する時、雄の「ミトコンドリア」は受精卵に引き継がれませんので、雄、雌とも、全部、母方の「ミトコンドリア」のmtDNAを引き継ぎます。

ですので、「ミトコンドリア」君のDNAを調べると、日本人が、どこからやってきたのか調査する材料になっています。

 

追記
「睡眠中の脳内清掃作業」についても研究が進んでいます。

オートファジーのごみ処理機能のおかげで、細胞を長く使える様になっているのですが、それでも、体を構成する各部位の細胞の寿命は、白血球や腸の上皮細胞(3日~5日)、皮膚(1ケ月)、赤血球(4ケ月)、骨(2~10年)だそうです。

ただ、あまり、変わらないのが、脳細胞と心臓の心筋細胞です。絶食時は、ほとんどの臓器でオートファジーが起こるが、脳(神経細胞)は別な仕組みで、老廃物を排出しているようですが、脳内の細胞はちょっと違うようです。

脳内の細胞は、大きく分けると神経細胞(ニューロン)とグリア細胞の2種類でできていて、グリア細胞は、大事な神経細胞の栄養補給や脳のバリア機構などさまざまな役割を担っている。そして、神経細胞の隙間を埋めるだけでなく、収縮して、リンパ液が通る隙間をつくり、老廃物を回収しやすい様な働きをしているようです。

それは、なんと「睡眠中」に、グリア細胞が縮んで間隔を作り、老廃物を流しだす仕組みが働いていると云う、研究結果も出ています。

認知症の1つアルツハイマー病の原因とされている「アミロイドβ」の蓄積ですが、睡眠の質が低いほどアミロイドの脳内蓄積が多いことが明らかになっていますので、睡眠中の脳内清掃作業が進まずに蓄積されてしまうのではないかと云う研究が進んできています。

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